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魔鋼猟兵ルビナス  作者: さば・ノーブ
第5章 鋼鉄の魔砲少女(パンツァー・マギカメタル)
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戦闘休止?!

・・・

・・・・現れる。


あいつが・・・

突然の変化に戸惑ったが、味方の魔鋼騎は敢闘した。

敵の魔鋼騎KV-1を見事に打ち破った。


「撃破確認!敵は炎上しておるぞ!」


キューポラからハスボック准尉が知らせて来る。

俺の眼にはその様子が観えないが、拭き上がる煙だけは確認出来た。


「なぁーんだ、手を出す必要なんてなかったんだ」


今か今かと待ち構えていたロゼが、拍子が抜けたように溢している。


ー あれにノエルが乗っていなきゃいいけど・・・


俺の心はその一点に集約される。

敵の魔鋼騎に描かれてあった紫色の紋章が、違っていたのだが。


「まぁ、ロゼの観た通りなら。乗ってはいなかったんだろうな」


そう思いたいけど、本当は怖い話だと思っていたんだ。

だって、まかり間違えばノエルを目の前で殺されてしまうかもしれないと思ったから。


ー 気が付いたよ、ロゼ。

  もしかしたら・・・どこか別の場所で同じような事になっているかもしれないんだ。

  ノエルが味方に因って殺されてしまうかもしれないと気が付いたんだ。

  ・・・今更だけど・・・逢える前に殺されてしまうかもって・・・


それが恐怖に変わる。

今迄自分の思い通りになっていると踏んでいたのが、単に思い上がりだと気付いて。


「そうでしょうね、アタシに宿った人も感じてはいなかったみたいだから」


ロゼがぼそりと話しかけて来る。

俺に気を遣っているのか、探している魔女が現れないのを残念がってくれているのか。


「まぁ、その内に・・・だよな?」


ロゼの心配をはぐらかす様に、気安く言ってみた。


「うん・・・そうだね。ルビがそう言ってくれて心が軽くなれたわ」


「そうじゃのぅ、敵の魔鋼騎がそう多くないから。いずれは出逢えるかもしれんのぅ?」


あれ?小隊長も俺の妹の件を知ってるのか?


「ハスボック准尉?!魔鋼騎の件を知っているんですか?」


咄嗟に訊いてみると。


「うん?!なにを言っておるんじゃ?

 ルビナスの口から聴いておるぞ?

 毎日、妹がーノエルがーって寝言で言っておるじゃろうに?」


・・・は?!

俺って寝言にまで言っていたのか?


「あの・・・さぁルビ?内緒って事にしてたんじゃないの?」


ピクピク震える声で言って来るロゼに、俺は声を失った。


「そうそう、ルビナス兵長って。時々固まって独り言言ってますよね?」


ムックにまで?!知られていたのか?


「ルゥ~ビィ~?!」


・・・もう・・・覚悟完了ッス






どうやら陣地も転換せずに済んだ。


敢闘した味方魔鋼騎は姿を元に戻した瞬間に擱座して果てたようだが。

味方の戦車回収車によって、陣地奥へと連れ帰られたみたいだ。



「それにしても。

 あの魔鋼騎の変化ってさ、有り得なくない?」


戦闘が一時的に中断されたのは敵部隊が急に反転して帰って行ってから。

味方の損害も馬鹿にならないが、敵にも相当に甚大な被害が出たようだ。


双方が退き下がった結果、昼過ぎには緩衝地帯が設けられていた。

重砲の射程外に引き下がった両軍は、暫しの休息を得ていた。


「ホントホント!車体まで大きく変えられるなんて。乗ってる魔砲使いって化け物?」


勝手なお喋りが出来るのは、自分達が戦闘に関与していなかったからか?

新人の少女達は初めて体験した戦闘に、興奮を隠せなかったみたいだ。


「そういえば、あのJ型改って。どこの部隊なんだろう?

