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86話 弱そうだよ

 嘘だ……

 嘘だ……

 まさか、まさか、リオンが子どものお守りが上手いだなんて。

 衝撃の事実を受けた俺はほのぼの?

 まぁ、ほのぼのというかは分からないがリオンとオウカ、そして子ども達が遊ぶのを眺めている。


 ここは地下の訓練場で多少暴れても被害は出ないし、外に音も漏れない構造になっている。


 遊ぶというのは模擬戦のことなんだが。

 互いに楽しそうだからいいだろう。

 残念ながらまだシュヴァルツ城のような復活機能はないので力を抑えながらだが、互いに力の差があるので問題はなさそうだ。

 オウカはリオンに言われるがまま、鎧炎巨人を完全顕現させて三体のモンスターに攻撃をしている。  

 まぁ、炎は纏っていないのでただの鎧巨人である。


 ゴブリンのごぶは身体能力が高く、振り下ろされた拳を紙一重で避けている。

 ごぶは近づいて拳を強く握り、鎧炎巨人の足をぶん殴った。

「いってぇぇぇぇ」

 ダメージを受けたのはごぶの方だったようだ。

 殴った方の拳を抑えている。

 それもそうだろう。

 ただでさえランクが違うのだからステータスに差はあるし、オウカの鎧炎巨人の硬さは四次職の中でも高い。


「何をしているのか……ごぶ退がってて」

 スケルトンのトロンが詠唱を始めて魔法を放つ。

「深き闇より穿て『深淵槍(アビスランス)』」

 闇槍(ダークランス)よりも強力な魔法だが、巨人は腕を払って簡単に槍を弾いた。

 残念ながらもう少し上位の魔法でないと鎧炎巨人には傷一つつけれない。


「私なら堅くても溶かせるよ」

 次はスライムのラムが攻撃を仕掛けるようだ。

 というかスライムには口なんてないのにどこから声が出てるんだろう。

 それでいえばスケルトンも発声器官はないから同じようなものか。

 まっ、ゲームだしな。


「アシッドテンタクル」

 強力な酸性の触手は鎧炎巨人の足に絡みつく。

 たしかに徐々に溶かしていけばいつかは脆くなるだろうが相性が悪すぎた。

「あぁ……」

 鎧炎巨人が炎を巻きつかれた箇所から炎をだす。

 酸で溶かす前に触手が熱で溶けていく。


「ははっ、姉ちゃん達すげえ強いな」

「やはり僕たちではまだまだですね」

 この短い時間でも分かったことだが、この子ども達はなんとも気持ちがいい。


 モンスターであっても全てが悪いわけではないし、大体プレイヤーなんだから仲良くすればいいのに。

 モンスターだからって攻撃してたらテイマーやサモナーを完全否定することになるじゃないか。

 それにディーだってモンスターなわけだ。


 ルキファナス・オンラインでテイマーといえばそれほど人気のある職業ではなかったはずだが、今ではプレイヤー数が結構いる。

 王国だと割と少ないが帝都に行けば当たり前のように多くのモンスターが街中を歩いているらしい。

 今回のごぶ達の目的も帝国の帝都にあるようで、なんでもとある有名テイマーの従魔を触ってみたいとラムが発したのが事の発端になっている。


 リック達が金閣と抗争が終わればごぶ達を帝国に送り届けるといっていたが、帝国にさえたどり着ければ、ごぶ達も羽を伸ばして街を歩けるはずだ。

 問題は抗争がどうなるかだよな。

 手伝った方がいいのかどうか迷うところだ。


「あんたらも中々強かったよ。なっ、オウカ」

 なぜか、今回の戦闘では何もせずに鎧炎巨人の肩に乗ってただけのリオンが威張っている。

「……なかなか」

「でもさでもさ、ごぶ君も本気でやったらもっと強いんだよ」


「そうなのか、本気を出してもいいぞ!! 私が許す」

「いやー、それが本気を出すと暴走しちゃうんですよ」

 ごぶはゴブリンバーサークなので狂乱状態にならないと本気が出せない。

「うーん、多分大丈夫だと思うけどなぁ。それに本気を出してないといざという時に体がついてこないぞ」

 リオンが意外といいことを言っている。

 だが、普通は暴走するのはいい気分ではないよな。

 俺もチャリックでラフェグと戦闘する際に暴走したがもう一度自発的にやろうとは思わない。


「リオン……もうダメ……」

「あっ、ちょっとまって」

 リオンのMPが切れて鎧炎巨人が空に溶けるように消えていく。

 肩に乗っていたリオンは態勢を崩しながらも地面に着地した。


「うーん、じゃあクロツキとやればいいんじゃない」

「えっ……それはさすがに……」

「僕もそれは反対です。オウカさんとリオンさんならごぶの本気でも大丈夫だと思いますけどクロツキさんはちょっと……」

「クロツキさんって弱そうだよ」


 …………


 そうだったのか。

 俺って弱そうだったのか。

 いや、それはさ、自分で最強とかは思ってないよ。

 でもさ、それなりに色々と経験してきてさ、乗り越えてきたわけよ。

 それを全否定されるとちょっと……いや、結構悲しいかも。


「いやいや、クロツキはこう見えてかなり強いから大丈夫だって」

「そうだよ、強いよ」

 なんだかそのフォローが逆効果で弱いギルドマスターをメンバーが気を遣ってるみたいな構図になってる。


「でも、強そうに見えないんだよな」

「それはクロツキって戦闘になると人が変わるからさ」

「能ある鷹は爪を隠すと言いますが……」

「やるだけやってみるといい。驚くと思う」

「二人がそこまでいうんなら、ごぶ君やってあげたら」


 何故か俺は喋ってないのに俺がすごく戦いたくて、子どもが気を遣って仕方なく戦ってあげようかみたいな雰囲気になってるけど、俺は一言も喋ってないからね。

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もふもふ従魔が厨二病に目覚めた件
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