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忌子ちゃん

《少女視点》

『痛い。痛いよ、なんで…』

『うるさい!お前がいるから!』

『私が何をしたっていうの!』

『お前が『忌子』だから!」

『『忌子』って何よ‼︎』


ねぇ…神様……助けてよ……


『うわぁきったない……所詮『忌子』ね…ふふ』

『何か言ったらどうなのぉ?ねぇ?』


悪魔でもいいから私を助けて……


『今日ここで!皆を苦しめ!この村に厄災を持ち込んだこの『忌子』の処刑を宣誓する!』

『やっちまえ!』

『『忌子』のせいでこの村は!』

『『忌子』は死ねばいいんだよ!』


忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子忌子……



もう言わないで‼︎私が何かしたの!私が悪いの⁉︎


憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い……





神様も悪魔も私を助けてくれなかった‼︎

ああ…もう……




















みんな…死んじゃえばいいのに…………







「全く〜君はやりすぎだよ〜」

「うう、否定できん……」

「敵はともかく保護対象まで気絶させちゃうなんて」


声……?一体何を言って……


「ん……うん?」


あれ?私は……


「おお!目が覚めたか!」

「ここは?」


確か村の人たちに襲われて……

あれ?この人は……


「……ッ!」


何?今の?なんか……怖い……でも村の人とは違って……えっと……


「いや〜怯えちゃってるね〜」

「なぜじゃ⁉︎」


なんか、銀色の髪の子が頭を抱え出した……

うん?よく見るとこの子が喋ってるのって…妖…精?さん?ということはこの子も妖精さんなのかな?今まで見てきた人よりもものすごく可愛いし……


「…あなたたちは……誰?妖精さんなの?」


私がそう聞くと、妖精さん?たちは顔を見合わせてくすりと笑った。

どうしたのかな?


「なるほどのぉ…こやつを見てそう思ったのじゃろ?残念ながら外れじゃ。妾は現初の魔王の1柱にして吸血鬼の魔王 ブラッディ・メアリーじゃ」

「僕は風の大精霊シルフだよ〜」


へ?魔王?大精霊?っていうかブラッディ・メアリーって初代勇者と相打ちになったんじゃ……


「そういえばシルフよ……なぜこの娘を助けろといったんじゃ?」

「うんとね〜カンかな〜」

「カンって……お主なぁ……」

「でも可愛いでしょ?」

「いやまあ可愛いと思う……ってお主なぁ‼︎」


ブラッディ・メアリーと名乗った魔王様は顔を赤くした……しました。どうしたんだろう?







私を助けたのは神でもあくまでもなく魔王様と大精霊様でした……





これが後に禁忌の魔王 ルナ・メアリーと呼ばれる私の始まりになるとは……今の私には想像もできませんでした……



《ブラッディ視点》


「痛い!痛いからやめて⁉︎ブラッディ!やめて‼︎ほんともげる!僕の羽がもげるから‼︎」

「ほれほれ〜大精霊さまなんじゃろ?この程度で根を上げるのか?」

「あ、あぁ……アァ”ーーーーーーーーーーーーー‼︎」


しょうがないからシルフを放してやると、地面に落ちピクピクと痙攣し出した

いや、妾は悪くないぞ?ただ耐えられなかったこやつが悪いんじゃ!(ブラッディが悪いです)

それはそれとして……


「お主……名前はいったいなんという?」

「名前?……無い……」

「そうかナイか〜」

「違う。名前…無い。名無し……」


そうか名無し…名無し⁉︎


「なんじゃと⁉︎」


妾が驚き叫んだら娘の肩がビクッっと揺れた。あ、すまん


「ムムム……うん?シルフよ!いい加減起きろ!」


妾の足元で寝ておるシルフを一括して起こした。なんでこやつこんなところで寝てるんじゃ?意味がわからんのお?(きょとん)


「…うん?さっきまで川の向こうでおばあちゃんが手を振って……」

「死にかけとる⁉︎お主死にかけとる‼︎」

「お前のせいだよ」

「なんのことじゃ?」


シルフは妾を見てため息をつきおった

真面目にわからんのぉ?というか


「というかお主おばあちゃんおらんじゃろ……」

「うん!いないよ!」

「おい⁉︎」


その時妾とシルフのやり取りを見ておった少女がクスリと笑いおった

え?何?この天使……


「なんじゃ?」

「ひ⁉︎ごめんなさい‼︎殴らないで!」

「妾そのくらいで殴らんぞ⁉︎というか妾なんかしたか⁉︎」


それから妾は娘をとりあえず落ち着かせ、話を聞いた。最初は怯えられておった妾じゃったが、話を聞いていくうちに少女の怯えは取れていった。

そして妾もこの娘が更に気に入っていき……


……ふむふむ…なるほどのぉ……よし殺そう


「ちょ!シルフやめい!この娘を不当に扱った村を滅ぼすんじゃ〜〜」

「やめて!ブラッディ〜落ち着いて〜〜」

「⁉︎やめて…あなたでも…危ない……」


む?娘がそういうなら仕方ないのぉ……それにしても妾が危ないじゃと?いったいどういうことじゃ?


