81話 罪の刃
ディーの存在を不思議に思っていたが、運営からの説明で従魔としてではなくモンスターを仲間にすることができるツクモシステムがあると説明がされた。
その場合モンスターはアイテムとしてカウントされて、アイテムに姿を変えることができる。
近しいところで言うとルティのパートナーは黒ウサギでヴェールに姿を変える。
リオンのパートナーはモモンガで風呂敷に姿を変える。
そして俺のパートナーはもちろんディーなのだが、これまでディーは影になって俺についてきていたし、今でも影の中で普段は過ごしている。
しかし、運営から説明があってから少ししてディーも姿を変えれると判明した。
それが今の俺の状態。
漆黒のマントは俺を包み込んでいる。
高速で移動すると影が広がったような形になって相手からは見えずらくなっている。
『闇槍』を発動しながら両手に握ったナイフで狂戦士を攻撃する。
倍以上に増えた手数で一気にゴリ押して狂戦士を落とし、影踏を使って空中を闘歩しヒイロ達3人の方へ向かう。
このマントを羽織っている間はディーの使っていたいくつかの魔法を使用することができる。
そしてMPもマントから供給されるので影踏もかなり有用なスキルへと早変わりだ。
ヒイロがミサイルの攻撃から弾幕を張るマシンガンに変え空中の俺を落とそうとしてくるが、俺を捉えることはできず、多少の銃弾程度ならマントの防御力で弾くことができる。
3人の上空へ移動して空中で影を踏んで一気に降下しながら結界目掛けて宵間を振り下ろす。
黒の一閃が結界にぶつかるが破壊には至らない。
さすがに大司祭の全力の結界だ。
だがひびは入れることができた。
マントを大きくなびかせて3人の視界を封じて移動し、もう一撃を入れる。
結界は粉々に砕けていく。
「そんな……『聖なる祈りの結界』がたった二回の攻撃で破壊されるなんて……」
「退がってろ!!」
2人を庇うようにヒイロが前に出てくる。
重装砲兵は防御力も高い職業になっているが、これで終わらせる。
「罪の数だけ裁かれろ」
黒の断罪者になって獲得した攻撃スキル。
発動条件が厄介ではあるが強力なスキルだ。
ヒイロを中心にして様々な形の光の刃が現れて、宙に浮かんでいる。
一瞬でヤバいと悟ったのか防御の姿勢に入るヒイロ。
何もできない2人は大人しく何が起きるのかを見ながらいのるしかない。
ニナのバフがけは間に合わないし、シャロットも特にできることはない。
「全門解放、フルバースト!! ウラァァァァァァァ」
防御に徹しているのはブラフだったようでスキル発動の準備だったようだ。
両手に巨大なマシンガンを握り、弾のストックも肩からかけている。
肩にもミサイルを乗せて、背中からもいくつかの銃砲が見える。
足にも小さなマシンガンが付いている。
全ての銃から弾が一斉射撃される。
狙いは俺ではなく周りに浮かぶ刃だった。
街中に銃を撃つ音と、爆発音が鳴り響く。
土煙が巻き上がり、辺りには硝煙の匂いが広がっている。
カチャ、カチャ。
全てを撃ち尽くしたようで弾切れになって、肩で息をしている。
「はぁ、はぁ、ばっばかな……これだけ撃っても何の影響もないだと」
「逃げてヒイロ!!」
「早く逃げて」
数千発の弾丸の嵐にあっても光のヤイバに傷はない。
「『罪の刃』」
カルマ値悪性を参照にして攻撃力が上がり、数が増える罪の刃。
カルマ値悪性がないプレイヤーに対しては何も起きず、使えないのだが代わりに発動すれば強力なスキル。
ヒイロ目掛けて光の刃が一斉に襲いかかった。
なすすべもなく串刺しのめった刺しになるヒイロ。
後の2人は膝をついて放心状態だ。
こうなってしまうと申し訳ないような気もするが、ここで見逃すのも変な話か。
しかし、演技だったみたいで攻撃してくるが、一瞬のうちに二つの首が地面に落ちる。
もう少し結果を我慢していればいろいろと情報が漏れることもなかっただろうがこれは仕方ない。
戦闘の動画は流されることが多いし、動画を見て研究もされる。
スキルはなるべく温存した方がいい。
でも逆に温存しすぎてやられる方がアホらしい。
数日後、近衛兵にこってり絞られました。
特に賠償金などを払う必要はなく、注意だけで終わったが、さすがにあれはやりすぎだった。
狂戦士のTOMOとの戦闘だけならここまで怒られなかっただろうが問題はヒイロの方で街中で派手な爆発と音はあまりにも外聞が良くなかった。
しかし、こちらはギルドを襲われただけなのでそれを言って許してもらった形だ。
もしかしたら、あの4人にも注意があるかも知れない。
ちなみに近衛兵を攻撃でもしたら一発で監獄送りになる可能性が大いに高い。
あの4人はどうだろうか?
意外とそんな結末もあるのかも知れないと今日も部屋に置かれた書類を眺める。
これにて七章完結となります。
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