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魔鋼猟兵ルビナス  作者: さば・ノーブ
<ロッソア>編 第6章 紅き旗
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ロッソアの赤き風 第4話

突如現れる敵部隊!


突如訪れる危機。


そして、逃げ切れるのか?

もう直ぐ目視可能になる。

やって来る砂煙の下に居る者達が。


「ノエル!ここもチェックポイントに加えてくれ!」


指に向けて俺が頼むと。


「「忙しいなぁにぃは!

  ちょっと待ってて今直ぐ魔導書に書き込むから!」」


指輪の中でノエルが魔法ペンを取り出して応えて来る。


「「これで善しっと!書いたよにぃ!」」


魔導書に書き込まれた状況。

敵と思われる砂煙から離れつつある時間に戻れる・・・


「よぉし!ルビっ、観えた!」


レオンが目標を捉えられたようだ。


「やっぱり追手だったか!

 軽戦車が3両に半軌道車が2両。

 正規軍らしいが、どうも嫌な予感がする!」


レオンも魔砲使いの端くれだから。


「奴等・・・もしかすると特務部隊かもしれない」


「特務って・・・まさか?!犯罪者集団の?」


俺達フェアリア軍人には、それが意味する事を理解出来ていた。

特務と言えば聞こえは良いが、中身は犯罪を犯した者の集まりに過ぎない。

刑罰を軍務に変えただけの集団。

それは軍隊として機能しているのか疑わしい程・・・粗暴だ。


「特務だったら?何をすると言うんだ?」


俺がレオンに真意を問うと。


「あらかた私達二人を手籠めにしても捕らえる気か。

 それとも捕らえた後、残酷な仕打ちをやらせる気か。

 どう転んでも生かして置く気なんてないということだろう」


囚人だった者達に与えられたのは、俺達の始末と言ったところだろう。


「それにしちゃぁ、大げさな編成だなぁ。

 ルビを縛り首にするにしては大部隊じゃないの?」


・・・お前もだろーが、ロゼ?


「いやいや、私とロゼに興味があるんだろ?

 ルビは男の子だから単に殺す気だけだろうけどさ」


・・・いや、そんなあっさり言われると困るよレオン。


「どっちにしても、捕まるくらいなら死ねっていうことね?!」


・・・嫌だろそんなの。


俺は敢えて突っ込まないけど、女の子だったらそう思うのかな?


「「鈍感だねぇにぃは・・・女心ってモノを知るべきだよ?」」


指輪の中からノエルまで口を出して来やがった。


・・・うっさいわ!ほっといてくれ!


それより、今為すべきは・・・闘わずして逃げる事だよな!


「お二人さん、戦闘になるかも知れないけど。

 今は一目散に逃げるからな、間違ってもこっちから撃つなよ?」


敵に自らの戦闘力を教える事になるのは控えたいし、


「おーっけ。こっちには魔鋼装備も無いんだからね」


ロゼも魔鋼機械がない不利な現状では、闘うのを嫌っているようだ。

それは当たり前だろう。

相手には戦車があり、こちらには有効な反撃手段が無いのだから。


敢えて言えば、こちらの逃げ足が速いだけが利点であった。


見つかったら、奴等は軽戦車を分離して追って来るだろうか?

そうなれば否応なしに闘いになってしまう。


「見つかった時だけだからな、撃つのは!」


「了解だってば!」


念を押したのは、ロゼの早とちりを諫める為だぜ?


「だったら、もう撃っても良いってことか、ルビ?」


「えっ?!」


レオンが砂煙と正反対を指差す。

指し示された方角を観て、俺は臍を噛んだ。


「なんだって?!敵はもう一隊居たのか?」


逃げる方向から観えて来たのは、新たな部隊。

しかも、砂煙なんて見えてはいなかった。


「しまった!砂煙だけに注意を払い過ぎたか?!」


前方から近づく・・・いいや。

俺達の方から近寄ってしまっていたんだ。


「新たな敵の規模は?」


落ち着き払ったロゼの声がする。

どうやら宿る魔女が現れ出たようだ。


「この飛び矢で倒せる相手なのか?」


古の魔女はマシンガンを飛び矢と言ったが。


「魔法石の力でも倒せない相手なのか?」


自らの魔力で追い払おうというのだろうか?


「うう~ん・・・あれは装甲部隊じゃなさそうだな。

 どちらかと言えば野盗。はっきりとは分からないが、自警団みたいなものか?」


どうやら砂煙を上げれない規模の部隊のようだが?

