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魔鋼猟兵ルビナス  作者: さば・ノーブ
第3章 騎士と魔女
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痴話喧嘩?!

生きて戻れた心ゆえか。

ロゼと俺は馬鹿噺を繰広げ・・・てたら。


彼女も現れたんだよなぁ・・・・

夜の帳が堕ちた頃。


月が中天に浮かんだ頃・・・



「帰り道で話してたことなんだけどぉ?」


「・・・んだよ、ロゼ?今手が放せないんだけど?」


帰り着いた駐屯地で、俺達は車両の整備を手伝っていたんだ。

俺は重いキャタピラを取り付けながらロゼを見上げた。


「良いからっ!聞いてよ。

 騎士と魔女の伝説を知ってるんでしょ?」


「ん?ああ、それがどうかしたのか?」


キャタピラを取り付けた俺が、ロゼに訊き直すと。


「その伝説に出てくる魔女ってさ、どんな姿をしているの?

 魔女は騎士とどんな間柄だったのか知ってる?」


質問が多いな・・・と、思い出そうと記憶を辿った。


「確か・・・騎士の従者だよな?」


「そうじゃなくて!魔女って騎士様のどの位置に居たのかって事よ!」


そうぽんぽん言われたって、思い出せる範囲がだな。


「確か・・・魔女は騎士に付き従い、命を共にしていた・・・」


「そう!そうなのよ!魔女は騎士様を誰よりも愛していたのよ!」


ロゼの眼がキラキラしてる・・・少女が恋バナを話すみたいに。


「んで?なにが言いたいんだよ?」


ジト目で俺が訊くと。


「ん?!あ、ごほんっ。

 つまり魔女は騎士様と運命を共にする程の仲だった・・・と、言う事よね?」


「・・・それが?ロゼの言いたい事が解らんのだが?」


俺には恋バナなんて似合わないし、興味もないのだが?


「あ・・・分かんないかなぁ?いつもに増して鈍感ねぇ。

 その魔女って言うのが、アタシの祖先様みたいなのよねぇ」


「・・・は?」


意味が解らないを通り越して、訳が判らないのですけど?


「だからぁ!ルビの祖先とアタシの祖先は同じ流れを汲む者だっていうこと!」


「・・・もう一回言ってくれないか?」


底抜けに間抜けだと思うよ、ロゼの言いたい事が解らないなんて。


「つまり、君の祖先とアタシの祖先は同じ血族だってこと。

 魔女がマーキュリア家、騎士たる領主ルナナイトがルビの家を残した。

 いいえ、マーキュリア家から魔女が輩出され、君の先祖に付き従った。

 君のルナナイト家から輩出された、騎士様のお付としてね」


「つまりなんだ、ロゼの祖先の内一人が、俺の先祖と一緒になって伝説を創ったのだと?」


ちんぷんかんぷんの俺にロゼが頷き、


「早く言えば、君の先祖と深い仲になったアタシの先祖が魔女。

 その魔女と共に在った騎士が君の御先祖ルナナイトってことなのよ」


・・・なんだか分かったような解らないような。


「だからルビとアタシが出逢ったのも古来からの因縁。

 きっとご先祖様が導きになられたのよ、二人で新たな伝説を創る為に!」


・・・ロゼの眼が・・・キラキラ。


「で、でもさ。ロゼがそうだとは言い切れないんじゃ?

 ロゼの他にもマーキュリアの血族は居るんだろうし…」


それに俺じゃなくノエルだったのかもしれないしさ。

それ以上言い澱んでいた俺に、ロゼがキラキラした目で・・・


「いいえ!騎士と言えば殿方。魔女と言えば乙女。

 アタシとルビに決まっているわ!間違い・・・」


「無い事はないんじゃないかしらね?!」


ロゼの言葉を遮ったのは。


「姉様?!いつからここに?」


動転したロゼがアリエッタに振り返る。


「先程からずっと居たわよ?それにしても・・・ロゼッタ。

 あなたいつからそんな熱いになっていたのよ?」


「あついこ・・・って。

 姉様こそ!隠れてないで真っ向正面から話しに加わったら良かったでしょ?」


姉と妹が・・・再び相まみえるのか?