「うん?自分で復讐したいならわかるけど、ブラッディが危ないって?どういうこと?」


シルフのやつもそこは気になったようじゃの。


「前までいた村は…今の勇者の故郷…だから……3年前に出て行ったけど……故郷を滅したら……絶対あなたを殺しにくる……今の勇者は……一番強くて……一番のクソ野郎だから……ダメ…あなたが死んじゃう……」


なんか言葉遣いが……にしても……

娘が上目遣いでウルウルと妾を見てきおった。やばい、妾、萌死んでしまう……

いやいや!今それは関係ないじゃろ⁉︎え〜ごほん…3年前に村を出た…か……それならあの頃じゃの。


「そうか?なら問題ないんじゃ無いかの?」

「え……?」


娘はきょとんと小首を傾げおった


「のう…その勇者の名はアルフレッドという名じゃなかったか?」

「そう…ですけど……?」

「ああ、なら妾が殺したのお」

「え?」


そう、娘が言っていた勇者とは、ちょうど一ヶ月ほど前妾が消し炭?チリ?にした奴らだったのじゃ。

というか勇者が死んだっていうのは伝わっとらんのか?まあ、ここら辺は辺境じゃからな。情報が伝わるのは遅いんじゃろ。

妾は、ふと思い出して、壁に立てかけておいた剣を娘に渡した。娘がおどおどした手つきで受け取ったのを確認した妾はおそらく娘には衝撃的な言葉を言った


「ほれ、聖剣じゃ」

「はぇ?」


妾は勇者の持っていた聖剣を見せた

なんか血まみれで汚かったから焼却したんじゃが……これだけは残ったのじゃ


「これが?」

「うむ。妾が確かめたからな。本物じゃぞ。」


炭になっとったから面倒じゃったがの


「え、でも聖剣は…女神が作ったもので?勇者が持ってるから?あれ?」

「女神が作ったのか?あいつ鍛治苦手じゃなかったか?」


そっちの方がびっくりじゃの。まあ…


「のう、娘よ。これでもまだ無理だと申すか?」


まだ意味を飲み込めていない娘を目の前に、妾は不敵な笑みを浮かべたのだった。それに対してシルフに奴が「あわわ」と言ってた慌てだした。…なんじゃ「あわわ」って


「ちょっと待って⁉︎もしかしてお前本気でやる気⁉︎」

「ああ、そうだが?」

「いや、この子赤の他人でしょ⁉︎まあ、僕が連れて来いって言ったけどさ〜」


まあ、確かにそうじゃが……


「気に入ってしまったからのう…」

「はい?」


妾は少女を見てそう呟いた。なんじゃ?シルフこっちにジト目を向けて……


「魔王様手伝ってくれるんですか?」

「ふふふ…当たり前じゃろ?まあ、対価は要求するがな。」


妾がそう言ったら少女は真面目な顔になった

しかしなぁ…気に入ったとは言っても…うーん。あ!そうじゃ!


「お主妾の配下になれ」

「配下……ですか?」

「うむ」


そう言ったら、娘の緊張がほぐれた


「わかりました。もともと悪魔に魂を売っても奴らを皆殺しにしたかったので…魔王様の配下になります…」

「よし!じゃあ契約成立じゃな!……娘…うーん妾の配下になるんじゃったら名前も決めんとな……」

「名前……ですか?」


うーん…しかし名前か…人間世界の一般的な吸血鬼のイメージと言ったら夜と聞いたから……夜…夜と言ったら月……うん?月か……


「よし!決めた!お主は今日からルナじゃ!よろしくなルナ!」

「……」



なんじゃ?なんか不満が……

妾が娘の反応にビクビクしてると、娘が泣き出した


「なんじゃ⁉︎一体どうしたんじゃ‼︎」

「わ〜ブラッディ〜泣かせてやんの〜」

「うるさいのじゃ」


妾がシルフに手を伸ばしたら器用に避けおった……ッチ後で覚えておれよ………


「だって…ぐすん……ずっと『忌子』って呼ばれてて……ぐすん……名前なんて…名前なかったから……うえーん‼︎」


むむ?ああ、そういうことじゃったか……

名前がなかったから人が名前で呼ばれるのが…羨ましかったんじゃな……なるほどのぉ……


「辛かったのぉ……」

「魔王様?」

「妾のことはブラッディとでも呼ぶがいい。対等な友人のように」

「でも…」

「いいな?」

「はい…ブラッディ様……」


様が付いとるが……まあいいじゃろ。

妾は、娘…ルナを抱きしめた。しばらく抱きしめておったが、ルナは泣き疲れたのか糸の切れた人形のようにこてん。と眠ってしまった。

おお、これまたかわいい。

妾はルナをベッドに寝かせると、シルフの方に振り向いてニヤリと不敵な笑みを浮かべた


「のう、シルフよルナを理不尽な理由で痛めつけておったものたちが、妾がルナを気に入ったという理不尽な理由で死ぬのだ……それもまた一興だと思わんか?」


それを聞いたシルフもニヤリと笑みを浮かべ同意した


「うん…いいね!今までその子にしてきた理不尽が自分たちに帰ってくる……うんうん‼︎面白い喜劇だと思うよ〜」


そして、妾とシルフは互いに顔を見合わせ、これから起こる喜劇に心震わせたのじゃった……




「それにしてもブラッディが配下を作るなんてね〜」

「なんじゃ?なんか不満があるか?」


なんともしまらんものよ……







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