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111話 騎士王

 騎士王、それは騎士の頂点たるものに与えられる。

 圧倒的武力と誇り高き精神を併せ持つ。

 騎士の誰もが一度は夢見たことだろう。


 聖剣クルドリア、王国を建国した初代国王の右腕として遍く敵を斬り伏せた伝説の騎士王が使っていたとされる神具。

 その力はシンプルで使用者のあらゆる能力を光の魔力へと変換して増幅させ、光の刃を作り出す。

 刃の形状は自由自在に変えることができる。

 あらゆる能力とは一般的なステータスからスキルや魔法まで本当に全てを変換する。

 一度変換してしまうとステータスは一定時間ダウンして、スキルや魔法なら一定時間使用が出来なくなる。

 何よりも隠しステータスすらも変換できてしまうのが聖剣クルドリアが他の武器とは一線を画す部分だ。

 ただし使用者が隠しステータスの値を正確に把握していなければいけないが、これはあまり問題ではない。


 ラインハルトは巨大な光の刃を作り追撃を行う。

 光の盾は砕け散ったがそのすぐ下にあったもう一枚の光の盾が刃を受け止める。

 ラインハルトの振るう聖剣クルドリアの攻撃は簡単に防げるものではない。

 それを受け止めるクルーウェルが優秀なのだ。

 ラインハルトが合格を出さなかっただけで、実力としては一番隊にいてもおかしくないその力は本物だった。


 守護王クルーウェル、王国だけでなく各国に王国最強の盾として名を馳せている。

 そもそもがヴァイス家に生まれ、王国の盾になるべく育てられたクルーウェルが使用するのは聖盾サントゥアーリ。

 ヴァイス家に伝わる大楯の聖具。

 耐久力を大幅に上昇させ、守りのスキルの効力を上げる。


「小僧、ワシの聖剣を防ぐとはなかなかやるではないか。それも『聖域の守護結界サンクチュアリ・プロテクト』を13枚とは相変わらずじゃの」

 本来、一枚張るだけでも難しいとされる結界盾を13枚。

聖域の守護結界サンクチュアリ・プロテクト』はVITの値に応じてその数と強度を変化させる。

 クルーウェルは五次職でVIT全振りの耐久力にさらに『サクリファイス・プロテクト』を発動させ、時間経過で少しずつHPを耐久力に変換している。

 聖域の守護結界は結界内の味方を微量ずつだが回復する力もあるので耐久力は上がり続ける。


 しかし、そんなことをものともせずにラインハルトは結界を破り続ける。

 既に半分の結界が斬り裂かれ、残り半分もすぐに破られるだろう。


 クルーウェルはクルドリアの力を知っているが、それでもあまりにもおかしすぎる。

 一体何を変換し続ければこれだけの莫大な力を振い続けれるのか。

 とっくにリソースが尽きてもおかしくないほどには異常な攻撃を連発している。


 ラインハルトは隠しステータスのある一つを変換して攻撃をしていた。

 クルーウェルが知らないのも無理はなく、一番隊にしか知られていないことがある。

 というよりは、王族に忠誠を誓う誓約の刺青を入れたものにしか知り得ることはない事実。

 刺青を入れたものは忠誠心を把握することができるようになり、刺青を入れている間も忠誠心が上がり続けている。

 ラインハルトの忠誠は40年間上がり続け、膨大なものになっている。

 未だ尽きる気配などなく攻撃を続けることができる。


 結界の最後の一枚が破られ、光の刃が二人を押しつぶし聖剣はクルーウェルを貫く。

 麒麟は雷に体を変えて避けたようだがかなりのダメージ。

 クルーウェルは光の粒子に変わる。

 神の救いの対象外で、来訪者(ビジター)でもないクルーウェルが光の粒子に変わるのは聖盾サントゥアーリの能力。

 使用者の死を一度だけ無効にする。

 サントゥアーリについていた光輝いていた5つの宝石が色を失う。

 これでしばらく、サントゥアーリは力を失う。


 ラインハルトはもちろん盾の能力を知っていて光の粒子の行く先を見つめる。

 どこかそう遠くない場所で体が構成されるのだが、それよりも今は麒麟を始末するのが先決だった。

 聖剣を握り麒麟に光の刃を叩き込む。

 麒麟も全力で応じるが、黒雷は簡単に払われ、力の差は歴然。先程まで強者の雰囲気を纏っていた麒麟はそこにはなく、ボロボロになって逃げ惑っている。


「まっ、待ってくれ」

 麒麟の影が薄まりイーブルの意思が表に出てくる。

「お前如きのせいで王の護衛を離れることになってしまった。万死に値するが、貴様ら来訪者(ビジター)は苦にもしないのだろう。ならばこそ監獄に行った後、楽しみにしておくといい。死なないのならば逆に都合がいい」

「そっ、そうだ、王の護衛を離れてもいいのか?」

「貴様を殺してすぐに戻るさ」

「ははは、あれを見ろ」

 イーブルは王宮を指差す。

「あれは……」

 それは漆黒の青竜、白虎、朱雀、玄武が王宮に向かっている様子だった。


「4匹の体が死んでも魂は我の手中にある。クルーウェルの時間稼ぎで王宮を落とす準備をしていたんだよ。お前はここで王宮の落ちる様を見ているがいい」

「貴様っ!!」

 ラインハルトは聖剣をイーブルの首に振り下ろそうとして止める。

「案外冷静じゃないか」

 それはイーブルの言う通りで、こういった邪悪な力を持つ者を下手に殺せば死後に能力を発動してあの4匹が強化される可能性があった。

 ラインハルトは死なない程度に光の刃をイーブルに叩き込み、王の元へ駆けつけるべくその場を離れた。

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