《三章》上 弁当と部活動
「ふぁぁあ、別に迎えに来なくてもよかったんだぞ?。」
朝、叶廻の分の弁当を作るのに早起きしすぎたためとてつもなく睡眠不足なのだ。そして自分の分の弁当なし。
なので学食で食べる予定。
そして朝わざわざ家まで迎えに来てくれたのは俺の彼女の凛々菜だ。
「ううん、華湊人に早く会いたかったから。」
惚れるわ、割りとまじで。
「い、行こうか。」
余りの可愛さに言葉が詰まってしまった。
「なぁ、今日凛々菜に弁当作って来たぞ?。」
そう、何故なら叶廻にだけ渡すとそのあといろいろ面倒だからだ。
「本当?うれしい………。」
あまり表情は変わらないものの目は嬉しがってる。
またも天国に行きそうになってしまった。
なんやかんやしてると学校に着いた。
下駄箱で靴を履き替えていると
「あ、華湊人。」
「おはよ、叶廻。」
叶廻が睨んでくる。なんだよ、あ弁当か。
弁当箱を見せると、何かをおもいだしたかのように「あ。」と、声を漏らした。
忘れてたんかい。
「わ、忘れてないわよ、ああありがと!。」
そう言い残し颯爽に消えていった。
「ねぇ、華湊人。叶廻にも弁当作ってきたの?。」
「え、あ、ああ。」
小さく頷く。
「むぅ。」
ジト目で見ないで、かわいすぎる。
教室へ向かうと電竜と不動がすでに席に着いてた。
「よっ、おはよ!友よ!。」
バシッ、痛ぇってホント。
すると電竜が、肩を掴んで話しかけてくる。
「なぁ、二人共。今日の放課後空いてるか?」
なんだ?ナンパか?
「ああ、空いてるぞ。」
「俺もだ。」
電竜が興奮したように言う。
「今日さ、部活動見学いかないか?。今日から部活動が始まるから、デックアッド部にさ。」
そうか、ナミエ先生もそんなこと言ってたな。
「いいな、行くか叶廻と凛々菜、あと楼夏呼んで。」
そして行くことに。
お昼だ。クラスの皆は新しく出来た友達と話してる中、俺は叶廻の所へ弁当箱を届ける。
「ほら、頼まれてた弁当。」
「う、うんありがと。華湊人は?弁当?。」
それがあいにく学食なのです。
「いや、弁当作るのに大変で自分の分はないから、今日は学食。」
道中コンビニでなんか買って来ればよかった。ま、後悔してももう遅いけど。
「な、なら私のお弁当あげるわよ。はい、これ。」
「お、おう、ありがとな。」
叶廻から、差し出された弁当箱は女の子らしく可愛い弁当箱だ。
自分の席に戻ると凛々菜が自分の席をくっつけて待っていた。
何故かすでに箸だけ持っている凛々菜に対して作ってきた弁当を渡す。
「ありがとう、いただきます。」
「ああ、いただきます。」
俺も叶廻からもらった弁当を頂く。
叶廻の弁当の中身は以外と普通。どこか普通の弁当と違うと言えば箸がない。
なぜだ。なぜ箸がない………。
叶廻に聞いて見るか。
席を立ち、叶廻の席に向かう。
「な、なあ叶廻、箸がないんだけど。」
「あら、じゃあ入れわすれたのね。」
普通に言うなし。
解決しそうにないので自分の席に戻る。
「どうしたの?」
首をかしげ優しく凛々菜が聞いてくる。
「箸がなくてさ。どうしよう。」
「問題ない。私が食べさせてあげるから。」
そう言って、俺が考える間もなく凛々菜が自分の箸を叶廻の弁当に入っている肉団子に刺して俺の口に入れてくる。
突然のことで、嘔吐しそうになったが何とかこらえた。偉い俺。
いや、待てよ。ムシャムシャごっくん。
「うまい。」
もう、気にしない。間接キスなんて。気にしてる俺が馬鹿馬鹿しくなってきた。
「なぁ、次これ。」
「うん。はいあーん。」
途中、殺意剥き出しの視線をむけられたが弁当のうまさでかきけした。
放課後になると皆でデックアッド部の見学に向かった。
部室は、まあ広い。練習場は外だが準備室などは屋内の教室。そしていまいるのも教室。
「なぁ、もう三十分またされてるぞ?。」
と、たいくつそうに不動が言う。
今現在俺達は、執務室に部活動見学したいと言ったあと教室に待ってろと言われ三十分過ぎた所だ。
まだか?遅すぎる。
ガラガラと扉が開き教室にいる全員が一斉注目するなか俺はとてつもなく目をこれ以上かと言うくらいに見開いていた。
何故なら入ってきた男は俺にあの薬を飲ませた張本人だからだ。