↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/59

#18 錬魔士への緊急依頼 その一

雨の降りしきる夜明けすぐに工房のドアの前で僕を呼ぶ声が響いた。


「錬魔士さま!錬魔士さま!」


僕の工房では仕事の殆んどはギルドからの依頼で直接受けることは滅多にない。


直接依頼を受け付けていると多数の依頼が重なってしまい先日のような僕がこの世界に来た本当の目的である世界の発展に役立つ発明にかける時間が取れなくなってしまうからだ。


なので基本的には月に大きい依頼なら数件、小さい依頼でも十数件程度に抑えているのが現状だ。


そして、この街の住人ならば僕が飛び込みの依頼を受けない事は誰でも知っていた。


「誰だ?こんな朝っぱらから非常識にも程がある」


昨夜は新しい道具のレシピを作っていたが、調子にのり過ぎてかなり遅くまで調合してたから少々眠いんだよな。


ボヤキながらも入り口のドアを開けて声の主を確認した。


「錬魔士さま!お願いがあります!」


ドアを開けて声の主を探すも誰も居ない。誰も居ないどころかドアの前にあるはずのない【花】が咲いていた。


「花?何でこんな所に花なんて咲いているんだ?」


僕はその花をしゃがんでじっくりと観察して手を伸ばして触れようとしたその時、後ろからミルフィが声をかけてきた。


「あら。フラリスではないですの?」


「フラリス?」


僕は伸ばした手を引っ込めてミルフィの方を見た。


「ええ、マスター様の前に浮かんでいるのが【フリッジ桜花の精霊・フラリス】ですよ」


ミルフィにそう言われて僕は花の上の方を見た。そこには身長20センチくらいの綺麗な蝶に似た羽を持つ精霊が説明されなければ物語に出てくる妖精と見間違う姿でふわふわと浮かんでいた。


「ああ!ミルフィさんじゃないですか!こんな所でお会いするなんて!もしかして錬魔士様にお仕えしてるのですか?」


フラリスと呼ばれた精霊はミルフィを見て驚いて叫んだ。


「そうよ。今はタクミマスター様の雑務家事及び仕事管理調整全般を任されていますの」


「マスター様に何か急用の様子ですが、とりあえず中にお入りになって説明をされませんか?マスター様もそれで宜しいですか?」


「ああ、よろしく頼むよ」


日頃から助けて貰っているミルフィにそう言われたら無下には追い返せないので、僕はとりあえず話を聞いてみることにした。


* * *


「・・・と言う訳なんです。どうかお助け頂けないでしょうか?」


応接室でミルフィの入れた紅茶を飲みながらフラリスの話を聞いていた僕は考え込んでいた。


フラリスの依頼内容はこんな感じだった。


①フラリス達の生息している谷で原因不明で枯れる木々が多発している

②草花にも異変が起きており、花が咲かないまま萎れてしまう物や奇形の実をつける物もある

③それらの草木や花を守っている精霊達にも異変が起きていて消滅の危険な状態にある精霊もいる


これらの案件の原因を特定して治療を施して欲しい


「うーん。内容は大体把握出来たけど、未知の病気への特効薬作成と原因究明を短期間でしかも、調査は集落の場所を公表せずに僕達工房関係者だけで行う・・・か」


「かなり高い難易度の依頼だな。それで報酬は?」


「フリッジ桜の花弁と精霊花の雫を必要な時に必要な分を優先的にお届けします」


フリッジ桜の花弁と精霊花の雫はどちらもメガポーション、通称【女神の雫】の錬金レシピに欠かせない重要素材だ。


この工房にも在庫ストックは無く、緊急時の為に手に入れておきたい素材であることは間違いない。


普通なら何とかこなしておきたい依頼なのだが、緊急であるために他の依頼との調整をしないと工房の信用問題になるため悩ましいところだ。


「ミルフィ。今入っている依頼だがどれだけ時間的余裕がある?」


「そうですね。一件だけ急ぎがありますが、他は依頼主との調整で一週間程度なら時間が取れるかと思います」


「そうか、なら今日中にその案件を片付けて明日からフラリスの依頼を受けても大丈夫だな」


「ミルフィ悪いけど、この後ほかの依頼主達に緊急依頼が入った旨を伝えて納期を遅らせて貰えるように調整を頼むよ」


「わかりましたマスター様。私の友達のフラリスからの依頼ですので私からもマスター様に受けて頂きたいと思っていましたので喜んで調整させて頂きますの」


「よし、それでは明日からフラリスの案内で深水峡の谷へ行く事にする。それで宜しいですね?」


僕はこの後の作業と明日からの手順を決めてフラリスへ確認した。


「はっ!はい!よろしくお願いします!!」


話の展開の早さに動転して呆然としていたフラリスが我に帰って慌てて同意した。


「よかったですの。それでは私もマスター様の依頼調整に出かけてきますの。フラリスは今日は工房に泊まっていくといいの。マスター様宜しいですよね?」


「ああ、どうせ明日には一緒に行くんだ。それで頼むよ」


「ミルフィさん、錬魔士さま、ありがとうございます。明日からよろしくお願いします」


フラリスはそう言いながら深々と頭を下げた。


「今回は工房メンバー全員で行く事にしよう。あまり時間的余裕がないので皆にも色々と手伝って欲しい事が出そうだからな」


僕はそう言うと急ぎ案件を片付けながら明日からの準備に取りかかった。


更新遅くなりました。


なかなか話の設定が固まらずに何度も変更修正してました。


次回もよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。