夜のエレベーター
百物語二十六話になります。
一一二九の怪談百物語↓
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会社に夜遅くまで残っていた時の話。
「あの係長、説教長すぎる。もう深夜2時だぞ?」
その日はとても最悪な1日だった。会社3階にある事務所で上司の説教を受けていたからだ。
「もう疲れた…早く家に帰ろう…」
時間はもう夜中の2時過ぎ。エレベーターで1階に戻った私は、会社を出る直前に事務所へ忘れ物をしたことに気がついた。
「しまった、取りにいかなきゃ!」
慌ててエレベーターの前に戻ってきた私。エレベーターが3階からゆっくりと降りてくる。事務員さんが数人残っていたので、その人たちであろう。1階に着いたエレベーターのドアがゆっくりと開いた。
「えっ?」
エレベーターの中は、たくさんの人で満員になっていた。10人、15人近くは乗っていたと思う。まだこんなに人が残っていたなんて…
「下に行くけど、乗りますか?」
私は思わず…
「の、乗りません」
そう言ってエレベーターには乗らなかった。数秒後、エレベーターのドアが静かに閉まった。
「夜勤の人たちかな?でもあんな大人数で…あっ!」
私はあることに気がついた。
「ここ1階だよね?ウチの会社、地下なんて…」
うちの会社に地下はない。