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魔鋼猟兵ルビナス  作者: さば・ノーブ
<ロッソア>編 第6章 紅き旗
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ロッソアの赤き風 第7話

囲まれちまったぜ?!

ロゼがノックアウトなんてするからだろっ!


あ、ちょっと待って。

手を挙げてるでしょー?!

成り行き上での話だって、レオンから言って貰ったけど。


突き付けられた銃口の前では、意味を為さないようで。


「その男が、ロゼッタに触れようとしたのが悪いんだぜ?」


庇うつもりだったけど、ロゼの態度も悪い。


「そぉよ!

 ・・・って。そうなの?ヤダぁ・・・マジ?」


ジト目で倒れてる男と俺を見比べながら訊くんだもんなぁ。



周り中から痛い視線が降って来る。

取り巻かれた俺達は、どうする事も出来ずに手を上げるだけだ。


「どうするのよルビ?こいつらにこのまま拘束されるのってヤバくない?」


「言われなくったって分かってるよ。

 でもさ、目的は果たしたんだから。どっかの時点に戻るか思案中なんだぜ?」


指輪に宿るノエルには言ってあるから。

時の魔法を使うかは、この後の展開次第だ。


「むっはぁ~っ、良いパンチだったぜ?姐御」


起き上がって来た指揮官の男が、顎に手を添えて言いやがる。


「やっと起きたな。言ってくれよ、周りの人にも」


レオンが男へ向けて頼んだが。


「俺が何をしたってか?

 その金髪の嬢ちゃんの胸元に手を指し出したのが悪いってか?」


悪びれない男が、ニヤリと哂う。


「やっぱり!アタシの胸を触ろうとしたのね?!」


魔女ロゼが殴った相手に、瞬間眠らされていたロゼッタが訳を教えられて。


「アタシの胸を触ろうとしたなんて・・・万死に値するっ!」


胸元の魔法石を取り出して、魔女の力を発動させようとした。


「・・・ロゼッタの方が、数段怖いな・・・」


殴るよりも魔法で懲らしめようとするロゼに、恐怖すら感じた俺。


「いやあのな。

 俺が触りたかったのは・・・その蒼い石だぜ?」


ロゼが取り出した蒼い魔法の石を指して、男が言って帰したんだ。


「は?!えっ?!どういうこと?」


キョトンとしたロゼを見ながら、男が口にしたのは。


「斥候からの連絡が来てな。どこかの誰かさん達が狙われているんだと。

 ロッソアの正規軍が追いかけてる相手なんだから、

 きっと並外れた力の持ち主ではないかってな?」


「え・・・そうだったの?」


応えたのはロゼ。

振り上げた手を降ろす様に、男の話を真に受けて。


「ちょっと待てよ。

 俺達がどうして狙われているって思ったんだ?

 斥候とか言ったけど、アンタ達は誰と闘う為に居るんだよ?

 それにどうして俺達を救おうとしてたんだよ?」


いっぺんに訊いてしまったけど、俺達を助ける意味が知りたかったんだ。


「それは後からで良いだろう?

 今は、あいつ等から逃げる方が優先じゃないのか?」


そこでやっと男が指さすのは。


「あ?!奴等が円陣を解いた!こっちに攻め寄せる気か?!」


レオンが咄嗟に身構えて教えてくれた。

このまま数分も放置すれば、軽戦車の射程に入るだろうと。


「撤退するにしても、人の足では逃げきれないぞ?

 アンタ達はどうしたいんだ?俺達を?」


捕虜にする気なら、とうに出来ていただろうに。

それもせずに、のうのうと喋っていた訳は?


「ああ、アンタ達を本部に連れて行こうと思っていたんだがな。

 成り行きで戦闘状態になっちまったんだ。

 まぁ、そこのお嬢と同じだよ。成り行きだったからな」


男は肩を竦めて言いやがった。


「成り行きも糞もあるかよっ!

 このままじゃぁ、犠牲が出ちまうだろうに!」


「だから・・・乗り掛かった舟だよ」


あああっ?!こいつと話して立って埒がアカンっ!


「ルビ!どうやら・・・やるしかないってことよね?」


ロゼが振り返ってジープの装備を確認した。


「そのようだな。

 レオン!やれそうかな?!」


敵を見張っているレオンの意見を待つ。


「ああ、敵は足並みを揃えてとはいかないようだ。

 どうやら3両の乗員達は、殺戮を好むみたいだぞ?」


軽戦車は連携を執らずに、バラバラに進んで来る。


「残った半軌道車は、あそこに留まるようだ!」


だったら、軽戦車さえなんとかすれば。


「そうか、よし!

