#27 王宮での錬金準備のお買い物 その一
料理錬金の特訓は呆気ないほど簡単に済んだ。なんと言ってもララがやる気満々だったのと指輪のアシストが想像以上に優秀だったからだ。
なので2日目は午後からララの服を買いに街に出かける事になった。まあ、今のララはミルフィに借りないとまともなサイズの服が無いのも確かなので王宮に着て行く小綺麗で錬金術士のイメージにあう服を用意しないといけなかったので渡りに船だった。
「タクミも一緒にいく?」
外出するのがよほど楽しみなのかテンションが最高にあがっているララはミルフィだけでなく僕も誘ってきた。
「そうだな予算はミルフィに渡してあるし、服のセンスもミルフィなら大丈夫だと思うぞ。それに女性の服を選ぶのに僕が居ても大丈夫なのか?」
「なによ?私とは行きたくないって言うの?」
『おっと、ララの機嫌が悪くなってきたぞ。ここは一緒に行っておいたほうが無難な気がするな』
「そんなことはないぞ。ぜひ一緒に行こうか。いやぁ僕も行きたいと思ってたんだよ」
「何か含みのある感じの言い方だけどまあいいわそれじゃあ行きましょう」
そんな流れで僕はララ達と買い物に行く事になった。実は一緒に行かなくても僕は僕で必要な物の準備があるから買い物に出る予定だったんだけどそれは秘密にしておこう。
「まずは私の服を見に行っていい?」
「ああ、その先にある僕がよく行く服屋に寄ってみるか。いいか、あまり派手な服はダメだぞ。錬金術を行うのに適した物を選ぶようにな」
今回は王宮に行かなくてはいけないのでフランクすぎる服装はもちろんNGだし、貴族みたいなキッチリした正装も錬金術を行使するのに適していないため選ぶべきではないだろう。
「ミルフィ、ララの服を見立ててやってくれ。まあ少しはララの意見も参考にしてやってもいいが、許容範囲内でたのむよ」
「はーいですのマイスター」
「えっとね。今までだと着られなかった肩から背中がガバッと開いたやつにミニのフレアスカートがいいな。色は赤かピンクかな」
いきなりとんでもない服を要求してくるララにミルフィは苦笑いをしながら手を引っ張って店内を回りある服をララに渡した。
「ララさん。普段着ならそれもアリかもしれないけど今日は王宮に着ていく服を選びにきたの。私はマスタータクミの意向を忠実にこなすためにご一緒させてもらってるの。だからまずはこの服を試着して欲しいの」
ミルフィはそう言って一着のうす桃色の看護師や薬剤師がよく着る服を差し出した。
「えー。この服地味過ぎない?色は良いけどこの服じゃあ私のスタイルのメリハリが分かりにくいんじゃあないの」
元々子供の発想でズバズバ発言するララは今回体型が成長したのが嬉し過ぎて思わずそう言って自分の胸腰尻を強調してしまった。使命に頑固な精霊ミルフィに向かって。
「ララさん?先ほども言いましたが今回はマスタータクミに同行して錬金術を王宮にて施行する使命があるのですよね?それなのにわがままを言ってマスターにご迷惑をかけるつもりならば私にも考えがありますの」
日頃のミルフィからは想像出来ない威圧感にララだけでなく周りの店員や買い物客も凍りついた。
「ミルフィ。そのくらいにしとこうか。ララも少しはしゃぎが過ぎるぞ」
結局この場を収められるのはミルフィのマスターである僕だけだから仕方なく双方に一言づつ注意をした。
「申し訳ありません。マイマスター少々取り乱してしまいましたの」
ミルフィは僕の言葉に慌てて謝罪の言葉を口にした。
「私が浮かれすぎたのが悪かったのミルフィさんごめんなさい」
ミルフィが僕に謝る姿を見てララが慌てて謝った。
「よし。双方仲直りだな。それじゃあ服選びを再開しようか」
僕の機嫌がなおったと感じたふたりはほっとした表情で真剣に服選びを再開した。
結局基本的にはミルフィの見立てで少しだけララの意見を取り入れた清潔感がありながら可愛いを取り入れた感じの服に決まった。
「なかなか良いじゃないか。いかにも錬金術士の助手感が出ていて文句ないぞ」
その言葉に喜びながら小物を見るふたりに気づかれずに僕は店主に同じデザインで子供サイズの服をこっそり注文しておいた。
必要な小物も揃えた僕達は次に明日のサプライズに使う素材を買うために食料品店を訪れた。
 




