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4話 初めてのモンスター狩り

 街の外へ出て少し歩くと平原が広がる。

 遠くには森があり山が見える。

 気持ちのいい風が草木を揺らし、自然の匂いを運んでくる。

 現実世界では体験したことのない圧巻の大自然。


 ただ残念なことに、ここは初心者プレイヤーに優しいモンスターの狩場でもあるので、多くのプレイヤーがモンスターを狩っていて血生臭いものになっている。

 二日目ながら、そこそこのプレイヤーが狩りに励んでいる。

 職業訓練所への行列は健在であったことから、今日から始めたプレイヤー達だろう。

 昨日始めたプレイヤーが普通にプレイしていれば次のエリアへ進んでいったはずだ。


 マップ毎に8つのランク分けがされていて、俺の選んだスタート地点である『領都レストリア』とその近郊は最もランクの低いGランクだ。

 ランクによって出てくるモンスターの強さや数が変わる。

 それも当然だな。

 いきなり強い敵が出てきて殺されまくったら何も楽しくないからね。


 スタート地点の選択は他にも複数あった。

 それは他の国であったり、モンスターを選んでいるなら魔族領のどこかを選択したりだとか、国や領地すら自由に選択できる。

 概ねどこのスタート地点を選択しても難易度は変わらない。

 これは混雑を避けるためだと考えられる。

 避けた上で職業訓練所の混雑を考えると全員が一ヶ所だったら恐ろしいことになってるはずだ。

 友達と一緒に始めるならスタート地点は合わせとかないといつ合流できるか分からなくなってしまう。

 ちなみに俺は1人で始めたので適当に決めました。


「さてと、もう少し離れたところに行くか」

 ここではモンスターの数に対してプレイヤーが多すぎる。

 攻撃に巻き込まれる可能性もあるからな。

 とはいっても離れすぎはしない、集団の端に行く程度だ。

 あまり行きすぎると強いモンスターが出てきてしまうし、人が少なくなるとモンスターに囲まれる可能性も高くなる。


 丁度いい具合に1匹の一角ウサギを見つけた。

 まんま、ウサギに角が一本生えている。目つきはちょっと悪い。

 一角ウサギもこちらに気づいたようで後ろ足で地面を鳴らし威嚇してくる。

 俺は右手にダガーナイフ、左手に初心者ナイフを構える。


-暗器使い(仮)-

DEXとAGIが成長しやすく補正がかかります。

重量の軽い武器の取り扱いが得意。

初期スキル:『暗器術』『敏捷向上(アジリティアップ)


 暗器使い(仮)の武器スロットは二つ。右手と左手にそれぞれ軽い武器を持つことができる。

 まぁ、スロットがなくても持てるには持てるがその状態だと色々とペナルティが発生する。


 暗器使い(仮)に転職して覚えたスキルは二つ。

 まず暗器術は身につけている設定した武器一つを武器スロットの武器と入れ替えることができる。

 例えばダガーナイフを腰につけておいて、右手に初心者ナイフを持っておく。

 スキルを発動させると初心者ナイフとダガーナイフが入れ替わり、初心者ナイフはアイテムボックスにしまわれて、右手にはダガーナイフ。

 これは武器を持っていなくても発動できる。


 本来、武器の付け替えは時間がかかり、戦闘に不利になるが設定している武器とならすぐに付け替えることができるスキルだ。

 今のところは武器は二本しかないので初心者ナイフを設定して腰に差しておく。

 いざとなったときにスキルを発動させて初心者ナイフで守れるようにしておく。


 二つ目は敏捷向上(アジリティアップ)だが、一定時間AGIを上昇してくれるスキル。

 現在はステータスアップ不可の制限中なので使えないのが残念だ。


 さぁ、目の前のモンスターに集中しよう。

 来たっ!!