 あの3両を停めれば良いんだな。

 足回りさえ壊せば、追手は来れないだろう!」


俺がそう言ったら、ロゼがジープへ走り出した。

周りを囲んでいた男達が、手を下す暇もない程の身軽さで。


「アンタ!名前は?

 俺はルビ、ルビナスって言うんだけど?」


立ち竦んだ男に訊いた。


「ああ、俺の名はガッシュ。紅き旗のガッシュ。

 人民解放隊のガッシュってんだ!」


名前よりも、ここに集う男達が組みする組織名を覚えちまった。

<紅き旗>だって?人民解放隊?

それじゃあ、此処に居るのは?


「ガッシュ!アンタ達は此処から山際の方に逃げてくれ。

 それを追いかける奴等の側面を、俺達が叩く!

 いいか、余計なことを考えずに真っ直ぐ走れよ!」


「ルビとか言ったな?!

 お前達だけで、あの3両を仕留める気か?」


銀髪のガッシュが、目を見開いて訊いて来やがる。


「ああ、なんとか。仕留める気だぜ?」


自信なんかがある訳が無いが、俺は敢えてそう言ったんだ。


「本気か?さすが魔法使いとでも云うべき処か」


気付いてやがったか。

ガッシュとかいう惚けた野郎だが、魔法石の知識は確かなようだ。


「そう言う事にしておこう。

 さぁ、早く出発してくれ。俺達はジープで出るからな!」


そう俺が言った時だ。

目の前にガッシュの手が差し出された。


「後でまたな。話はまだ半分も言ってはいない」


ガッシュの求めに、俺も手を指し出す。


ー こいつ。力だけは人一倍なんだな?


握力が半端ない。

俺の手を熱く握るガッシュに、少々戸惑ったが。


「じゃあな。俺達がそのまま逃げるなんて思わないでくれよ?」


「ああ、期待してるぜ?!」


ルビとガッシュはそれで別れた。


方や人民解放隊の指揮を執る者。

もう片方は少女二人と共に旅する男。


共通点は、二人共男だという事ぐらいか。


いいや、握った手の重みはそれだけで十分だろう。

交された手には、想いが込められたのだから。



「やるぜっ!レオンロゼ!

 魔鋼の猟兵ってもんをアイツ等にも見せてやろうぜ!」


エンジンを噴かした俺が、二人の魔法使いを呼ぶ。


「しっかり運転してくれよルビ?!」


レオンは擲弾筒に対戦車榴弾を込めた。


「ルビィーっ?!7ミリ7じゃ当てたって意味が無いから。

 眼眩まし程の期待しかないからね!」


マクシム重機関銃に弾を装填し、ロゼがニヤリと笑うと。


「思いっ切り近付きなさいよね!

 眼が眩むほどの・・・弾を浴びせてやるんだからっ!」


魔法石を握りしめて、魔鋼の砲手である自信を覗かせてきやがった。


「ああ、頼むぜ二人共!

 操縦は任せておけよ、どっちに行きたいかちゃんと言えよな!」


心強い魔法使いに、俺はもう一人の魔女にも頼んだ。


「ノエル、怖かったら眼を塞いでおけよ?

 でも、俺が言ったのなら、即座に今の時点にまで戻してくれ!」


指輪の中でノエルが言い返して来たんだ。


「「怖いって?大丈夫でしょ?!

  ルビにぃが闘うのに、アタシだけ目を瞑るなんて。

  出来っこないじゃないの!」」


良い子だよ、ノエルは。


俺はつくづく、良い仲間を持った。

声を呑んで感謝を心に秘め・・・


「それじゃぁ・・・突撃タリホーっ!!」


アクセルを踏み込むと同時に叫んだんだ!


そういえば。

ロゼの魔法石ってさ。

どこに隠してあるんだっけ?


ロゼたん「ほら!」


ルビナス「うひっ(赤)!ケシカランッもっと下げて?!」


挿絵(By みてみん)


この後・・・ルビはノエルからも一撃を喰らったそうです・・・


次回はやっとこ戦闘開始ですね。

ジープに乗った3人は、如何にして闘うというのか?!


次回 ロッソアの赤き風 第8話

戦闘の末に、君は生き残れるのか?!ナゥバトール!!




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