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魔鋼猟兵ルビナス  作者: さば・ノーブ
第5章 鋼鉄の魔砲少女(パンツァー・マギカメタル)
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困った娘?!

レオン少尉の願いと、ルビナスの希望が重なる。


妹の身体を取り戻すには、互いの協力が必要だったから。

渋々。

説得を諦めた俺は、ロゼとロッソアのレオン少尉を伴って戻る事に同意させられたんだ。


「「ルビにぃは、ロゼッタさん・・・だっけ。

  このお姉さんに弱みでも握られてるの?どうして反抗しないのよ?」」


指輪の中からノエルが剥れた声で訊いて来る。


「しょうがないだろ、腐れ縁って奴なんだから。

 同じ部隊で命を助け合った仲間なんだ、ロゼって娘は・・・さ」


「「ふぅぅ~んっ、そうなんだぁ(棒)」」


なんだか酷く納得がいかない声だと聞こえるぞ?


「何をぺちゃくちゃ兄妹で内緒話をしているのよ?!

 アタシににだって聞こえるんだからね、魔女の力を使えるんだからね!」


ロゼが持ち前のツン状態で俺に断りを入れやがる。

俺達と同道しているレオン少尉が、あからさまに失望の眼で観て来るのが気にはなるのだが。


「レオン少尉、こんなロゼですが。

 やる時はちゃんとやりますから。一応魔鋼の使い手には変わりがないので」


「ああ、それは判るけどな。

 何というか、人選を間違えた気がしたんだ・・・」


がっくりと肩を落とすレオン少尉に、苦笑いするしかない俺。


「ああん?!アタシがどうしたって?

 下僕の分際で、御主人様に文句を垂れるの?」


ロゼがツン状態を拗らせて割って入って来るが、


「いいえぇ~っ、とんでもない。ロゼは立派な魔鋼騎乗りだと言ったんだ」


レオン少尉にも、ノエルにも。

ロゼという娘が持つ、本当の異能ちからを知らせてやりたかったんだ。


「今迄幾度も死線を乗り越え、何度も仲間を救ったつわものなんだぜ?!」


「ほほぅ。この娘が・・・ねぇ?」


「「ふぅ~んっ、このひとがねぇ?」」


・・・・

信用されなかった。


「そ、そうなんだ。ロゼはやる時はやる。出来る子ちゃんなんだぜ?」


思いっきり庇ったつもりなんだが・・・


「ルビぃ?!その言い方じゃあ、普段はまるっきり駄目な扱いじゃないの?」


却ってロゼを拗らせたようだ・・・俺は。


「はははっ、仲が良いんだな君達は。こっちまで気が安らぐよ二人を観ていると」


レオンが笑ってくれた。

ずっと難しい顔ばかりを観ていたから、気難しい娘だと思っていたんだが。

朗らかに笑うと、こんなにも穏やかな顔をみせてくれるんだなって分ったんだ。


「仲が良いですって?!どうみたらそう思えるのよ?」


また。ロゼがいらん事を言う・・・


「だって・・・夫婦漫才かと思ってたんだが?違うのか??」


「めっ、夫婦ぉ~っ?!あ、あなたねぇ、どこをどう見たら?」


今度はロゼが言い負かされる番か。


おや?ロゼが真っ赤になったけど?


「「ルビにぃ・・・困ったちゃんだねぇ?

  ロゼさんを扱うのって、苦労するでしょ?」」


・・・ノエルにまで言われてやんの。まぁ否定はしないでおこう。


「ル、ルビってばぁ。なんとか言い返しなさいよ!」


俺に振るなよ、ロゼ。

な。否定する必要ないだろ?