 一角ウサギの突進は思ってるよりも速かったが簡単に回避に成功した。


 さすがはゲームの世界。

 リアルよりも速く動くことができる。

 さらに暗器使いの特性でAGIに補正がかかっているので、他の職業よりもスピードが出る。

 職業補正に関しては制限されてないのでしっかりと体感できる。


 補正といっても一次職のそれなど微量なはずだが、ここまで変わるとささやかなステータスアップも馬鹿にはできないなと思う。

 これなら一角ウサギの突進は当たる気がしない。

 気持ち良くなって攻撃もせずに何度か突進を躱し、そろそろ攻撃に移るかと思った時に気づいてしまった。


 俺は人型の模型にしか攻撃したことがない。

 どこを攻撃するかだが、手足となると一角ウサギが小柄すぎて難しいな。


 一角ウサギはジャンプして俺の胴体目掛けて突進をしてくる。

 躱しざまに首を攻撃。


 あっさりと倒してしまった。

 他のプレイヤーの戦闘を見ている限りでは戦士系統だと思われる職業の大剣の攻撃……はさすがに一撃か。

 当てるのに苦労してるようだが。


 しかし、片手剣の攻撃なら一撃では倒れていなかった。

 そんな一角ウサギを一撃で倒してしまったのだ。

 暗器使いはSTRに補正はかからず、戦士系統はSTRに補正がかかっているはず。

 しかもスキルを使って攻撃力を上げてるはずなのに二撃かかっている。


 ということは結論は一つ。

 このダガーナイフのおかげか。

 俺はダガーナイフを見る。

 初心者ナイフを使う暇もなくウサギを倒してしまった。

 何を隠そうこのダガーナイフはランクDなのだよ。

 ランクDなど、ゲームを遊び慣れた人間からすると大したことないように聞こえるだろうが、ここの適正ランクを考えれば三つも格が上ということ。

 これなら楽に一角ウサギを狩ることができる。


-レベルアップ-

暗器使い(仮):レベル2になりました。

ステータスが上昇しました。

SP3を獲得しました。


-アイテム獲得-

『一角ウサギの皮』を獲得しました。


 そして初モンスターを倒したことでレベルが1上がり、一角ウサギの皮を手に入れた。

 俄然楽しくなってきました。


 サクサクと一角ウサギを狩りまくりあっという間に目標の5匹は狩ったのだが、楽しいのでもう少し狩りを続けることにした。

 とりあえずレベルが5になるまではやろうかな。


 とにかく狩って狩って狩りまくる。

 気分も高々に一角ウサギを狩っていると、どうやら森に近づきすぎたみたいだ。

 戻ろうとしても遅かったか。


 一角ウサギではないモンスターとの対面だ。

 腕の太さほどの細長い体をくねくねさせて頭を上げて森蛇(フォレスネーク)は威嚇してくる。


 だが、俺は至って冷静である。

 一角ウサギよりも少し強い森蛇(フォレスネーク)一匹には脅威を感じない。

 では目の前にいる三匹ならどうだ。

 問題を感じない。


 まずは先制攻撃で数を減らす。

 一匹の首を切り落とすことに成功したがすぐさま別の二匹が噛みつこうと足元に近寄ってくる。

 すぐにその場を離れる。


 さっきよりも警戒している二匹にどう攻撃を仕掛けるか。

 膠着状態が続く。


 二匹の森蛇を中心に円を描くように攻撃をするフェイントを入れながら歩く。

 これで相手が乱れるのを待つ作戦だ。

 相手はモンスターだ、じっくりやっていれば隙は生まれるはず。


 ほらね、二匹はこちらの動きに注視するあまり自分たちの体のことを忘れている。

 俺が斬りかかると森蛇も反撃してこようとするが体が絡まって思うように動けていない。

 初心者ナイフで攻撃を受けてダガーナイフで素早く首を斬って倒した。


 おっ、これでレベル5に上がったな。

 新たなスキルを獲得できた。


-スキル獲得-

『惑わしの歩法』相手は3分間移動によるフェイントにかかりやすくなる。


 試したい気持ちもありますが、日も落ちてきたし、そろそろ戻りますか。

 セバスさんのとこには明日向かうことにしよう。

 順調、順調。


 んっ!?

 影が動いたように見えたが気のせいか。

 いや、地を這うような音がする。

 森蛇(フォレスネーク)か?

 だが、音が大きい。


 それは突如、姿を現した。

 人の胴体ほどの太さをした巨大な森蛇。

 アナコンダの写真をネットで見たことがあるが、いざ目の前にすると迫力が半端ないな。

 こいつの色味も関係してるとは思うが……

 さっきまでの腕の太さの森蛇は濃い緑色だったが、こいつはそれに毒々しい紫色が混ざっている。


 名前は紫森蛇ヴィオラ・フォレスネークか。

 森蛇(フォレスネーク)の上位種だな。

 調子にのった罰がやってきたのか。


 死にたくないな。

 チュートリアル中はデスペナルティはないが、俺はチュートリアルが破棄されてるからな。


 逃げるのも無理そうだよな。

 見事に街までの退路は塞がれている。

 前方の森はこいつのテリトリーだろう。

 戦うしかない。

 負けても実際に死ぬわけでもないしやるだけやってみますか。


 ダガーナイフを構える。

 この武器の性能と暗器使い(仮)の補正があれば倒せる可能性は十分ある。

 職業補正はレベルが上がれば上がるほど大きくなる。

 レベル1の時よりもレベル5の今の俺の方がステータスは上がっている。


「シャァァァァァァァ」

 紫森蛇ヴィオラ・フォレスネークの金切り声が森に響いていく。

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もふもふ従魔が厨二病に目覚めた件
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