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魔鋼猟兵ルビナス  作者: さば・ノーブ
<ロッソア>編 第6章 紅き旗
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ロッソアの赤き風 第6話

時の指輪・・・


今迄とは違う輝きを放つ・・・


俺と妹の魔法で・・・時が甦る

光の文字が記憶を与える。


魔女ノエルが書き記した記憶の断片が、脳裏に描かれていく。




今迄とは違う。


フェアリアで時の指輪を使っていた時とはまるで違う・・・



ー 目を覚まして・・・ルビにぃ


時が戻ったのか?

俺が為すべき時間に戻ったのか?


「「ルビにぃ、求めてくれた時間に戻ったよ」」


指輪に宿る魔女ノエルの声が誘う。


そうか・・・やり直せるんだな?



光を感じた。

魔法で戻れたときの中、太陽の光を感じられる。


「停めなきゃならない。無鉄砲すぎる闘い方をさせる訳にはいかないからな」


ジープの運転席から後ろの二人に言ったんだ。


「えっ?!停めるって・・・誰をよ?」


何の事を俺が言ったのか、想像すら出来ないだろう。


「ルビ?!何を言ってるんだよ?

 敵小隊を停める気なのか?それとも?」


レオンが察知したようだが、俺が首を振ったのに気付いて。


「あいつらをか?奴等が何をするのか感付いたんだな?」


黙って俺はレオンに頷き返す。


「でもっ?!停めるって言ったって・

 どうする気なのよ?あいつらと面識なんてないんだから?!」


ばらばらの装備を携えた集団を観て、ロゼが当惑して訊いて来た。


「あいつ等がロッソアの部隊に敵意を抱いているのは間違いないんだ。

 そりゃぁ俺達も仲間とは言えないけど、同じ敵を持つ者として忠告してやりたいだけなんだ」


真一文字に円陣を組んだロッソア部隊に突っ込んで行こうとする集団を指し、


「あのまま突撃するだけじゃぁ、近寄る事すら出来ないんだと。

 戦車相手に素手で突っ込む様な真似は辞めさせないと・・・無益な殺戮が始っちまうんだ」


顔を強張らせたロゼが、俺を見据える。


「ルビ・・・アンタ。

 また魔法を使ったでしょ?時を戻したんでしょ?

 何か不幸なことがあった・・・そんな顔をしているわ」


「・・・まぁな」


一言返すと、ロゼがため息を吐いてからこう言ったんだ。


「で?時の指輪を使ったんなら、不幸を回避しようとしてる訳ね。

 どうやれば良いのか・・・分かってんでしょうね?

 今迄みたいに成り行き任せなんての、御免被るわよ?」


・・・ほぅ?ロゼのヤツ、なんか感付いているようだな?


「ロゼッタに宿る魔女が教えたのか?今迄とは違うって解かったのか?」


訊き返してやったら、ロゼはニヤリと笑った。


「なにも。唯、今さっき言ったからよ。

 今迄なら、これから何が起きるのかなんて知らなかったじゃない。

 それが、この後起きる事を知っている口調で言ったから。

 アイツ等が殺戮されるって・・・言ったじゃない?!」


「ビンゴ・・・だよ」


今迄とは違うと、ロゼだからこそ分かったのか・・・

観る目さえも変えられちまう・・・ロゼに、だ。


「どうやら、ルビの言った通りになりそうだ。

 見て観ろよ、奴等銃砲の前に身体を隠す事の無しに突っ込む気だぜ?」


レオンは驚愕を通り越して、呆れ果てたように教えて来た。


これはマズったか・・・遅れちまったか?

集団の先頭が、ロッソアの射程圏内に入ろうとしていた。


突撃を中断させるには、どうすりゃ善いんだ?


「ルビッ!指揮官らしい奴の傍に着けて!」


ロゼの叫びで我に返った。


「どうするんだ?

 話しかけても、おいそれとは言う事を聴いてくれそうじゃないんだぜ?」


「構わないから!アイツに魔砲を見せてやるのよ!」


ロゼは指差す男へ向えと言う。


「判らなきゃ―、一発お見舞いしてやるんだから!」


・・・物騒な奴だな、相も変わらず。


「急げルビッ!間に合わなくなるぞ?」


レオンが急き立てる。


「よしっ、当たって砕けろだ!」


「砕けないってば!」


茶々を入れやがるロゼに、自信の程を感じたんだ。

きっと、ロゼは巧く話しをつけてくれる・・・気がする。


ジープは徒歩で前進する集団に近寄る。

その中で、緑色の上着を羽織った男に注意を払った。


彼は仲間に指示を下し、ロッソア部隊目掛けて殺到させようとしている。


「待て!そのままじゃー戦車の的になるだけだぞ!」


此処はロッソア領内だから、通訳なしに介せるのはレオンしか居なかった。


「直ぐに突撃を辞めさせるんだ!攻撃方法を考え直せ!」


元々、軍人だった俺達だからこそ。

悲劇を回避させたかった・・・無駄死にだけは誰だって嫌じゃないか。


だが、レオンが何と言おうが、指揮官は命令を下そうとしない。


「私達の言う事が解らないのか?!

