表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼猟兵ルビナス  作者: さば・ノーブ
<ロッソア>編 第6章 紅き旗
106/133

妹(ノエル)奪還 第6話

ノエルを連れて・・・

妹の身体を研究所から連れ出したルビ。


レオンの待つジープへと歩むのだったが・・・

時が刻々と過ぎていく。


待ち合わせの時間はとうに過ぎていた。


「遅い・・・まさかとは思うけど。ルビとロゼッタに何かが起きた?」


レオンは双眼鏡で観測を続ける。

そうするより、何も打つ手が無かったから。


2時間は既に過ぎ去り、隠しているジープの武装を解くか考えていた。


「少なくとも、銃音や爆発音は聞こえなかったが・・・」


戦闘には発展してはいないとだけは判るのだが。


双眼鏡に映る研究所からは、何も動きは見られない。

それだけがレオンにとっての救いだった。


「もしや?雪の中で立ち往生してるとか?」


それは・・・笑えるが。寒さに弱いロゼならあり得ると・・・


双眼鏡を一時降ろしたレオンが、視界の端に何かが動いた気がして身構えると。


「おお~い・・・たしゅけてぇ・・・」


か細い声が聞こえたように思えた。


「はぁっ?!」


双眼鏡を声のした方に急いで向ける。


「レ オ - ン・・・・たしゅけてぇ・・・」


声は確かに助けを求めている。


「埋もれちゃうよぉ・・・・」


助けを求める声は・・・・


「あ・・・雪ダルマが。ルビは何処に行った?!」


レンズに映るのはロゼと思われる雪達磨みたいな、フードを被る<白い者>。


「何やってんだよ?!そんな所で埋もれている場合か?!」


もそもそ動く雪達磨・・・本当に雪達磨に見える。

大きく膨らんだ胴体と、ロゼの顔だけが覗く雪まみれの頭部。


動きは怖ろしく緩慢・・・と、言うか。


「待ってろ!今車をまわすからな!」


しょうがないから助けに行く事にしたレオンに。


「ありがとーぉ」


感謝の声を上げる・・・ルビ?!


どこに居る?居るのは雪達磨のロゼだけの筈?


雪を掻き分けてジープが辿り着いた時。


「助かったぜ・・・一時は3人共遭難するかと思った」


・・・3人?!どこに居る?って、ルビはどこだ?


レオンがロゼに訊き質そうとしたら。


「ぷはぁーっ!早くのけよロゼ!ジープにコートがあるだろ?!」


ロゼの下からルビの声が聞こえた・・・・


「うるさいわね!アンタが頼んないからこうなったのよ!」


そう言うロゼは・・・暖かそうだが?


レオンは二人に絶句した。

良く見れば、一着の防寒コートにルビとロゼが二人羽織状態になっている。


「お前が退かないと、妹も動かせないだろーが!」


「はい?妹??」


素っ頓狂な声でルビに質してしまう。


「おう、レオン!救出完了だぜ!」


「はいぃっ?!ルビの妹ぉっ?」


目を点にして訊いてみる。


「そ。目的は果たせたわ!凄いでしょ?!」


「はいいいいいぃっ?!終わっちゃったの?」


顎を堕としてレオンが質すと、二人はコクンコクンと頷き返す。


「はおらぁっ?!これが観えぬかぁ!」


ばさっとロゼがフードをとっぱ外す。


ロゼがしっかり抱き寄せているのは。

栗毛の少女・・・ノエルの寝顔だった。


「意外でしょー、以外だよねぇ。ルビの妹ちゃんがこぉんなに可愛いなんて!」


ニマニマ笑うロゼは、満足そうにノエルを抱いている。


「はぁ・・・で?その兄貴はどこに居る?」


二人が居るのは分かるが、ルビは一体どこに居る?


「ここ・・・ここだよ!」


その声は、二人の下から聞こえて来た?!


