#37 メイシス王女の錬金工房合宿 その二
「それでは今日から3ヶ月の間お世話になりますメイシスです。第3王女ですがここでは錬魔士様の弟子になりますので気楽にメイシスと呼んでください」
メイシス王女は工房に入ると皆に挨拶をした。王女とは思えないフレンドリーな物言いで逆にこっちが戸惑ってしまう。
「あら?ララさんは何処に?そしてあなたはララさんの妹?」
メイシス王女は出迎えたメンバーに昨日弟子と紹介したララの姿が見えずにララに良く似た少女が居たので妹と思ったらしい。確かに僕でも同じ状況ならそう思ってもおかしくはないだろう。今日一日ならば妹で通してもいいのだが3ヶ月も居る間ララが一度も姿を現さないのは不自然すぎるので辻褄のあうように適度に盛って説明する事にした。
「実はその娘がララなんです。昨日お城から帰ってきてから疲れはてて眠りについたのですが朝起きたら体がこの通り縮んでいたのです。おそらくですが昨日のお城での緊張した中で日頃以上の力を発揮しようとして魔力を使いすぎたのが原因ではないかと考えています。まあ、死ぬ訳でもないのでそのうち戻ることでしょう。ですからメイシス様は気にせずにララと一緒に訓練に励んで下さいね」
メイシスは『えー!?』とした顔を一瞬見せたが直ぐに取り繕い笑顔でララに挨拶した。
「分かりましたわ。大変でしたねララさん。魔力を使い過ぎると体が小さくなるなんて話は聞いたことが無かったので少しびっくりしましたがよくある事なんですか?」
「いえいえ。普通の人はあるものでは無いですよ。ララが少し、いえかなり特殊なだけですよ。ですから心配せずにメイシス様は訓練をされて大丈夫です。魔力の使い過ぎの時には僕が止めますから」
「ちょっと小さくなっちゃったけど一緒に頑張りましょうねメイシス」
「はい!よろしくお願いしますララさん」
『いや、幾ら本人がいいと言っても王女様だよ?ララもいきなり呼び捨ては良くないと思うんだが本人が気にして無いから大丈夫か?後で不敬罪にならないだろうな(汗)』
僕は別の意味で冷や汗をかきながらふたりのやり取りを聞いていた。
「それではメイシス様の個別講習を始めさせて頂きます」
あの後、メイシス王女を部屋に案内してミルフィに工房でのルールと注意事項を説明して貰い、作業着に着替えてもらった。作業着は急だったので暫くは持ってきた普段着でやることになった。暫くは座学が中心だから実践前には買いにいって貰うつもりだ。
「まずはメイシス様の錬金術適正と度合いを測らせて頂きます。それによって講習の進め方を決めますのでよろしくお願いします。ああ、ララは実践までは特に教える事は無いから自由にしてていいぞ。なんならミルフィと一緒にオヤツでも作ってくれると嬉しいんだがな」
「そうね。せっかく覚えていったお菓子のレシピも無駄になっちゃったし、それもいいかもね。シールさん。材料の在庫ってあります?」
「十分にあるのだ!ララが作るのなら幾らでも出すから出来たら食べさせるのだ!」
「じゃあララ頼んだよ」
僕は講習の休憩時に食べるお菓子をララに任せて本題に入った。
「お待たせしましたね。それでなすみませんが右手を出して僕の手に重ねて下さい。重ねたら暫くそのままで目をつぶって心を落ち着かせて魔力を体の中で循環させます。やり方が分からなければ心を落ち着かせるだけでも大丈夫です。僕が先導しますから」
僕はそう言うとメイシスの魔力から適正魔力の量を探っていった。驚く事にメイシスは既に魔力循環操作のコツを掴んでいたようでスムーズに測定は終了した。
「はい、終了です。お疲れ様でした」
「どうでしたか?」
「なかなかいい素養を持っていますね。僕としても鍛えがいがありますよ」
「本当ですか!?嬉しいです!!」
メイシス王女は本当に嬉しそうに笑顔をみせて僕の手を取った。
「あっ!ごめんなさい!」
顔を赤らめながら慌てて手を離すメイシスだったが気のせいか口元が笑っていたような感じがした。
「そ、それではこの後は座学にしましょう。これは僕が書いたテキストですが錬金術の基本となる概念や理論が纏めてあります。本来一般の方にはお見せする内容ではありませんが、メイシス様は僕の弟子扱いになってしまったので特別に閲覧許可を出しますが複写は認めませんのでこの研修中に自分のものにして下さいね」
「そんな貴重な文献を閲覧させて貰えるからには必ずやものにしてみせますわ」
その後もメイシス王女は積極的に質問や疑問点の復習などをこなしていった。
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