表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/117

42話 ヘルハウンド

 ユニオール山脈でレイド戦に向けて作戦会議が行われる。

 まず話し合いで出た話題はチーム分けである。

 3つのルートで第一陣、第二陣、第三陣の9つのチームに分かれるのだが、四次職は第三陣に入ることはない。

 第二陣に入るのも僅かな人数。ほとんどが第一陣になる。

 すると3つのルートのどこになるかだ。


 Aルートは道中が楽だがモンスターの数も多いと予測される。

 Bルートはモンスターの数こそ少ないが道のりが険しい。

 CルートはAとBを足して2で割ったようなコース。


「俺らはAコースでもいいかい」

 ギルド『ヘルハウンド』リーダーのハザルが提案する。

 特に文句や意見などは出ない。ほとんどが今日初顔合わせでお互いの実力すらよく分かっていない。

 自動的に提案は受け入れられ、ヘルハウンドの8人がAルートに決まった。

 四次職が8人は現在の王国でも最多である。


 ここから、それぞれが思うままに行きたいルートを選択していく。

 それぞれのルートの隊長も決まり、作戦は決行される。


 Aルートでは隊長のハザルが自分のギルドメンバーと後から決まった3人に発破をかける。

「よっしゃ、オメェらとっとと行くぜ。足手まといは置いてくからなぁ」


 道中は穏やかなもので3000メートル程度まではスイスイと進んでいく。

 リアル世界ならこんな簡単には行かないがここはゲームの中であり、メンバーは全員がトップクラスの精鋭達。

「随分と楽だな。これじゃあピクニックだ」

「猛吹雪のピクニックはきついっすね」

 ハザルに返答するのはヘルハウンドのメンバー。

 登り始めてすぐに吹雪が襲ってきたのだ。

 ユニオール山脈は吹雪いたとしても頂上付近だけだった。

 それがドラゴンが来てからは少し登ると吹雪に襲われるような雪山へと変化させられていた。


「そっ、そんな……大量の敵影を捕捉しました。囲まれてます」

「ちっ、使えねぇな。テメェら準備しな。ここからが本番みてぇだからな」

 モンスターの気配を察知したのは後から決まった3人のうちの1人。

 いつもならもっと先まで気配を察知することができるが猛吹雪がそれを邪魔していた。


 ハザル達を囲むのはユニオールエイプ。全身真っ白な毛に覆われた2メートルをこす大型のゴリラ達が目視できるだけで二十匹以上。

 一匹、一匹がかなりの強さを誇るであろう上に猿型は知能が高いのも特徴だ。

 さらに慣れない吹雪の中での戦闘となる。


 隊の1人に飛びかかったエイプがバトルアックスで縦に両断される。

 ヘルハウンドメンバー、ハルバードジェネラルのレスタントはその後も強敵のはずのエイプを一撃で屠っていく。

 同じく雪原の魔女、カリアナも魔法で攻撃を仕掛ける。

「凍てつけ猿ども」

 吹雪の中を生活し、寒さには強いはずのエイプが凍っていく。

 カリアナがその氷を叩くとエイプは粉々に砕けて崩れ落ちる。


 ギルド『ヘルハウンド』は全員がバリバリの戦闘職でほとんどの時間をモンスター狩りに費やしている。

 ユニオールエイプをものともせずに進行を続けていると、前から巨大な雪玉が戦闘を歩くハザルに襲いかかるが、ジェネラルガーディアンのレオポルドの盾で防がれた。

 

 雪山で激しくドラミングするのは4本腕のユニオールエイプだった。

「ボスモンスターか、俺に任せろ」

「まぁ待て、犬どもが腹が減ったらしい。あいつは俺が喰うぜ」

 レスタントが前に出ようとするのをハザルが止める。

「喰らい尽くせ、ヘルハウンド」

 ギルドの名前にもなっている、ハザルの魔法。

 影から無数の犬型モンスターがボスであるユニオールエイプに向かっていき次々と噛み付いていく。

 何匹か拳で頭を潰され影に戻っても、ハザルの影からはまだまだ出てくる。

 最初は激しく抵抗していたエイプも徐々に力をなくし地面に崩れる。

 その後もヘルハウンドによって喰い尽くされ、周りにいたエイプはボスがやられ戦意喪失したのかなす術なく全匹喰い殺された。


 戦闘集団ヘルハウンドで頭を務めるシャドウマスター、ハザルの実力は伊達ではない。

 その実力を知らなかった3人は恐れを抱く。

 同じ四次職でもこうも差が出るものかと。


 しかし、それは当然のことだ。

 一次職のレベル上限は10、二次職は20、三次職は30、四次職は40と職業が上がるごとにつれその差は顕著に広がりやすくなる。

 さらにそこに装備やスキル、称号も加われば差が出るのは分かりきっている。

 それでも恐れてしまうのはハザルの召喚したヘルハウンドが3人を食料として見ていて涎を垂らしているように思えるからだ。

 影でできた姿ではっきりとは分からないが確実に腹を空かせていると分かる。


「おい、そいつらは喰いもんじゃねぇぞ」

 ハザルの言葉でヘルハウンド達は渋々影に戻っていく。


「おっ、見えてきましたね」

「あれが跡地か……見事に雪に埋もれてるな」

「どうする? 私たちが一番乗りみたいだけど」

「当初の予定通りでいくぞ。そのために最短ルートを突っ切ってきたんだからな」

 ハザルは3人にゆっくりと近づいていく……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング



同シリーズを毎日投稿しているので、ぜひよろしくお願いします!!

もふもふ従魔が厨二病に目覚めた件
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