なんやかんやと喋りながらも、俺達は3突まで帰って来た。

待ってくれていたハスボック准尉達の前に来ると、いの一番に言われたんだ。


「おい、捕虜まで連れて来たのか?」


レオンを観て、そう思うのは当たり前だとは思うけど。


「いいえ、捕虜なんかじゃありません。彼女を連れて来たのには訳があるのです」


早速連れて来た訳を話そうとする俺に。


「あなたがルビナス達の上官ですか。

 私はロッソア軍戦車隊所属だったレオン少尉です、話を聴いては貰えませんか?」


レオンがフェアリア語で話しかけたのには、当のハスボック准尉の方が驚いたようだ。


「なんじゃ?!少女士官じゃからって簡単には降伏に応じはせんぞ?」


レオン少尉の肩章を確認し、てっきり降伏勧告に訪れたのかと勘違いしたみたいだが。


「いや、降伏なんて勧めに来た訳では。

 逆に闘う為に・・・私達と協働して頂こうとお願いに来たのです」


「なんじゃと?!儂達に祖国を裏切れと言うのか?」


勘違いに輪をかけた小隊長が、怒ったような顔色で訊き返したから。


「小隊長、最期まで話しを聞いて貰えませんか?

 レオン少尉はなにもフェアリアと闘えとは言っておられませんから」


仲を取り持つ為にも、話を聴いてくれと言ったんだ。


「うぬ?!じゃとしたら、何と闘えと言うのじゃ?」


固い表情のまま、レオンに向き直り訊ねる小隊長へ。


「ハスボック小隊長、レオン少尉はルビの妹さんの居場所を知っているようなのです。

 ロッソアまで案内してくれるそうなのですが、それには条件があるというのです」


ロゼが助け舟を出し、レオンの説明を促した。


「ロゼッタの言った通り。

 私は彼の妹が監禁されている場所を知っています。

 彼が救助を望んでいるから、連れて行ってあげたいと思うのですが。

 何分ロッソアの領内に行く訳ですから、おいそれとは行かないでしょう。

 2人がフェアリア軍人だとバレたらタダでは済みません。

 それに二人を連れた私だって反逆罪で即座に処刑されるでしょう」


レオンは二人と言った。

俺の妹を救出に向かうのだから、当然の事だが俺は分ったみたいだが。


「誰と行くと言うんじゃ?ルビナス他は?」


ハスボック小隊長は言わずもがな、ロゼを見る。


「はい!アタシ・・・ロゼッタ・マーキュリアですハスボック小隊長」


勢い良く、ロゼが手を上げて名乗り出た。


「嬢ちゃんか・・・腐れ縁じゃのぅ。

 いくら好いた者の為とはいえ、危険過ぎるぞ?」


「す、好いた?!な、な、なにを言うのです!

 ア、アタシはルビの事なんてっ、なんともっ」


慌てて言い募ったロゼに。


「想っとるんじゃろぅが!顔に書いてあるわい!

 好いた男を独りで行かせたくない・・・とな」


「////(真っ赤)」


いや、ロゼ。そこで黙り込むなよ。

そもそもだ、ロゼの中に居る魔女のロゼがそう仕向けたんだろ?

ルナナイトの血族を護らねばならないと言ってた魔女ロゼが、そうさせたんじゃないのか?


「おっほんっ。

 二人を連れて行くのはルビナスの為だけではないのです。

 ロゼッタは魔鋼の力を持つ者。ルビナスは時の指輪を持つ者。

 二人の魔法が必要なのです、私達の同志として。

 ロッソアの悪政から民族を解放する為には、一緒に闘って貰いたいのです」


やっとレオン少尉の求める訳が、ハスボック小隊長に告げられる。


「なんじゃと?!あんたは反逆を企てるというのか?

 ロッソア帝国に反旗を掲げるというのじゃな?」


驚いた小隊長がレオンの言葉を受けて、もう一つ訊いた。


「レオン少尉とやらに訊きたい。

 同志と言うからには仲間がいると言うんじゃな?

