知られたくなかった
昼休みを迎えた。
「巳波くん、一緒に昼食食べよう!」
星河さんが昼食を誘ってきた。
俺が返答をしようとした刹那、背後から呼ばれる。
「巳波くん〜女子が呼んでほしいって。来てー」
「女子って誰——あの娘じゃん」
俺を呼んだクラスメイトの女子の傍に、交際したいと言ってきた女子がいた。
「巳波くん、渋い顔したけどどうしたの?」
星河さんの顔を再び見て、はっきりしない声を出した。
「あぁ〜えっと……これはあぁー」
「行って来なよ、巳波くん。あの女子をそのままにするの、悪いし」
「ごめん。すぐ戻ってくるから」
両手を合わせ、謝り、待ってくれている後輩の女子の元に駆け寄った。
「あのときの娘だよね。今日はどうしたの?」
「返事が聞きたくて。押しかけてすみません」
「あぁー返事か。お試しなら良いよ」
「お試し……ああいや、何でもないです。今日の放課後、デートしてくれませんか?」
「ああ、デート……わかったよ。えっと名前……なんていうのかな?」
「谷口千春って言います!では放課後にまたっ!」
谷口という女子は名乗って走り去っていった。
俺を呼んだクラスメイトの女子は、引いていた。
俺は星河さんの元に戻ったら、唇を尖らせ、不機嫌だった。
「巳波くんの不倫〜名前も知らずに付き合おうとしてたんだ。私という恋人がオーケー出すとか最低〜」
「言い訳のしようもないです。ごめんなさい……前言ったあの女子だよ星河さん」
「そう〜ふぅ〜ん。キスしちゃ駄目だからね!手を繋ぐまでは許すけど」
「キスなんてしないよ……星河さんがいるのに」
「最後なんて言ったの?聞こえなかったー」
頬杖をついた彼女が意地悪いことをしてきた。
「何も言ってない……」
「言ってたー!言ってたもう一回言って!」
「言わないってー!」
「あらあら〜夫婦が喧嘩しているのかぁー?」
三ノ宮が教室に来て、煽ってきた。
「何しに来た、三ノ宮ぁ?お呼びじゃないぞ!」
「三ノ宮さん、夫が不倫を——」
星河さんが三ノ宮の戯言に乗ってきた。
「不倫じゃねぇ!星河さんまで乗るな、あぁーもうっっ!」
三ノ宮が近くの席の椅子を持ってきて、弁当を食べ始める。
3人で昼食を摂ることになった。
「不倫って誰と?」
「後輩の谷口さんって娘とです」
「谷口ぃ?俺はしらねぇや、どんな娘?」
「大人しい娘です。私がいないうちに話を進めてたらしくて」
「ほうほう。さなっちが不倫とはやりますな」
「断りきれなくてだよ!お試しっていうので」
「お試しっておいおい、罪な奴だなぁお前」
昼休みは、終わるまで谷口との話で盛り上がった。




