お試しデート
放課後を迎えた。
俺は星河さんに断りを入れて、教室を出ていく。
「谷口さんとデートすることになったから今日は一緒に帰れない。ごめん」
「キスしちゃ駄目だからね」
片手を申し訳程度に振って、教室を出た。
廊下を早足で進んでいく。
下駄箱に到着して谷口を待った。
20分後に友人と話して姿を現した谷口だった。
「巳波先輩、待たせてすみません」
「あぁ、気にしてないよ」
谷口が下駄箱の前でローファーを出して、履いていたスリッパを脱ぐ。
俺もスニーカーを出し、スリッパを脱いで下駄箱に入れる。
スニーカーに脚を突っ込んで、履いて、谷口が履き終わるのを待つ。
「お待たせしました……どこに行きますか?」
「あぁーそうだね。ゲームセンターとかどう?UFOキャッチャーは上手くないけど他のでも」
「ゲームセンターですか!良いです、行きたいです!!」
弾んだ声で返答した谷口。
「行こっか、ゲームセンター」
手を繋がず、昇降口を抜けて、校舎を出た。
歩道を歩いていると、谷口が上擦った声で手を繋ぎたいと誘ってきた。
「巳波先輩っ……手ぇを繋ぎたいです。良いですか?」
「ああ、良いよ」
「ありがとうございます」
俺と谷口は手を繋いだ。
「お試し……なんですよね?今のデートは」
「そうだね。気分悪くしてるよね」
「ああーそういうことはなくて……」
俺たちはゲームセンターに赴いて、いくつかのゲームをした。UFOキャッチャーも挑戦してみたが取れそうもなく諦めた。
ゾンビを銃で撃つゲームもして、谷口に負けた。
ゲームセンターは1時間半で切り上げ、谷口が行きたいと言った洋菓子店に向かった。
ガルシーガという洋菓子店に入ると、3人の制服を着た女子高生がいた。
3人のうちの1人が振り向いてこっちを見て、何かに気付いたようでテンションが高くなった。
谷口に気付いた女子高生の1人が声を掛けてきた。
「もしかしてだけど谷口だよね?谷口千春でしょ!」
「谷口さん、彼女は誰なの?知り合い?」
俺は口を挟む。
「修多羅だよ、ウチ!こっちが入部でこっちが久福木」
「修多羅さんに入部さん、久福木さん!扇仙高校に行ったんだへぇ〜!」
「千春ぅ?よく見たら千春だ、おひさ〜!隣は彼氏?」
入部という女子高生が修多羅に変わって話し出した。
「久しぶりだね、ほんと〜!元気してた?」
「修多羅と入部がとにかく元気で、私まで先生に叱られて困ってんの!」
お試しのデートで谷口の知り合いとケーキを一緒に食べることになった。
やっぱり女子の会話は長くて困る。
俺1人食べ終わって、スマホで暇を潰した。




