仲睦まじいカップル
教室に入り、俺の席に座り、文庫本を開き、読み始める。周りの声が聞こえなくなり、本の世界に入る俺。
どれほど経ったか分からないが、突然横腹につつかれる感触を感じ、思わず小さな悲鳴をあげた俺。
「うひゃっ」
「もう、巳波くんってばぁ、なんで無視するのっ!」
俺は、つつかれた方に顔を向けると星河さんが怒っていた。頬を膨らませていた。
「ごっ、ごめん。本に集中してて。ていうか、急につつかないでくれない」
「だってぇ~、何度呼んでも無視するんだもんっ。仕方なくぅ~、でも巳波君可愛かったよ」
「弱いんだよ、実は俺」
「いいこと、きい~たっ。今度冷たくされたら、し~よっ。巳波君に」
「ほんとにやめてよっ、星河さん。もしまたやったら、別れるよ」
「ねぇ、嘘だよね。ねぇ、嘘だよね嘘って言ってよぅ~、巳波く~ん。なんで笑ってるの、ねぇ~てばぁ~」
星河さんとの仲睦まじい感じを見て、周りが口々に言い合う。
「もしかして、付き合ってんのか」
「アイツとなんでなの」
「星河さん達ってあんな感じだっけ」
などなど。
俺の肩を持って、揺する星河さん。
この教室の雰囲気が嫌だったんだよっ。
ちなみに俺が悲鳴をあげたとき、近くにいた数人が笑っていた。見過ごさなかった。




