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59話 暴飲

 30メートルの巨体、翼と尻尾があって黒い体には深緑のラインが何本か走っている。

 館に突如として現れた巨大な悪魔は未だに動きを見せず数刻が経とうとしていた。

 その間に近隣の住人の避難は終わり、警備隊は悪魔への対処についてソーンから話を聞いて準備を進める。


 原始の悪魔の一柱、暴飲の『ラフェグ』。

 かつて数万の魂を吸い尽くして一国を壊滅状態まで追い込み封印されたと言われる神話に出てくるような悪魔。

 だが、長い封印状態とたかだか100の生贄では本来の力など発揮できるわけもなく相当弱体化している。

 魂を吸い尽くして自らの力に変えるライフドレインは使えず、今はただ多少の魔法を使って暴れるしかできない。

 しかも、魔法を使えば使うほどストックした魂は消費されていくので徐々に弱くなっていくはず。

 ひたすら耐久していれば、封印の鎖で再び長い眠りにつく。


 ソーンがジェイから聞いたラフェグの情報だった。

 それが本当かどうかは分からない。

 ジェイは悪魔であり警備隊を裏切った。

 ロックもソーンもそれを踏まえて、真実を最後に話してくれたと判断して準備を進める。

 それにそれ以外に情報もなく頼るしか選択肢がなかったのも事実。


 街が悪魔を中心に静寂と緊張感に包まれる中、とうとう動き出した。

 目が開き、一気に魔力が放出される。

 悪魔の周りの地面からいくつもの樹木が生えてきて生き物のように動き、人を感知して襲いかかる。

 長い眠りから起きた悪魔が初めにする行動は食事。

 ラフェグの扱う魔法は緑系統で樹木を主としている。

 樹に捕まると生命を吸われてミイラのようになってしまう。


 巨木が人を襲うがそれは警備隊で対策は万全。

 フルアーマーと大楯を担いだ警備隊が巨木を防ぎ、後ろから他の隊員がバフをかけまくる。

 一度動きを止めたところを横から切り倒す。

 これが全ての巨木に対して行われ完璧に防ぎきることができた。

 ジェイの話通りの行動で信憑性が高まり、すぐに次の動きに入る。

 警備隊はラフェグには近づかずに巨木を攻撃する。

 巨木はラフェグと繋がっておりダメージとして換算される。


 巨木が地面へと引っ込んでいく。

 第二段階の行動に移った証拠でありここからが本番。

 ラフェグの戦闘方法は弱者から魂を吸い取り、それを糧に自身の身体能力を上げる。

 強者に対しては素手での殴り合いを選択する。


 ここから戦闘に入るのはクロツキ、ロック、ジャックの三人。

 あくまでも攻撃して倒すんではなく、相手に攻撃をさせて消耗させるのが狙い。


「ゴァァァァァァァァ」

 ラフェグの雄叫びが街に木霊し、恐怖を煽る。

 巨木がラフェグに絡みついていく。

 それは鎧であり武器にもなるラフェグのフルアーマー。


 ラフェグは跳躍して拳を振り下ろす。

 その先には三人の姿があった。

 封印されたラフェグからすると強者に近い三人を狙う。

 肉弾戦は予想していたが想像よりもラフェグは身軽で素早く、クロツキとジャックは職業もあって回避を選択できたが、ロックは攻撃を剣で受け止めた。

 否、受け止めきれずに剣は折れて地面に潰される。

 呼吸はあるものの戦闘続行は不可能なのは明白だった。


 クロツキとジャックはすぐにラフェグに攻撃を仕掛けた。

 それはロックに追撃が行かないように、そして救出の時間を稼ぐために。

 巨体のために上への攻撃は難しく足を攻撃するが本当に少しの傷を与えることしかできない。

 それでも攻撃の手がロックから二人に移ったので成功ともいえる。

 あとは二人はひたすらに避ける。


 外から見ると簡単に回避をしてるように思えるがクロツキもジャックもギリギリだった。


「これは……きついな」

 巨体のせいで動きがゆっくりに見えるが実は違う。

 ラフェグはかなりの速度を持っている。

 この状態で耐久すればなんとかなるという作戦だったが終わりが見えないのでは精神が保たない。

 街の半分はラフェグの攻撃で壊滅状態、足場は悪く避けるのも難しくなってきた。


「ちっ……ジャック、離脱しろ」

 街の建物が残っているうちはジャックも糸を使って攻撃をかわしていたが建物がなくなると一気に厳しくなっていた。

 ジャックは唇を噛みながらかなり遠くにいる警備隊の元へと退いていった。


「……!? ディー」

 ラフェグは足で地面を蹴った。

 崩れた建物の瓦礫が散弾銃のように広範囲に飛んでくる。

 闇槍(ダークランス)で瓦礫の一部を破壊して、影踏を使って窮地を脱出する。

 向こうはただの蹴りを出しただけでこちらは回避の切り札の一つを失った。


 今までギリギリながら回避できていたのはラフェグが脳筋の攻撃しかしてこなかったからだが、徐々に先ほどの瓦礫を飛ばすなどのこちらが嫌がる行動をするようになってきた。

 未だほとんど封印され眠っている状態から覚醒していっている証拠でもある。


 何度避けたか分からない巨木を纏った拳での攻撃。

 体はほぼ反射的に動き横に避けたが、拳はこちらに届く遥か手前でピタッと止まって、避けた先の俺へと方向を変えた。

 あぁ、フェイントまでいれるようになったのか……

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同シリーズを毎日投稿しているので、ぜひよろしくお願いします!!

もふもふ従魔が厨二病に目覚めた件
― 新着の感想 ―
[気になる点] 57から58の間が飛んでいる気がします。 それに58と59の内容がほぼ同じなこともあり、投稿ミスに思えます
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