第2話 実はうどんよりラーメンの方が好き
突然だが我が家は二階建ての一軒家だ。ローンは亡き親が完済していて、遺産も相当なものだったので今のところアルバイトなどはしていない。
間取りは、玄関から廊下が続いていて、廊下の左側に2階へ上がる階段がある。俺たちの部屋は2階にあり、1階は浴室とリビング、キッチンにトイレがある。ちなみにトイレは2階にもある。廊下の突き当たりにリビングがあり、その奥にトイレと浴室がある。
我が家は基本カーテンなど閉じているので薄暗い。まあ俺のためなんだが。深紗には悪いことしてると思ってるけど
「お兄ちゃんは眼鏡掛けない方がカッコイイし似合ってる!おうち暗くしたら外してくれる?」
なんて言われたらそりゃ従うしかないでしょうよ、うん。
さて、うどんを作ろう。
まずうどんの出汁を作る。
麺つゆ、みりん、水、昆布出汁を鍋に適量入れて沸騰させるまで待つ。あ、うちはIHだ。
沸騰した出汁にうどんを入れて3分湯掻く。
器に盛り付けて深紗の大好きなえび天をのせて天かすをふれば...
完成、深影特製深紗専用うどん!
テーブルの上にうどんを並べて箸と水を添える。あ、うちはク〇クラがあるのでいつでもミネラルウォーターが飲めるぞ。
「深紗ー!うどん出来たぞー!お前の大好きなえび天付きだぞー!」
リビングから2階に向かって叫ぶと廊下から深紗が飛び出してくる。
「おうどんー!にひゃあ!美味しいよこれ!」
「まだ食べてないだろ」
リビングに入るなりうどんに目を輝かせて既に美味しいとのたまう妹、作った甲斐が有るもんだ。
「いただきまーす!」「いただきます」
ずぞぞぞぞぞ
「んむっ!美味しいよ!お兄ちゃん!」
「そうか、良かったな」
「んぐっ!はぁー!うん!お兄ちゃん、いつもありがと!」
......なんでうちの妹はこんなに可愛いんだろうか。もはや犯罪だ、暴力だ。
喜びを抑えつつうどんを啜る。自分でもよくできた方だと思う。うどんを1から作るのも考えていいかもしれない。まあ俺はうどんよりラーメン派なんだけど。
「そういえば深紗って学校いつから?」
「んーとね、明後日から!」
ふむ、俺も明後日から学校が始まる。
「確かいつも通り登校だったよな?」
「うん、ほうらよ!」
「食べながら話さないの、飲み込んでからね」
しかし深紗の食べる姿は天使ですなー。
「なら一緒に登校するか?」
「する!ごちそうさま!」
「お粗末さま。春休み課題終わったならテレビ見るなりスマホいじるなり好きにしていいぞ」
「うげ...お、終わってません」
うーん、甘やかし過ぎず、厳し過ぎずが俺のスタイルだからな。よし、
「進捗はどのくらいだ?」
「進捗?」
「あー、どのくらい進んでるかってこと」
「んとねー、4分の1ぐらい?」
なるほどな、じゃあ次に
「4分の1終わらせようと思ったらどれぐらいかかる?」
「んー...1時間半前後だと思われます!」
いやわざわざ敬礼しなくてもいいから。あ、それ可愛いもうちょっと続けて。
「なるほど、なら今日と明日で合計4時間半の勉強時間をどこで使うか予定を立てて必ず終わらせなさい。オススメは30分置きに休憩を挟む、苦手なやつがあったら15分勉強して倍休憩っていうのがある。集中力を常に発揮出来るぞ」
ちょっと口うるさかったか?いやしかし深紗のため、心を鬼にせねば。
「分かった!やってみる!明後日絶対一緒に行こうね!」
「ああ」
なんでうちの妹は俺が萌え死ぬことばかり平然と言ってくれちゃうの?萌殺したいのか?
お兄ちゃんは深紗が兄離れ出来るか心配だ。
とりあえず買い物にでも行くか。