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44話 氷を纏う赤竜

 3チームが1人も欠けることなく目的地の鉱山跡地へ辿り着いたはずが、鉱山跡地の人数は大きく減っていた。

「どういうことだ?」

 Cチーム隊長のあーさーはAチームの拘束されていた3人に話しを聞く。

「それが……ヘルハウンドの8人は元々、抜け駆けをする予定だったみたいで、すでに先へ進んで行きました」


「計画が崩れてしまったが仕方ないな、修羅の皆さんは何かありますか?」

「別に興味もない。あんたらに任せるよ」

 あーさーにタツが答える。

「では俺が指揮をすることに異論はないだろうか?」

 特に異論が出ることはなかった。


「とりあえず第二陣を呼んでここに拠点を作ろう。防衛ラインを築いて警戒をしてくれ」


 当初の予定で第二陣は3つのルートに分かれてくるはずだったがBルートが使えず、元々Bルートを行く予定だったものが二つに分かれたせいで第二陣は思っているよりも到着が遅れていた。

 しかし、時間はかかったものの問題なく搬入は終わり拠点作りは開始された。


 ここで活躍するのが職人達で特に職業が建築家のプレイヤーは三次職ながら重宝された。

 それぞれが連携をしながら作業を進める。


 炎の魔法によって雪が溶かされ、地面が整地されていく。

 作られていくのは防衛拠点である城のような建物。

 リアルなら何年もかかるような大規模建築も魔法を使えば数時間で完成する。

 防衛拠点の完成の目処が立ったところで第三陣を呼ぶ。

 こちらも問題なく鉱山跡地に辿り着き、準備を始め、第一陣は城の中で体を休めてレイド戦に備える。


 その頃、ヘルハウンドの面々はレイドボスのドラゴンと対面していた。

 全長20メートル、翼を羽ばたかせるたびに冷気を含んだ突風が捲き起こる。

 赤竜アグスルトは赤の名前を持つものの全身氷の鎧で包まれていた。


 アグスルトの口から吐かれた氷柱で2人が瞬殺された。

「ハァァァァァァ」

 レスタントがハルバードを振って近づいた瞬間に全身が氷漬けになり粉々になる。

「あれは、白銀の風!? 全員後ろに下がって」

 カリアナは自身の中で最も強力な凍結魔法『白銀の風』で目前に迫る凍結の突風に対抗する。


 それは拮抗したかのように思えたが、アグスルトが翼を一つ羽ばたかせると一気に傾き、ヘルハウンドのメンバーは凍りついていく。

 唯一生き残っていたのはリーダーのハザルだけだった。

 それでも片腕は粉々に砕け、全身にも氷の膜が張っている状態。


「これは……想像以上だな。ちっ、ミスったな……普通に倒せるように設定されてねぇんじゃねぇか」

 目の前の敵はどう考えても下にいる戦力を総動員しても太刀打ちができるとは思えない。

 しかし、イベントである限り絶対に勝てないなんてことはあり得ない。

 何か倒すための条件があるはずだと推測する。


 デスペナルティは確実だが、今の体でも奴の能力を少しは解明することができるはず。

「喰らい尽くせ、ヘルハウンド!!」

 無数の影がアグスルトに襲いかかるが、氷柱で蹴散らされていく。

 アグスルトの起こす吹雪のせいか通信をとることもできずにハザルは光の粒子へと変わっていった。



§



 王国のほとんどのプレイヤーがレイド戦に夢中になっている中、面白くないと感じている連中もいた。

「くそがぁぁぁぁぁぁ」

 イヴィルターズのイーブルは荒れていた。

 それを周りのメンバーもなだめるが簡単にはおさまらない。

 理由は多々あるが、最大の原因はクロツキとの戦闘が動画で拡散されてかなりの再生数いっていること。

 直接喧嘩を売られることは少ないが負け犬を見るような目に晒される屈辱を受けていた。


 その影響はさらに悪い方向へと働き、イヴィルターズを抜けるメンバーが多数出てきた。さらに主要メンバーまでもが抜けてしまって、かなりの戦力ダウンを強いられている。

 そのせいでモンスター狩りがしづらくなっていた。

 こちらを見かけると攻撃してくるようなプレイヤーがいる中でモンスターの相手はしていれられない。


 レベリングもままならず、周りの目を気にしてこそこそと生きている現状でイヴィルターズは未だにギルド化もされていない。

 四次職になることができていなかった。

 どんどんと周りに抜かれていく中で開催されたレイド戦。

 モンスター狩りと同じ理由で参加することができなかった。

 それほどまでに恨みをかっていることは自覚している。

 それ故に何もできない現状に苛立ちを隠すことができない。


「こうなったのはあいつらの責任でもある。殺りにいくぞ!!」

「いいんですかい?」

「今ならプレイヤーはレイド戦にいっている。問題はないさ。今度こそ村人全員殺してやる」

 イヴィルターズは隠れ家にしていた森を出て、レストリア近くにある村を目指した。

 全ての原因を他者のせいにして、ただただ憂さ晴らしをするためだけに村人を殺そうとしていた。

 メンバーでそれを止めるものはおらず、むしろ笑って準備をするような連中達だった。

 そもそも、ここで止めるような奴はイヴィルターズになど入らない。


 そして分かっていた。イーブルの言った通り多くのプレイヤーはレイド戦に挑んでいて、残っていてもレベルの低いプレイヤーだけなのは事実であると。

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同シリーズを毎日投稿しているので、ぜひよろしくお願いします!!

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