「なっ?ルビよ・・・なんという怪力?!」


ロゼとノエルを背にしているルビが・・・・いた。


「雪の中で移動しようとしたら、こいつが凍死するって。

 雪達磨でも何でもいいから寒さから逃れさせろって煩くてさぁ」


目を剥いたレオンの前で、損な男子がのたまう。


「バケモンかルビは?!」


「ん?!思い違いしてるよレオン。

 ルビは肩車やおんぶなんてしてないし、してくれないよ?」


驚くレオンにロゼが横槍を噛ましやがる。


「確かに妹ちゃんはルビが背負ってるけど、アタシまでは無理だから。

 ほら、ムカデ競争ってあるじゃない。あれと同じだよ」


「・・・どうでも良いけど。なんとかならなかったのか?!」


防寒コートに3人が入るなんて。

どう考えてもおかしいだろうに?!


「大きくって幸いぃー!」


ロゼはほかほかで。ルビは妹を背負しょえて。


「はぁ・・・聞くだけ馬鹿だった・・・」


がっくり肩を落としたレオンが嘆く。


「それじゃなにか?もう研究所を攻略しなくても良いってことか?」


「そー、必要無し子になりました・・・えっへん!」


問われて答えるロゼが胸を張る。


「・・・なにがどうなったのか・・・まぁ、結果オーライだな。

 引き揚げてから詳しく話して貰うぞ?」


ジープの荷室からコートを掴み出してくれたレオンが、


「それと、妹からもだ」


何気なく訊いた瞬間に、それまで朗らかに話していたロゼの顔が固くなった。


「?なんだ?何かあるってのか?」


知らないレオンには悪気なんてない。

教えるかどうかを戸惑ったロゼが、ルビに訊こうとすると。


「いいや、その時が来たらな。今は帰るのが先決だろ?」


ルビが先手を打って応えた。


「?!ま、そうだな」


釈然としないレオンだったが、この雪の中で長々と話す事もあるまいと思い。


「帰って温まってからでいいさ」


温泉宿まで帰ろうと促して来た。


「ああ、帰ろう・・・」


ロゼはルビの心中を思い、何も言い出せなかった。

レオンに、本当は助けられずにいるだなんて・・・









ヘッドライトが検問所へ向けられた。

待っ正面に造られたバリケードへと・・・



「エル・・・往くよ!」


カインの右足がアクセルに乗せられた時だった!


「ちょっと待ちな!」


不意に横合いから声がかかった。


「アンタ等、検問所へ何をしに行くんだ?!」


続けて問われてから気が付いた。


「どうやら・・・やばい橋を渡るんだろ?」


ニヤニヤ笑うチュータの顔が、二人を見詰めていた事に。


「君は?この間の泥棒君じゃない?」


見覚えがあったエルが、直ぐに答えると。


「泥棒じゃないっ!義賊って呼べよな!」


剥れたチュータが言い返す。


「なんだ、お前?何か用なのか」


不審がるカインが、アクセルから足を外した。


「あるから呼びかけたんじゃないか。

 アンタ等に恩があるから、手助けしてやろうって思ったんだけどな」


ポケットから何かを取り出したチュータが、勿体つけて答える。


「あら?この間の事?だったらお互い様だったから。もう良いのよ?」


優しいエルが、チュータに微笑んで答え直す。


「そ、そんなんじゃねぇよ。

 アンタらが警察に狙われてんのなら、仲間だと思ったんだよ。

 仲間なら助けないとならないのが義賊ってもんだからよぉ」


麗しいエルの微笑みに、顔を紅くしたチュータがそっぽを向きながら。


「だから、アンタ等を助けてやるんだよ。

 あいつらの手になんて捕らえさせてたまるかっての」


ポケットから出したチュータの手には、重そうな鉄の塊が。


「なぁ、アンタ。走るのは早いかい?」


ニヤリと哂うチュータが、訊いて来た。



妹は奪還できた。

だが、救えたとは言い切れなかった。


一方危機に瀕していたエルたちの前に現れた少年は?


次回 ノエル奪還 第7話

2人は無事に逃避行を遂げれるのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 雪だるま……(笑) かわいそうに、ルビ。雪の中で足元もおぼつかないだろうに、ムカデ競走とは(-_-) 激しく体力を奪われる感じですな。 妹の真の救いはまだこれから……。 お姫様と騎士の逃…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