#20 錬魔士への緊急依頼 その三
「それを使うの?」
ララが心底嫌そうな顔をしながら聞いてきた。
僕がシールに取り出して貰ったものは『嘘ついたら電撃ビリビリ杖』と言う微妙なネーミングセンスの嘘発見器だ。
現実世界での嘘発見器は嘘をついた時の心拍数や汗のかき具合や眼の動き等の変化で嘘を見抜く物だったが、この世界で僕に作れない物なんて存在しないかの如く作り上げた杖。当たり前だが、世界に一本しかない反則錬金アイテムである。
その杖の特殊スキル、神眼の裁きにより絶対的ジャッジメントが発動して嘘と判断されれば問答無用で神罰の雷が回答者に降り注ぐ事になるアーティファクトアイテムであった。しかも、ついた嘘の重大さによって威力が違うと言うオマケ付きである。
ちなみにテストでララに軽い嘘をついて貰ったがドラゴンであるララが気絶するくらいの威力で慌ててセジュにヒールをかけて貰い気がついた後めちゃくちゃ怒られてご機嫌とりにケーキを散々作らされた苦い思い出のあるアイテムでもある。
「ふたりとも今言った内容に嘘はないよね?」
僕は杖をふたりの前にかざしながら質問をした。
「う、嘘なんかじゃありません!」
「はぁ?なんで部外者のあんた達にそんなこと言わないといけないの。バカじゃないの?」
ふむ、そう来たか。フラリスは即否定したが、イリアスは質問自体の回答を拒否か。どちらが怪しいかは一目瞭然だが、怪しいだけでは裁けないよな。だけど残念ながらこのスキルの凄い所は言葉に出さなくても嘘に反応する事なんだ。
『ガラガラドガガガン!!』
「きゃあああああ!!」
僕が杖を軽く円を描くように回しながらスキルを発動させると今まで見たことのない赤い稲妻がイリアスに降り注いだ!
「イリアス!イリアス!!」
イリアスは雷に撃たれた衝撃で真っ黒な炭と化していた。フラリスは雷に撃たれた友に驚きの悲鳴をあげ、イリアスの元へ駆け寄った。
「なんて事を!ここまでしなくても!」
僕は非難の声を手で制しながらフラリスに幾つか質問を投げ掛けた。
「まあ、待て。あんた達精霊はこの程度の雷を受けたくらいで存在が消滅するのか?」
確かに見た感じは即死級の雷撃だったが、そもそも精霊はこの世界では仮の姿で何かしらの媒体を経て実在しているはずであるからして普通の人間とは死と言う概念が違うのではないのか?
「そんなこと無いわよ」
「それは私達マスターに召喚された精霊だけですよ」
「自分らだけのような気がするぜ」
「非常にまずい気がするのですが」
「・・・・・・・。」
「マジかー!!」
僕は慌ててイリアスに駆け寄って状態を確認した。
「大丈夫だ、かなりダメージをおっているけど気絶しているだけだ。セジュ、回復してやってくれるか?」
「わかりました。エクスヒール!」
気絶して地に伏しているイリアスにセジュが回復魔法の光が包みこんだ。
「ん・・・」
「ここは?あれ?私どうしてこんな所に?」
「確かフリッジス様の加護力が薄くなっている影響で里の精霊達が次々と病に伏していて私も動けなくなっていたはずなのに・・・」
そう言いながらイリアスは自分の身体を見回してフラリスに聞いた。
「しかも体は痛くないのに服はボロボロ。髪はチリチリだしよく見るとあちこち焦げているし・・・。フラリス何でか知らない?」
「あはははははは。何でだろうね」
フラリスは曖昧に誤魔化しながらイリアスに分かる範囲での説明を求めた。
「確かフリッジス様から各地の識者に救援を要請するように指示されて、隣国のギルドに向かう準備をしている途中で・・・えーとどうしたんだっけ?」
「何か記憶が曖昧なんだけど、とにかくフラリスが戻って来たらフリッジス様の所へ連れて来るように言われた気がするのよね」
僕は少し考えこんで今の状況と対策を導き出して必要なアイテムの準備をする事にした。
「大体予想はついたから巨木に行く前に幾つか薬を作って行きたいと思うから1時間程待機で、念のために周囲の警戒だけは頼むよ」
「シールは錬金釜と使う素材の準備を頼む、せっかくだからララは手伝ってくれ」
僕は指示を出すと早速幾つかの薬を作り始めた。
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