 標識番号では97って描かれてあったけど?」


「97って。任務軍標識かな?それとも製造番号かな?」


「製造番号ってのはないわ。だって製造番号は極秘でしょ?あっても小さく表示するもの」


少女達は目撃した魔鋼騎についての憶測を話し合っている。



「みんな、生き残れてよかったわ。アタシ達みたいな悲惨な目にも遭わなくて」


ロゼが我が事の様に後輩達を観て微笑んでいる。


「そうだよな。敵が攻め寄せなかったから被害も受けずに済んだし」


彼女達の横顔を見て、俺もロゼに同意したんだ。


「違うよルビ。アタシは闘わずに済んだ事を喜んだの!

 初陣であの子達が殺人者にならなくて良かったなって言ったのよ!」


俺を睨んで来たロゼの眼が、悲し気に映った。

自分達だけでもう良いんだと・・・そう言ってるように観えたんだ。


「穢してしまう前に・・・穢されてしまう前に。

 こんな戦争なんて終わってしまえば良いのに・・・」


それが優しいロゼの心だろう。

本当は戦闘に出なくて済めば、それに越したことはないんだから・・・



「おい若いの。

 二人で食事を摂ってこい。見張りは代わりの者にさせる」


小隊長がカップを片手にやって来た。


「あ・・・はい」


ロゼが双眼鏡を降ろして車体下に答える。

見上げているハスボック准尉は、コーヒーを啜ると。


「奥の方には例の魔鋼騎が控えて居る。いっちょ挨拶でもしてくるんだな」


意味有り気に笑い掛けて来た。


「例の?ああ、了解です」


興味はあったさ。

あれ程の魔砲を使える奴なんて、そうそうお目に掛かれないからな。

どんな奴なのかと思ってたし、何かの参考になれば話でも聞きたいと思ったから。


「じゃあ、物見遊山でも・・・しゃれ込みますか?」


ロゼを促して、足早に例の戦車を観に行く。


「ねぇルビ。もしかしたら・・・本当に化け物かもしれないよ?」


ちょっと怖くなったのか、ツン娘が怯えている。

それとも宿っている方が怯えてるのか?


「どうしたんだよらしくない。いつもの威勢は何処へ行ったんだ?」


「だって・・・物凄い異能ちからを感じるから・・・」


ロゼが俺の後ろに廻って隠れてしまう。


「やっぱりロゼさんか。力って魔力か何かかい?」


「うん、凄い異能を感じるの。まるで神様のような・・・化け物みたいな」


俺は怯える魔女を後ろに廻し、例の魔鋼騎が観える処まで来た。


「あれは確かに3号型だよな。主砲は違うみたいだけど」


突き出ている主砲は長く細い。

あの砲がさっきは太くなっていたんだと思うと、不思議な気分になる。


修理が終えられたのか、車体周りには影が無い。


「乗員は何処に行ったんだろう?

 なんだか変な匂いがしてるけど・・・食事でもしてるのかな?」


周りを見回しても誰も居ないから、車体を存分に見て時間を潰していた。

その内乗員が戻って来るだろうと思っていたから。


がさ・・・


草を掻き分けて誰かがやって来た。


「あ。どなたでしょうか?私達のマチハに御用でもありましたか?」


大人しい女の子の声が俺に掛けられた。


「いや、車体にではなくて、乗員の方にです」


振り向いた俺の眼に入ったのは、観た事も無い黒髪の少女。

青みを帯びた瞳で観ている一等兵の少女だった。

黒髪を後ろで結わった、紅いリボンが揺れていたんだ・・・


挿絵(By みてみん)

出ましたね、とうとう。

フェアリアの戦いを語れば、いつかは出ると思ってましたが。

いやもう、懐かしいのひと言。←作者の私観


次回はそのミハルとごゆっくり。

ルビ達の会話をお楽しみに!


次回 黒髪の少女ミハル

君達との会話はとても嬉しく思えましたよ・・・この頃私も幼かったBYミハル

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