104話 朱雀
「隊長、各戦場が厳しい展開を強いられているようです」
「こっちもかなり厳しいけど、ウィズ研究会のおかけで何とかなってるわね」
メイガンが弓で撃つ槍は小型の鳥型モンスターを一挙で貫くことができるが、南方のボスである朱雀に届く前に熱風により槍は融解する。
それに槍の球数には限りがある。
ウィズ研究会の加勢は騎士団からして非常にありがたかった。
戦場に出てきているウィズ研究会の全員が魔法を扱うが誰一人魔法使いではない。
学者もしくは学者の上位職であることが入会の条件になのだ。
学者は文化人から転職してなることができるが、魔法使いとの違いはなにか?
魔法使いは多くの魔法を覚えることができて、それらの魔法を使いこなせる可能性がある。
それに比べて戦場にいる彼らの専門は魔法研究なのだが、魔法研究をしている学者は多少の魔法は使えるものの魔法使いに比べればコントロール、威力、基本的にすべてに劣ってしまう。
しかし、自身の創り出したオリジナルの魔法は除かれる。
研究で魔法を創り出すことができるのが最大の特徴。
多様性は薄くなってしまうが効力を限定的に絞ることによりある条件下なら魔法使いを上回る力を出せる可能性がある。
「うおりゃあああああああああ」
男は吠えると筋肉を使って跳躍し、空を飛ぶモンスターを掴み地面にたたきつける。
地面に落ちたモンスターはまだ息があり、炎の球を放つが男は素手で弾きそのままモンスターをぶん殴る。
彼の創り出した魔法は身体強化というシンプルな魔法。
スキルでもよくあるし、魔法でも似たようなものはある。
しかし、男の創った『理想の肉体』は都度都度に細かな調整ができる。
ほしい部位の筋力アップ、速度アップ、さらには耐性まで自由自在。
オリジナル魔法は伝えたり売ることもできる。
男は弟子数人にこの魔法を教えたが使いこなせた者はいなかった。
非常に繊細な魔力操作が必要なのだが、男は見かけによらず絶妙な魔力コントロールで『理想の肉体』を使いこなしていた。
「ボロの戦闘は相変わらず暑苦しいよね」
隆々とした筋肉を見せつけるボロはれっきとしたウィズ研究会に所属している学者職だ。
そして暑苦しいと苦言を吐く彼女も同じくウィズ研究会の学者職。
「筋力こそ最強だからな」
笑顔で真っ白な歯を見せるボロにバレンタインは苦笑いで返す。
「はいはい、剣よ舞え」
バレンタインは魔力で作り出した氷の剣を自由に操りモンスターを斬り裂く。
オリジナル魔法の『舞い踊る剣』は好きな形で好きな属性を付与した剣を魔力で作って自在に操れる。
形は自分で剣だと認識できれば作れて属性は炎、氷、土、雷、光、闇のいずれかを付与できる。
ただし一度に複数の剣を操る場合は同じ形で同じ属性でないといけない。
「2人とも真面目にやりなよ、リブロさんに迷惑がかかるんだよ」
アメリーは炎、氷、 土、 雷、 光、闇、 六つの魔弾をモンスターに撃ちこむ。
オリジナル魔法『七色の弾丸』 は好きな属性の魔弾を同時に発射できる。
七色というがそれを優に超えるだけの種類の弾丸を作り出せる。
「またアメリーがリブロに取り入ろうと猫被ってるよ。しかもその攻撃は何なのさ? 嫌味?」
「えっ、そんなことないんだけどな」
アメリーはわざわざバレンタインが付与できる全ての属性で攻撃していた。
「まぁ、そんなしょぼい攻撃じゃ、属性がどうとかさして関係ないか」
「むっかー、威力上げるだけなんてスマートじゃないもんね」
アメリーの魔法は威力がそれほどなのが唯一の欠点だった。
そこを属性でカバーするのがアメリーの戦い方なのだ。
「はいはい、負け惜しみにしか聞こえないよ」
「はあ、違います。大体あなたたちがふざけてるからリブロさんに迷惑がかかるでしょ」
「リブロ雑魚処理はほとんど終わったぞ」
ボロの目線の先に1人の男。
ウィズ研究会ギルドマスターリブロがいた。
リブロはゆっくりと宙に浮いて朱雀の前に移動して朱雀を見つめる。
朱雀もまたリブロを見つめ、身体に纏った緋色の炎を猛々しく燃やす。
「へぇ、面白いね。ぼくと火力勝負をしようだなんて」
リブロは魔導書から手を離すと魔導書は宙に浮く。
さらにいくつかの魔導書が別空間から現れ、リブロの後ろに並び自動的にページがめくられる。
合計で五つの魔導書が宙に浮いている。
真ん中の魔導書の一冊が光り、青色の炎を顕現させる。
呼応するように両隣の魔導書が光ると青色の炎は激しく燃えてリブロの周りを包む。
そして端の2冊の魔導書が光るとリブロは右手を朱雀に向けた。
青色の炎が朱雀に向けて放たれる。
朱雀も緋色の炎をリブロに向けて放つ。
緋色と青色の炎がぶつかり、空を2色の炎が遮った。




