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76話 暗殺ギルドなのに目立ちすぎてる

 ギルド創設から依頼も複数こなして、ようやく慣れてきたといったところ。

 徐々にではあるが知名度も上がってきていると想う。

 多分……

 当初はコネというか、元々の知り合いから依頼を受けていたが今では完全に新規のお客さんも来てくれる。

 しかし、まだまだこのギルドが生き残れるかの不安は多数ある。


 王都グランシャリアの様相は当初とは大きく異なっていた。

 まず、プレイヤーの数が爆発的に増えている。

 拠点にするならば王都があらゆる面で他の都市よりも優れており、多くのプレイヤーが王都を拠点に活動している。

 そして、人が多いということは商業のチャンスであり、商人が物資を潤わせれば、またそれを求めて人の流れができる。

 好循環により人と物が集まる王都を一度知ってしまえばここから拠点を移すのは難しいだろう。


 拠点にするのは簡単でその都市に住めばいい。

 ここはリアルと同じで賃貸で家を借りるか、マイホームを購入するかしてその都市に住んでいると証明できればいい。

 まぁ、リアルのように住民票の手続きなどの面倒なものはなく、すぐにステータスに反映されるので証明は簡単だ。

 しかし、人気があるということは不動産は高騰していて拠点にするにもそれなりの額が必要となる。


 そしてもう一つ拠点の証明になるものがある。

 今の王都では獲得がかなり難しく最も成功している証となるギルドの創設だ。

 ギルドに所属すればギルドマスターだけでなくギルドメンバーもそのギルドのある都市の拠点証明ができる。

 王都にギルドを持っていればそこら中から参加させてくれとラブコールの嵐に苛まれる。

 ギルドメンバーの数はギルドのランクで変動する。

 ランクはどれだけ国に貢献したかで上がったり、下がったりする。

 基本的に下がることはないがよっぽど迷惑をかければ降格もありえる。


 そしてその嵐に苛まれている一人が俺だ。

 暗殺ギルド『影の館(シャドーハウス)』は俺がギルドマスターであとは初期メンバーの4人の計5人で運営をしている。

 これは最初から変わっていない。


 このギルドの最大メンバー数はギルドマスターを含めて10人なので後、5人も参加できてしまう。

 それを嗅ぎつけたプレイヤー達が連日、影の館を訪れてくる。

 ギルドの中には参加するためにお金が必要だったり、参加後にノルマがあったりと現状はギルドマスターが非常に権力を持っている。


 しかし、俺からすれば迷惑な話でこんなことになるなんて予想もしていなかった。

 ギルド創設当時は確かに費用も必要だったし、ギルドマスターになるための最低レベルの縛りもあって大変だなと思っていたが今を考えれば笑えるほど安かったといえる。

 最低レベルに関してはすでにレベル60以上のプレイヤーなんて多数存在している。

 問題は費用の方で今ギルドを創設しようとすると当時と比べれば10倍以上のお金が必要になる。


 まぁ、俺はギルドの創設費用を払ってはいないのでなんともいえないのだが……

 その分ジャンヌからの依頼を結構受けてるし良しとするように自分に言い聞かせている。


 ありがたいことだが、ジャンヌが張り切りすぎて王都の中で最も立地のいい場所に一際目立つ豪華な建物がこのギルド。

 外部の人間が見ればかなりの高物件ギルドなのでなんとか参加しようとアピールしてくるプレイヤーが多い。


「クロツキー、またこんなに手紙が届いてるよ」

 マスター室にリオンがノックもなしで入ってくる。

 手には手紙が山ほど入ったダンボールが抱えられている。

「あぁ、そこに置いといてくれ」

 ダンボールの積まれている一画に目を向けた。

 そこにはダンボールの山があり全て手紙が入っている。

 手紙の内容はどれも似たようなもので、ほとんどが履歴書のようなものだ。

 ステータスと今までに倒したことのあるモンスター、参加すればどんなメリットがあるかなど。


「もうさ、とりあえずメンバーをマックスにすればいいんじゃないの」

「そうもいかないよ、きっちり精査しないと」

 適当にメンバーを増やして崩壊していったギルドを知っている。

 しかも一つや二つではない。

 ギルドの乗っ取りもあるし、犯罪者がメンバーになってギルドの貢献度が地に落ちたなど。


「また暇なときに見ることにするよ。というか、事務的な人を入れて、ある程度精査してほしいくらいだ」

「そんなこと言ってるから、どんどん増えていくんじゃん。暇なんてそんなにないわけだし」

 ありがたいことに暇な時間があまりない。

 今日も依頼人が話をしにくることになっている。


「クロツキさん、依頼人の方が到着したので応接室に通してますね」

「ありがとう」

 今はルティが事務的なことの多くをこなしてくれている。

 なんとかしないとなとは思いつつも事務的な人間を見つけるのは容易ではなかった。

 そもそも、プレイヤーでそんな職業の人間はほぼいないだろうし、ゲーム世界でまでそんな仕事的なことをしたがるものがいない。

 現地人(ローカルズ)もなかなか……

 暗殺ギルドはあまりにも外聞が悪すぎるんだよな。


 応接室に入るとソファに腰掛けていたのは長髪ブロンドの女性で、かなり綺麗な顔立ちをしている。

 ソファに座ったタイミングでルティがお茶を出してくれる。


「今日はお越しいただきありがとうございます。早速ですが依頼についての話をしましょうか」

「はい」

 女性は数枚の写真を机に置いた。

 そこにはパーティだろうか、何人かの男女の姿があった。

「このパーティを暗殺して欲しいのです」

 暗殺依頼、他のギルドでは受けれない暗殺ギルドならではの依頼。

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