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告
「結婚しませんか」
毎年恒例紅葉狩り
仲の良い友人から恋人になっての二度目の秋
峠の茶屋で団子を買って
いざ一口目を頬張った
無防備なその時をなぜに選んだ? プロポーズ
嬉しいよ
嬉しいけれど 恨み節
嬉しいよ
嬉しいけれど もうちょっと……
いや貴方のそんなところも好きですけども!
団子のおかげで返事ができない
美味しいけれど返事ができない
もちもちすぐに返事ができない
己の食い意地が恨めしい
もちもち団子も恨めしい
お山もついでに恨めしい
そっと出されたお茶入りボトル
貴方の淹れたお茶も美味しいの
花より団子は季節を問わず
貴方がいるなら季節は問わず
秋冬春夏 この順で
二人でお山を歩いたね
二度目の秋のプロポーズ
きっとずっと忘れない
付き合う時も この場所で
二人で真っ赤になったっけ
団子と一緒のプロポーズ
きっとずっと忘れない
くるりひらりと葉が舞う中で
真っ赤な紅葉が舞う中で
真っ赤な貴方がお茶を持ち
真っ赤な私はお茶を飲む
きっとずっと忘れない
紅葉狩りに来る度に
団子を一緒に食べましょう
きっとずっと忘れない
四季折々の山の中
真っ赤になるのは秋だけね