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#52 メイシス王女の愛称とララのネックレス

メイシス錬金工房が突如完成したお昼過ぎの事だった。


「タクミ様!先日は色々とお疲れ様でした。お父様が無理を言って隣に工房を建ててしまいましたので、非常に残念ですがご一緒には住むことが出来ません。しかし、お隣ですのでいつでも気軽においでくださって大丈夫ですからよろしくお願いしますね」


「タクミマスター様。メイ様が色々とご迷惑をかけるかも知れませんがよろしくお願いします」


メイシス王女の隣に控えていたショコラが僕に挨拶してきたので頷いておいた。


「いきなり隣に工房が建ったから驚いたけど確かにメイシス王女も自分の工房があった方が良いし、一人前になったら独立した工房にしないといけないだろうから、かなり気が早いけれど良かったんじゃないか?」


僕はメイシス王女の頭をポンポンと軽く叩いて「明日から錬金術の応用をするぞ」と言って笑った。


メイシス王女も「はい!」と返事をして笑顔でガッツポーズをした。


「よし!それじゃあ今日はララのネックレスを完成させてやるか。明日からの講習はララも参加させるから早めに体に慣れておかないと感覚が掴めないかも知れないからな。ああ、メイシス王女。暫くの間は講習は僕の工房でやるから時間になったら来てくれるかい?」


「それは良いですが、私達婚約したのですから私のことは『メイシス』又は『メイ』と呼んでください。私は王女であるよりも錬金術士としての道を選んだのですから」


「分かったよ『メイ』と呼ぶことにするよ。ララも愛称だからメイシスも愛称で呼ぶのがいいだろ?」


「はい!嬉しいです!私も『タクミ』と呼んでも宜しいですか?」


「はは。いいよ。但し講習の時は『師匠』と呼んでくれると公私混同か無くていいかな」


僕はそう言うとメイシスと別れて自分の工房に戻った。


「さて、昨日の宝石はどうなったかな?」


昨日から魔力液に浸けていた宝石はすっかり深紅に染まっていた。


「よしよし。これなら大丈夫そうだな」


僕は宝石を魔力液から取り出して定着用の魔方陣の上に置いてからララを呼んだ。


「ララ!お望みの物が出来たぞ。前にも一度やったから分かるだろうが、この宝石にララの成長したい姿を記憶させて魔力で姿を具現化させる仕組みだ。ララは竜族だから魔力量は多いが今の姿を維持するためにもかなりの魔力を使っている事は前にも話したよな?そして錬金術に使う魔力も多いほど品質向上製品安定に繋がる事も話したよな?そのさじ加減を間違うと苦労するから良く考えてどのくらい成長させるか決めてくれ」


僕はララの目をしっかりと見据えて頭の中で念じていた。


『あまり成長し過ぎるなよ。魔力量に限界がある的な事を言ったけど実はララに関しては少々成長させても錬金術で使う魔力程度ならなんとでもなるんだよな。でもそれを言うと好き勝手に成長するに決まってるからなぁ。本当に頼むぞ』


「そんなに見つめてきたら恥ずかしいじゃないの!そんなにこの姿が良かったの?タクミやっぱりロリコン?」


「ちっがぁーう!!」


やはりララにはテレパシーは届かなかったようだ。ガックリ項垂れた僕は「頭痛くなってきた。紅茶を飲んで来るからそれまでに準備しといてくれ」と言い残して厨房へ向かった。


「何よ。変なタクミ」


そして僕が紅茶を飲んで戻ってきた時には深紅だった宝石がエメラルドグリーンに変わっていた。どうやらララが成長させるイメージを記憶させたようだ。不安を頭の隅に追いやり僕はネックレスを完成させた。


「今夜はこのネックレスを首に掛けたまま眠るといい。明日、目が覚めたら記憶させた姿になってるだろう。明日を楽しみにしてるよ」


僕は出来立てのネックレスをララの首に掛けてから見納めとなる今のララをこっそり作っておいた画像念写装置を使って記録しておいた。


『ん?やっぱり僕やばくない?ロリ・・いやいや、幼い娘の成長を見守る親父の心境だな絶対!多分、きっと・・・』


色々な考えと葛藤しながら今日が暮れていった。

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