「加わるも何も。あなたが一方的にルビナスにアピールしてただけじゃないの?」


「ぐっ?!言い切られた・・・」


二人の会話に俺はこそこそと逃げ出す。

その場に居たら、修羅場に巻き込まれそうだ。


「だいたいねぇ!ロゼッタは身体ばっかり発育して。頭まで栄養が届かなかったのよ!」


「にゃっ?!なんてことを言うのよっ?!お姉様こそっ、綺麗な顔の割にはどす黒い心なんだから!」


・・・痴話喧嘩かよ?!


俺は二人にバレない様、こっそりとその場から離れた。


「ほーっほっほっ!何とでも言いなさいな。私の美貌に掛かればあの子だって靡くわ!」


「ニャァ―はっはっ!アタシに掛かればルビなんてころっと堕ちゃうんだから!」


どっちも・・・大概だな・・・・


聴こえて来た二人の声に、大げさなため息が零れてしまった。


「ああ?!ルビナスが居なくなってる?!」


「あぎゃっ?!呆れられちゃった?!」


・・・似た者姉妹だと、良く解ったよ・・・




それにしても、俺の先祖とロゼの先祖がなぁ・・・


二人から離れて考えてみた。


俺とロゼの関り。

俺に時々見せるデレは、もしかしたら先祖還りって奴なのかもな。

それが本当だとしたら?

ロゼの気にしていない内に身体が反応しているのなら?

もしかすれば、先祖の魂が宿っているのかもしれない・・・


俺の中に先祖の力が眠っているから。

その力に引き寄せられているとしたら?


ロゼには黙っておこう。


独り考えて空を見上げた。

空に浮かんでいた月が、雲の中に隠されていく。

ちょうど月が霧の中へ沈んでいくみたいに。


「うん?指輪から光が?」


填めていた指輪から蒼き光が零れている。

・・・そう観えたんだ。光の粒が涙の様に零れて観えたんだ。


「なんだよこれ?!何を言いたいんだ?」


指輪に秘められた力があるのはロゼからも聴いていた。

でも、俺には話しかけて来る事なんか一度も無かった。


この瞬間まで。


「何が言いたいんだ?何を教えようとしている?」


指輪に向けて俺が叫んだ時。


「「お前には替えられただろう?悲劇を停める力があるのだろう?」」


どこかで聴いたような声が聞こえたんだ。


「誰だよお前は?!」


思わず訊き返しちまった。

空耳かもしれないのに。

だけど、次に聞こえたのは・・・


「「お前に果たして貰いたいのだ。我が愛するロゼリタの魂を救って貰いたい。

  我がルナナイトに付き従った魔女たる娘の魂を」」


俺の先祖。

彼の悪魔たる騎士の魂が、話しかけて来たんだ。


「「我は悪魔と呼ばれし騎士。我が領土を穢す者らに滅ばされた魂。

  フェアリアに組みし裏切者に因って貶められた魔王・・・

  そう呼ばれて来た・・・だが、事実ではない。

  我とロゼリタは守るべく闘ったのみ」」


指輪からの声は、伝説を否定した。

悲しみに満ちた声が、リングからの雫となって観えた。


「「そなたには我等ルナナイトの血が流れて居る。

  そなたには時を操る異能ちからが引き継がれた。

  月夜の騎士たる魔力が受け継がれているのは知っておるか?

  指輪に秘められた力を、輪廻が放てるのを分っておるのか?」」


俺にどんな異能が秘められているんだ?

その力はいつ使えば良いと言うんだ?


「「どうやら・・・解っておらんらしいな。

  ならば教えてやろう、<時の指輪>の使い方を。

  そなたが引き継いだ魔法というものを・・・」」


俺の前で蒼き指輪から光が噴き出し、目の前が真っ青に染められた。


視界が開けた時。

そこは俺の居た場所ではなくなっていた。


周りにあった建物は掻き消え、木立の中に立っていたんだ。

唯、月の光が影を墜とす、騎馬たちの前に二人と共に立っていたんだ。



俺に話しかけてくる指輪。


先祖らしい男が話すのは?!

俺に秘められた魔法と運命。


次回 騎士と魔女の時代

君に話されたのは古からの記憶・・・それは騎士たる先祖が辿った物語。

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