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70話 パートナーは見つかった!!

 チャリックの市長モリアーティから依頼を受けたリオンとジャックはとある渓谷を歩いていた。

 少し前までは澄んだ川にその周りを茫々と生え立つ木々が囲んでいたが、今はもう川は干上がり、冬枯れのように緑なく生命を感じさせない死の大地と成り果てている。


 そんな大地を見渡すように天高くを空と同色の何かが滑空する。

 何かはそのままリオンの方めがけて一直線に降りていき直前でまるまると、空色の毛が白色に変わり肩に着地を決めた。

「どうだった?」

 リオンの問いかけに小さな小動物は見る限りでは何もなかったと首を横に振る。


 クロツキの戦闘は多くの人間に視認されている。

 その中でクロツキ本人の異常さも話題にはなるが、パートナーのように見事な連携をしていた黒き竜にもフォーカスは当てられた。


 明らかにテイマーやサモナーではないクロツキが従魔を連れているように見えたからだ。

 自分にもあのようなパートナーが欲しいと求めたのはリオンとルティだけではなかったということだ。


 運営にも問い合わせの声が殺到したのであろうが、運営は口を閉ざして頑なにそういうシステムがあり自分たちで見つけろの一点張り。

 そのすぐ後にシステムに関しての噂が広がることとなる。


 ツクモシステムと呼ばれ、従魔とは全く別の立ち位置で一人一匹のモンスターを装備品として装備することができる。

 特徴は各モンスターが何かのアイテムに変身できる点であろう。

 いや、アイテムがモンスターに変身できるというべきか、このような論争もあるが鶏とたまごの話のように答えは出ていない。

 ただ、ツクモシステムの名前の通りであればアイテムに魂がこもったと考える方が無難なのでアイテムからモンスターという説が若干優勢ではある。

 若干なのはモンスターがアイテムに姿を変えたという報告が多数あるためどちらの可能性もあるのだ。


「やっぱり、生命反応はないみたいですね」

 ジャックも地上から探索をするがその網には何も引っかからない。

「今日はここで野宿にしようか」

「そうですね」

「じゃあ、シャルマンお願い」

 リオンの見つけたパートナーは真っ白な毛並みのモモンガ。


 シャルマンが変身すると風呂敷へと姿を変えてリオンは風呂敷の中からキャンプセットを取り出す。

 プレイヤーの使用できるアイテムボックスには重量や個数などの制限があり中々、大きなものを運ぶことは難しい。


 シャルマンの風呂敷の能力は収納能力でアイテムボックスに入らないような大きなものや重量のものを収納できる。

 戦闘向けではないがサポートとしては破格の能力と言える。

 さらにモモンガとしての種族能力ともいえる滑空が使えることから上空から広範囲の索敵もできるのだ。

 もちろんリアルでの滑空とは訳が違うので結構な機動力も持っている。

 二人は慣れた手つきでテントを張って夜に備える。



§



 オークの巣食う山を目指すルティとオウカは近づくにつれ増えるモンスターに異常さを感じていた。

 モンスター達は自分達を襲ってくることなく、ひたすらにその山から離れようとしていた。


 数としてはそれほど多くない上に危険度も高くないため仕方なくモンスターを無視して先を急ぐ。


 オークといえばそれほど強いモンスターではない。

 体格は2メートルを超え、力は強いが残念ながらおつむが弱い。

 魔法もほとんど扱うことができず、戦闘手段はシンプルに殴ったりするだけ。

 棍棒を武器にしている個体が多いのは扱いの難しい武器は使えず剣すらも彼らからすれば扱いづらいといえるのだ。


 元々その山に近づく人間は少なかった。

 森の主であるカリブニウの怒りをかわないためだ。

 カリブニウは鹿のモンスターで草食だったため、人を襲うことはなく、山の中から出ることはなかった。

 縄張りである山を荒らす存在を許すことはなく、人間などが入れば一瞬で殺され森の栄養とされる。


 麓の村からは森の守護者と崇めら祀られる存在であり、山の向こうからやってくるモンスターを村に来る前に山で始末してくれていた。


 依頼主によるとどこかのバカがカリブニウに攻撃を仕掛け弱らせてしまったため、オークの侵攻を止めることができなかったらしい。

 プレイヤーからすれば土地土地に根付いた伝承など気にしない傾向が強い。


「ルティ、来たみたい」

「はい、シューシュ」

 山の麓の村はすでにオークのものになっている。

 村に入ってすぐに複数のオークが二人を囲んだ。


 ルティのパートナーである黒ウサギは足下を跳ねていたがルティの声で姿を黒いヴェールへと変えた。

 その瞬間、オークはルティが消えたことに驚くが、すぐに残っていたオウカをターゲットにした。


 複数のオークが棍棒を持ってオウカに殴りかかるがオウカは身体強化の『城門化フィジカル・キャッスルゲート』を発動させる。

 オークの攻撃では防御力の上がったオウカを傷一つつけることはできない。

 オウカはその場から動かず反撃をしようともしない。

 ただただ攻撃を受け続ける。


 次第にオークの動きが鈍くなっていく。

 一匹のオークが倒れるが、気にも止めずに他のオークはオウカを攻撃する。

 また一匹オークが倒れる。

 パタパタとオークは倒れて行って最後の一匹も倒れた。


「見られてますよね」

「そうだな」

 ルティは終始オウカの隣にいて終わったのを契機に話しかける。

 黒ウサギのヴェールの能力は認識阻害。

 後衛にはありがたい能力だ。


 森を見ながらオウカは返答した。

 ルティの魔法を使用して最低限の魔力消費で村のオークを殲滅。

 二人は森を目指して歩みを進める。

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同シリーズを毎日投稿しているので、ぜひよろしくお願いします!!

もふもふ従魔が厨二病に目覚めた件
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