 無能な指揮で、仲間を無駄に殺そうとしているんだぞ!」


敢えて指揮官の癇に障るように、レオンが喚く。


「無駄死にかどうか・・・誰も分らん。

 お前達に等、衛星国民の苦痛など解ろうものか!」


やっと指揮官が話に乗って来た。


「ねぇレオン、ルビ。

 アイツのとこまで近寄ってくれない?」


ロゼがブスッと訊ねて来た。

こんな時のロゼは、決まってやらかしてくれる・・・ぜ?


「なんだか・・・メッチャ、腹立った!」


「おいおい・・・ルビ?!停めた方が善くはないか??」


横に居るレオンがビビりまくっている・・・当たり前だぜ?!


「ロゼ・・・それに魔女のロゼ。

 頼むから無茶は辞めにしてくれないか?」


「うるさいっ!・・・因みに今は魔女のロゼだから」


・・・これは最悪かもしれないな?!


「ノエル・・・もしかしたらもう一回魔法で戻るかも知れないぜ?」


最悪の場合を考えた俺が、ノエルに頼むと。


「「ルビにぃって・・・やっぱり人が善過ぎるの」」


・・・言わんでくれ。


「頼んだぜノエル。その時が来そうだったら、早めに言うから」


ポツリと呟いて、魔女に準備を急がせる。



車体を停めたジープから、ロゼが飛び降りる。

怪訝な顔を向けた指揮官らしい男に寄ると・・・


「アンタ!人の命を何だと思ってんのよっ!

 今直ぐ部隊を引き返させなさいよ!いいわねっ、判るでしょ?!」


声高に男へ命じるのだった・・・しかもフェアリア語で。


理解不能だったのか、男はロゼの身体を眺めまわしている。


「じろじろ見てないで!さっさと命じなさいよ!」


腰に手を宛がい、ロゼが少しでも自分の方が経験者だと言いたげに胸を張る。

大声で喚くロゼに、男以外の民衆も振り返った。


「ちょっとっ?!聴こえているんでしょ?返事位しなさいよ!」


「お前・・・何言ってるんだ?そんなに威張りたいのか?」


やっと返された・・・言葉はフェアリア訛りが残るロッソア語。


「お前・・・どこの人間だ?俺達とどう関係が合って威張るのだ?」


指揮官らしい銀髪の男が、ロゼに近寄るといきなり手を出して来た。


「あ・・・」


「なっ?!」


俺とレオンは固まる・・・目を点にして。


「ちょっ・・・どこ触ろうとしてんのよっ!」


拳骨を振り上げたロゼ・・・そして。



  ボギャッ!!


挿絵(By みてみん)


是非も無い一撃が、男の顎にヒットした。


「いや・・・おみごと・・・」


パチパチパチと、俺は拍手を贈る。


「おーーーっ?!」


レオンは驚きを超えて、感嘆の声を上げた。


「ふぅふーふー!ッパイ触ろうなんて1兆年早いわ!」


いや・・・違うと思いますが?


完全にノックアウトされた男が仰け反って倒れ込む。


「しかし・・・これは・・・」


「そうだな・・・下手をすれば・・・」


俺とレオンが顔を引き攣らせる。



ロゼの言った通り。

確かに突撃は停まった・・・停めれた。


だけど、意外な展開が待ち受けていたんだ。


「なぁ・・・逃げた方が良いよな?」


「いや・・・もう。手遅れだ」


「あははっ?!いやこれは・・・物の弾みって奴で」


ジープに戻る事も出来ず、俺達は民衆に囲まれてしまったんだ。


「ロゼが殴るからだろっ!」


「だぁってぇ~っ、身の危険を感じたのよぉ?!」


「・・・イカン。遺憾だ」


詰め寄られる俺達は、諸手を上げて降伏の意を表した。


・・・戻ろーかな?時の指輪で?!


ちょっと、待て・・・


これは事故ってモンなんだ・・・からさ?


おいっ、ロゼ!お前も謝れよ、な!


ロゼ「うん?!アレ?アタシ・・・寝てたから。知らないわ?」


・・・・損な・・・マジカよ?!


次回 ロッソアの赤き風 第7話

君は疑いを晴らせるか?同じ思いと信じて貰えるのか??

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