 その同志とやらは帝国軍内部に居る者なのか?それともゲリラなのか?」


ハスボック小隊長の眼は、ことの重大さを理解して真摯に向けられている。


「小隊長に私が答えられるのは。

 同志の中には軍人も民間人もいるってことだけ。

 つまり、立ち上がるのは衛星国民全てって事ぐらいです」


レオン少尉は反逆では無いと言いたかったのだろう。

飽く迄仲間達が求めているのは、悪政を布く者の打倒。

中央集権制の頂点に君臨する者を倒すというのだ。

  

「それは・・・そう容易くはいくまい。

 下手をすればクーデター扱いで、掃討されかねんぞ?」


「判っています。ですが、私達は立ち上がらねばならないのです。

 今のままでは衛星国民は皆飢えに苦しみ、帝国に殺されていくだけなのです。

 なんとしても悪政を止めさせなければならないのです。

 それが、亡くなった兄の想いでもあったのですから・・・」


答えたレオンに、ハスボック小隊長が頷く。


「ロッソアでも政治家は悪だくみをしておるようじゃの。

 儂等のフェアリアでもそうじゃが・・・醜いのぅ」


互いの国を想って、天を仰ぐ。


「じゃがのぅ、二人を連れて行くのなら。

 どういう方法で行くつもりなんじゃ?まさか徒歩で行く訳にもいくまいて?」


歩いて行く方法では危険過ぎるし、何日かかるのかも分からない。

それに、ここは最前線でもあったから。


「そこですが。

 私の乗って来た重戦車を修理して、味方の中迄戻ろうかと」


「ふむ。戦車なら内部は見えん・・・が。直せるのか?」


煙を出し続けるISイシュフスターリンを目で確認し、行動できるのかと問う。


「はぁ、動けるようになれれば。何時間かかるか分かりませんが」


レオンもそこだけが心配なようで、表情を曇らせる。


「ふぅむ。

 おいルビナス。お前は損傷具合を確認したのか?

 どうじゃ、動かせられると思うか?」


見て来た処を率直に言うと、多分エンジンは直せないだろう。

あれ程煙を噴き出していたから、ケーブルや過給機系統はかなりの損傷具合だと思う。


「多分駄目だと・・・ごっそりエンジンを替えれたらいいんですが」


俺の意見を聞いたハスボック小隊長が、顎に手を添えて考えた。


「じゃとすれば・・・一つしかない。

 儂等の車両を使うんじゃな。

 この3突を鹵獲した事にして乗っていけばどうじゃ?」


「えっ?!魔鋼駆逐戦車を?」


俺よりロゼが反応した。


「しかし、この3突には秘密兵器の魔鋼機械が。

 敵に鹵獲すれば後々問題になるのでは?」


車体を見上げて言うのは、尤もな意見。

だけどもハスボック小隊長は笑って応える。


「なんじゃ、その事なら気にせんでもええ。

 第一壊れとるし、量産型の不良品じゃ。ロッソアに渡っても問題なかろう」


確かに最後の弾を二人で放った時にぶっ壊れちゃったんだっけか。


「この車両を使えばええじゃろう?

 砲手と操縦手がいなけりゃー、どうせ動かせられんかったからのぅ。

 二人が帰って来なければ、どうせ放棄していたんじゃからのぅ」


小隊長は3号突撃砲を使えという。

フェアリアの戦車に乗って敵に向えば、砲撃される懸念があったが。


「レオン少尉。

 そうとなればじゃ。先ずはロッソアに報告するんじゃ。

 味方へ敵戦車に乗って帰るからと。

 鹵獲戦車に乗って帰るからと。そう発信するんじゃ」


自らの発案を押し付けるハスボック小隊長。

その顔には、なぜだか笑みが浮かんで観えた。


まるで我が意を得たといった風にも観えるんだ。

ハスボック小隊長は、一体どうするのが良いと思うのか?


ロゼがルビ達と話し合っている後から現れたのは?!


次回 姉と妹と

本当に大事だったのは彼女の方だった?!告白された彼女は?

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