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21話 黒のドラゴン

 馬車での会話が弾んだおかげでお尻が痛いのも軽減され気づけば王都グランシャリアも見えてきた。

 あれがグランシャリアか……

 さすがは王都というだけあって、とりあえず城が凄いな。

 まだ距離はあるはずなのにでかい。


 遠くにそびえ立つ王城を眺めていると馬車が大きく揺れ落ちそうになる。

「おっとっと」

 馬車が止まっても揺れている?


「皆さん、どうやら当たりを引いてしまったみたいです」

 揺れが激しくなってきて、目の前の地面が崩れて中から巨大なモンスターが飛び出した。

 海にいるはずの巨大なそいつの口は馬車を一飲みできるほどのサイズがあり、背びれが付いている。


 再び地面に潜るが背びれの動きでこちらへ近づいてきているのが分かる。

 馬車の数メートル手前から大きな口を開いて飛びかかってくる。

 まるで鮫のようなそいつの名前は『ジャイアントサンドワーム』。


 大きな口はすでに馬車を捉えているがその前にジークが立つ。

「『ディバインシールド』」

 光の壁は巨大な顎から俺たちを守ってくれる。


 馬車の中の全員がモンスターの出現で各自の仕事を務めるため素早く行動する。

 地面に潜り距離を取る巨大鮫向けててるみんが弓を構える。

 放たれた矢は巨大鮫の上の地面に刺さり大爆発を起こし、巨大鮫が打ち上げられた。


「今だよ」

 てるみんの声で一斉に攻撃を仕掛ける。

 俺もダガーナイフで攻撃を仕掛ける。

 ジークは大剣で、てるみんは引き続き弓を仲間に当たらないように撃ち、青江は大槌で、ワトソンは鞭で攻撃をする。


 ジャイアントサンドシャークはすぐに倒れた。

 さすが三次職だと思っていたが、どうやら違うようだ。

「HPが低すぎるね」

「これはどっちだ」

「微妙なとこですね」

 戦闘をしていて途中で力尽きて、俺たちが次のターゲットになった場合となんらかの理由で俺たちになすりつけた可能性の二択があるらしい。

 前者なら仕方ないが、後者はマナー違反だ。


 まぁ、何にせよ大事に至らなくてよかった。

 その後は特に何もなく無事王都にたどり着けた。


「じゃあなんかあったら連絡してね」

 てるみんが颯爽とかけていった。

 他のメンバーも散っていく。

「時間は少しかかるがお礼は楽しみにしておいてくれ」

 青江さんも行ってしまった。

 こうなると少し寂しい気もするが、気を取り直して転職しに行きますか。


 俺の転職先は2種類だった。

 殺し屋か双剣士の二つだ。


 殺し屋の特徴は暗器使いの延長線上のようなもので暗器使いの特徴に罠系のスキルが足されたような職業。


 双剣士は俺がナイフをよく使っていた事で選択可能になったと思われる。

 暗器使いはかなり軽い武器のみしか扱えなかったが双剣士なら剣に限って、扱える剣の重量が増える。

 

 正直、どちらも微妙だと言わざるを得ない。

 双剣士は戦士からの派生であれば人気もあるしそれなりに強いというのも聞くが俺のSTRでは全く良さが活かせない。


 となると殺し屋になるのだが、罠系のスキルは未知数なんだよな。

 βテストの情報なら落ちているが、結構な仕様変更があってあてにはならない。


 悩んでいるとコールが鳴る。

 さっきのさっきで青江さんの準備ができたのかと驚いたが違うかったようだ。

 セバスさんからのコールなんて珍しいな。


「どうしたんですか?」

「クロツキ様、急なご連絡申し訳ありません。実は折りいってクロツキ様に依頼をお願いしたいという人物がおりましてレストリアまでお越しいただけませんか」

「えーと、実は今王都のグランシャリアにいまして……」

「でしたら、ここに向かってくだされば大丈夫です」

 それだけいうとセバスさんからのコールは切れた。


-クエスト-

『レストリアへ急げ』が開始されます。

3時間以内に領都レストリア、シュバルツ城へつかなければ自動的に破棄されます。


 急なクエストだな。

 まぁ、受けるつもりではあるんだが、セバスさんは大丈夫といっていたが3時間しかないのか。

 とりあえずマップに示された場所へ行ってみる。


 王都の外れにはスラム街がある。

 またこんなところだよ、領都よりもひどい気がするな。

 歩いてるだけで幾多の殺気が感じられる。

 30人以上はいるだろうか、俺の周囲を囲んでくる。

 たちが悪いのがレストリアの裏道にいたチンピラたちじゃなく、きちんと強そうな奴らなんだよな。

 でも逃げるくらいなら何とかなるか。


 逃げようとルートを探していると、そいつらが急に道の隅に寄っていく。

 すると執事服を着た若い男がやってくる。

「クロツキ様、お待ちしておりました。お話は聞いていますのでこちらへお急ぎください」

 あぁ、この若い男もセバスさんと同じでやばい匂いがぷんぷんとする。


 俺は案内されるがまま着いていくとそこにはファンタジー定番の存在、ドラゴンが待っていた。

 ジャイアントサンドシャークよりも大きな体は黒い鱗に覆われて翼を広げるだけで木々が大きく揺れる。

 ではお乗りください。

 マジか……

 ドラゴンに乗れるのか。


 大丈夫と言われても恐ろしいものは恐ろしい。

 ゆっくりと近づいてまずは手をちょんと触れる。

 おぉ、これがドラゴンの皮膚か。

 吸い付くよう感触がなんとも言えない。

 意を決して足をかけて背中へと乗る。

 若い執事が前に乗りドラゴンに耳打ちをする。


「ではしっかりと掴まっていてください」

 ちょうど持ちやすいように鱗が立ち俺はそこを握る。

 ドラゴンは翼を大きく広げひとかきして空へと飛び上がった。

 翼を三回振るだけで雲の上に出る。


「私は執事のストルフと申します。どうぞよろしくお願いします」

 雲間から見える景色が高速で移り変わるのでとんでもないなスピードで飛んでいるのが分かるが、ストルフの声は鮮明に聞こえるし、ほとんど風も感じない。

「よっ、よろしくお願いします」

 セバスさんもそうだったが執事は絶対に嘘だろ。

 どうして執事がドラゴンを操れるんだよ。


 僅か十分ほどでドラゴンはシュバルツ城の庭へ降り立った。

 俺が降りるとストルフはドラゴンに乗ったままジャンヌに恭しく一礼をしてすぐに飛び立ってしまった。


 ジャンヌは庭でのんびりと食事をしているが、その反対側に見知った二人の顔があった。

 セン婆とルティだ。


「おぉクロツキ、久しぶりじゃな、王都からよくきてくれたな、まぁ座れ座れ」

「あっ、あの……どうも……」

 ルティはやはり後ろめたさがあるのかおどおどとしている。


「クロツキよ、その節は世話になったね。本当ならお礼をしたいところなんだがね」

「なんじゃ、多少殺し合った程度でうじうじしおって面倒くさい、我が端的に話してやろう。ルティの妹であるリオンがイヴィルターズなる集団に拉致監禁されておるので、クロツキにはリオンの救出を頼みたいらしい」


 ドラゴンの時点で限界突破してた俺の脳では処理不可能だ。

 ルティとリオンが姉妹……は、まぁまぁ分かる。

 イヴィルターズ?

 拉致監禁?

 はい、ショートしました。

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もふもふ従魔が厨二病に目覚めた件
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