俺も眼を皿にして見て観たが、装甲車両は見当たらない。

唯、兵員数は追いかけて来る奴等より遥かに多そうだ。

しかも、そいつらは赤い旗を翻してやがる。


「あれは?ロッソアの傍じゃないよな?

 レオンは紅い旗の意味を知ってるかい?」


ううんと首を振るレオン。

ついでにこうも言って寄越したんだ。


「まさかとは思うけど。

 あれは反ロッソアの革命軍じゃないのかなぁ?」


軍って言う割には、あまりにばらばらの服を着ているぜ?

まるで農民の一揆のようにしか観えないんだが。


手に手にばらばらの得物を持った奴等が、こちらに向けて進み来る。


「どうする?

 このままじゃーあいつらに近寄りすぎる事になるぜ?」


アクセルを緩めて俺が訊くと。


「どうするって・・・側面に逃げるしかないじゃんか?」


レオンの勧めるのも尤もだ。

両者の間に居るのは、あまりに危険を伴う。


「それじゃあ研究所の方角を教えてくれ、そっちに向けて進むから」


求めた俺に、レオンが片を竦めて言うのは。


「残念だけど。奴等が来る方向なんだよなぁ~っ」


目の前から来る奴等に向けて指し示された。


「くそっ!なんてこった。

 それじゃぁ無理やりにでも抜けなきゃならないのかよ?」


これは戦闘を覚悟しないとならないか。

幸いなことは、やって来る奴等には俺達を追う車輛が無いという事。


「中央突破しかないか?」


アクセルに力をかけようとした俺に、ロゼの声が突き刺さった。


「待って!追いかけて来た部隊が戦闘態勢に移行したわよ?!」


なんだって?!

追いかけて来るんじゃないのかよ?


「どうやら、アタシ達には興味を無くしたみたいね!  

 現れた人達目掛けて軽戦車が砲門を開こうとしてる!」


なんだと?!

じゃあ・・・前方の部隊は?


「パルチザンって言った処かしら。それとも本当に野盗なのかしら?」


目前に迫った人の群れが、一斉に散開し始めた。

俺達を囲むように、俺達を追撃者から守るかのように。


「なんだって?俺達をどうする気なんだ?」


一瞬自体が思わぬ方向に向かったのを知り、ノエルに発動させるか迷う。


「「まだ・・・待ってにぃ

  あの人達が敵だとは限らないよ?」」


良く見れば、隊列も組んでいない人の群れで。


「それぞれ思い思いの火器を携えてるわね?」


拳銃を持つモノも居れば、小銃を肩にかける者もいる。


「それに指揮を執る者はどこに居るのかも分からないわ!」


それらしき人物を探すのだが、誰に因って指図されているのだろうか?


「あっ!きっと彼が指揮官なんだわ!」


ロゼが告げたのは、頭を紐で括った男。

男が手を振るのに併せて数人が動いていたから。


でも、その姿と言えば。


「そこらへんにいる親爺じゃないか?

 服を観たって労働者そのものだし、どうみても訓練を受けた士官には観えないぜ?」


本当にそうなのだ。

髭面の親爺・・・そうしか見えないのだから。


でも。


 ウラァアアアァーッ!


彼が手を振ると、周囲の者達が喚声を上げて突っ込んで行った。

円陣を組んだロッソアの戦車目掛けてだ。


「馬鹿な?!死にたいのかよ?」


生身の人間が、装甲車両目掛けてろくな武器も無しに?!


思わず叫んじまったよ。

それは俺の記憶の中に仕舞い込んだ、悲劇の再来にも観えたんだ。


有力な部隊に、素手に近い状態で挑まされたあの日の事を思い出しちまったんだ。


ロッソアの軽戦車の砲が火を噴いた。

ロッソアの半軌道車から降りた兵が、機銃を掃射する。


「馬鹿・・・馬鹿な?!」


レオンだって、ロゼッタだって・・・妹だって。


結末が判っちまう。


そう・・・いくら人数が居たって。


「何人が生き残れるのかな?」


停止したままのジープで、俺達は残酷な現実と対峙させられ続ける。


「「ルビにぃ・・・」」


ノエルの声が心に届いた。


「「少し・・・思い出したよ。アタシ・・・」」


妹の声は恐怖と慚愧に震えていたんだ・・・

事態は悪化したのか?


現れた部隊とやってきた紅き旗の民衆?!


挟み撃ちに遭うのか?それとも?!


次回 ロッソアの赤き風 第5話

君には真実に立ち向って欲しい・・・

 そう、君には魔法があるじゃないか<希望>という最強の魔法が!

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