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#56 大切な人への贈り物 その三

『さあて、ふたりともどんな物を作ってくるかな?まだまだ未熟だから悩んでいるだろう。でも考える事が大切だから大変だろうけど良い経験になるだろう。錬金術は「人が喜ぶ物を創造する」事が大前提で私利私欲のために力を使うべきでは無い事を厳守させなくては僕の弟子になる資格はない』


「ミルフィだったら何を貰ったら嬉しい?女性の視点から教えてくれると助かるんだけどな」


「そうですねってタクミマスター!ズルは駄目ですよ。おふたりともひとりで真剣に考えておられるのにマスターがそんな事をしてたら怒られますよ」


ミルフィが笑いながら僕に忠告してきた。


「冗談だよ。心配しなくても何にするかは既に決まってるんだ。ただ、僕からのプレゼントは正直言ってふたりが喜ぶ事を前提に考えたものではないから今回のお題からすると実は失格ものなんだよね。でもふたりには絶対に持っておいて欲しいからプレゼントとしてはありだと思ってるよ」


「何を作るんですの?」


「それは、出来てからのお楽しみって事で。期限日のセッティングは任せたからお願いするよ」


「了解です。タクミマスター」


* * *


ーーーそして、期限日の成果発表会の時がきた。


「準備はいいかふたりとも!」


「いつでも良いわよ!」

「準備は出来てますわ」


「よし!錬金を始めるぞ!時間は一刻だ!始め!」


三人は自分の錬金釜に向かいそれぞれの品物を作り始めた。


ーーーそして。


「そこまで!どうだ?ふたりとも上手く出来たか?」


「上出来よ!」


「練習通りに出来たと思いますわ」


「じゃあ、ララの作品から出してくれ!」


ララは出来立てのスープをふたりに取り分けて言った。


竜族異世界料理(ドラゴンスープ)よ!こっちの世界には無い料理を再現してみたの。燃えるような味を体験してみてね」


僕とメイシスは出された真っ赤なスープにたじろぎながらも食べない訳にもいかず恐る恐る口に運んだ。


「!?☆@%#!!」


「・・・・・・・・」


「みっ、水をくれ!!もっ燃える、口が燃えるぞ!!」


「・・・・・・・・」


「えー!?そこまで辛い筈はないと思ったんだけどなぁ?メイシスはどう?」


「おい!メイシス!大丈夫か!?ヤバイあまりの辛さに気絶している!セジュ!早くヒールを!!」


「ーーーララ、やりすぎだ。確かに斬新な味だが女性視点の異世界料理を再現したのは評価する。だが僕達の舌が耐えられなかった時点で『アウト』だ。こんな料理世に出したら死亡者続出するかもしれないぞ」


「えー!?駄目なのぉ?」


「課題はギリギリ及第点をやるが世には出さない方が無難だな。次、メイシス頼む」


「すっ凄かったわ。さすがララさんね私の想像をはるかに越えた物を作ってきた事に驚いたわ。私の作った物はこれになりますの」


そう言いながらメイシスは化粧品を差し出した。


「これは女性の美しさをより引き立てる化粧品になりますの。今ある市販品とは比べ物にならないくらい良質な素材で女性をサポートする事が出来る化粧品ですのよ。試しに私が使ってみましょう」


メイシスが化粧品を使って化粧をしようとした時、ララが横からメイシスに言った。


「それ、私に使ってみてくれないかな?私今まで化粧品なんて使った事がないから凄く気になるの」


「そうだな。メイシス、今回のはお互いの品物を体験して感想を言い合う事も意義があるからララに使ってやってみてくれないか?」


「えっ!?それは・・・」


メイシスとしては自分が綺麗になってタクミに迫るつもりだっただけにララの申し出とタクミの後押しは計算外だった。しかし、タクミの言葉に反対する訳にもいかず、しぶしぶ了承し、ララに化粧を施した。


「うわっすっごーい!!まるで私じゃないみたい!メイシス!これ凄すぎるわね!」


大はしゃぎのララに対してひきつった表情のメイシス。明暗はハッキリ別れてしまった。


「メイシス、凄く頑張ったな。これ程とは思わなかったよ。文句なく合格だ。ただ、素材の入手難度が高いみたいだから量産は難しいだろうからメイシスのスペシャルレシピとして保管しておくと良いと思うぞ」


僕はメイシスの頭を撫でながら作品を絶賛した。メイシスは化粧で変身して猛烈アタック作戦は失敗に終わったがタクミに誉められた事で充分満足していた。


「それでタクミは何を作ってくれたのかなぁ?」


「きっと私達とは比べ物にならないくらいに素敵な物だと思うわ」


ダメ出しされたララはジト目で、絶賛されたメイシスは期待を込めた目で僕の品物を待ち受けていた。


「僕からふたりにはこれをプレゼントするよ。気に入ってくれると嬉しいな」


僕はそう言いながらふたりの前に品物を出した。

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