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17話 餓者髑髏

 これがサクラの本気の戦闘か……

 オーバーロードの召喚したスケルトン達が鎧巨人の豪腕で片っ端から潰されていく。

 俺は巻き込まれないように遠くからその様子を観察する。

 これが作戦の第一段階。

 まずはサクラがスケルトン共の数を減らしつつ、オーバーロードの体力を削らなければいけない。


闇槍(ダークランス)

「ヘビィアーマー」

 オーバーロードの闇の魔力で作られた3本の槍がサクラを襲うが透明の鎧で弾かれる。

 そして攻守逆転し、今度は炎の腕がオーバーロードを襲う。

 鎧巨人の豪腕が炎を纏っているのはオウカの身に纏っているフルアーマー『忌火の守人』の効果だ。


骨壁(ボーンウォール)

 炎の腕は骨の壁に阻まれるが、気づけば召喚されたスケルトン達はもう数えるほどしかいなくなっていた。


「骨よ骨よ目覚めて戦え、スケルトン召喚」

 しかし、オーバーロードの魔法で再びスケルトン達が召喚される。

 だが、ただのスケルトンならなんの問題にもならないはずだと思ったが、そう甘くはないらしい。

 オーバーロードはさらに詠唱を続ける。


「骨よ骨よ(せい)(うらや)み狂気せよ『狂骨蔓延(きょうこつまんえん)』」

 ただのスケルトンを闇の魔力が覆い、姿を変えると様々な種類のスケルトン達がそこには並んでいた。


「むっ、面倒くさい……『豪炎解放(ごうえんかいほう)』」

 元々、炎を纏っていた炎巨人の豪腕から炎がさらに吹き出す。

 それはスケルトン達を灰へとかえる火力を持っている。

 遠く離れたここですらその熱波を感じるほどだ。


「やるではないか小娘、これを使わされるとは思わなかったぞ」

 サクラが押しているように見えるが当初の予定よりも時間がかかっている。

 懸念されていたことだがオーバーロードはユニークモンスターになっている可能性が高いとサクラは言っていた。


 ユニークモンスターとは最初は普通のモンスターだった存在が大量の経験値を得て、種族名ではない固有の名前を獲得すること。

 ルキファナスはプレイヤーだけが成長するのではない。

 モンスターも成長する。

 まぁ、プレイヤーがモンスターを選択することもできるのだから不思議ではない。


 さて、問題はこのオーバーロードがどれだけ強くなっているかだ。

 こいつは表のボスが倒したプレイヤーの経験値を得ている。

 そして自分たちは隠しダンジョンの最奥でひたすら隠れているのだ。

 サクラが隠しダンジョンを見つけなければ強くなり続けたはずだ。


 部屋の魔力濃度が一段と高くなる。

 オーバーロードの放つ闇の魔力が強くなっていっているのだ。

「骨よ骨よその怨念を以て敵を喰らい尽くせ『餓者髑髏(がしゃどくろ)』召喚」


 オーバーロードの持つ特性の一つで負のオーラを自らの力に変える。

 スケルトンが倒されれば倒されるほど負のオーラは強くなり、より強い魔法が扱えるのだ。

 よって取れる選択肢は短期決戦。


 無数の骨が重なり合い巨大な一体の骸骨へと姿を変えていく。

 それはサクラの使う鎧巨人の豪腕と同じほどのサイズ。

 餓者髑髏の両腕と鎧巨人の豪腕は組み合って力比べを始める。

 しかし、その間にもスケルトンは増えていく上に力比べも押されている。


「むむむっ、やっぱりかなり強くなっている……」

 作戦通りに行けばすでに第二段階に移行しているはずが、サクラはかなり苦戦していた。


「クロツキのお兄さん、一気に行くから準備しておいて」

 餓者髑髏と組み合っていた豪腕がサクラの元へと戻ってくる。


「ハッハッハ、どうした諦めたのか」

 オーバーロードの声が部屋に響く。


「『鎧巨人:忌火の守人』顕現!!」

 両腕の方から首、胴体が形を作っていき最後に顔が現れた。

 オウカの秘密兵器と言ってもいいスキル。

 あまりにも莫大な魔力を必要とするため滅多に使えないらしい。

 鎧巨人のスキルは珍しく、魔力を消費して発動させるスキルだった。

 オウカが普段腕しか顕現させていないのは魔力消費が激しいためだ。


 そのため、上半身の顕現が精一杯ということ。

 鎧巨人の上半身が宙に浮いていて、下半身はない。

 鎧巨人の上半身はまさにオウカを巨大化させたような姿をしていたが猛々しく燃え盛る炎を纏ったそれは炎の巨人と呼ぶに相応しいと思える。


 上半身は宙を浮かび餓者髑髏と力比べを再開させる。

 餓者髑髏の両手と組み合った瞬間に餓者髑髏の両腕の肩の辺りまで爆散していく。

 そのまま顔を殴ると大爆発を起こし餓者髑髏は無数の骨へと戻り灰となっていく。


「バッバカな、我の餓者髑髏がこんな簡単に……」

 炎の巨人は有無を言わさずオーバーロードを殴る。

 骨の壁を作っても何もないかのように飛び散り、オーバーロードの右半身が吹き飛んだ。


「ここまでやられるとは予想もしなかったが、我は不滅の存在、不死の王なり、この程度で倒せるとでも思ったか」

 オーバーロードがスケルトン達を強化した時のように闇の魔力が体を覆うと、吹き飛んだ体が元に戻る。

 焦りなどなく負けるはずがないと信じて不敵に笑っている。


 傷を負っても異様な速度で回復していく。

 これが不死であるオーバーロードの自信の源なのだろうが、サクラが既にネタを割り出している。


 ここからが作戦の第二段階であり、やっと俺が活躍できる場でもある。

 オーバーロードの回復の際、濃い闇の魔力が体を覆っているがよく見ると薄らとどこからその魔力が流れてきているのかが確認できる。


 見つけた!!

 部屋の隅で戦闘には一切参加せずにオーバーロードに魔力を供給している存在。


 スキル屋で購入していた潜伏で気配を消していた俺はそのモンスターに近づくと相手は驚いたようにこちらを見て逃げる。

 追いかけるが相手の速度はこちらがギリギリ追いつける程に速い。

 だが追いつけるのが重要でありAGIに振っていて良かったと思える。


 攻撃を一振り当てると希薄だったモンスターの気配が確かに感じられるようになり名前を確認することができた。

『スケルトンオーバーロード・ヴェルヴァ』、個体名を持つユニークモンスターだ。

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もふもふ従魔が厨二病に目覚めた件
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