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《二章》上 全力と褒め言葉

 実戦か……。

 緊張はするがワクワクもしている。

 そのための訓練だけをしてきたが実際、実戦をやれと言われると自分の力がどのくらいか不安になってくる。

 「では皆さん、クリッドスーツに着替えて下さい。」

 クラス全員一斉に淡い光を発しクリッドスーツに着替える。

 全員着替えたことを確認してナミエ先生が指示をだした。

 「では、校庭へ向かいます。」

 


 「このくじを引いて下さい。」

 と、ナミエ先生がくじ箱を胸の前に出した。

 皆不思議な顔をしている。だが、番号順にくじを引いていく。

 その波に乗って引いたくじは先が黒く塗りつぶされている。

 全員引き終わるとナミエ先生が口をあける。

 「それでは、くじの色が同じ人を見つけて下さい。」

 周りを見ると黒のくじを上に掲げている人を見つけた。凛々菜だ。

 多分このくじは実戦相手を決めるための物だろう。

 だとしたら相手が凛々菜でよかったと思う。変に知らない人だと、緊張してしまうからだ。

 「皆さんも気付いてのとうり今隣にいるのは実戦の相手です。では実戦のルール説明をします。」

 ナミエ先生の先生はこうだ。

 一対一のインクリッドを使って行う。そして頭にはちまきをまいてそれを先に奪った方が勝ちだそうだ。

 「では、さっそく始めます。各自の端末にくじの結果が送られたのでそれを確認してから戦場(フィールド)に入って下さい。」

 さっそく確認すると自分の出番は、三試合目だ。

 端末から、目を離すとすでに男二人が、実戦を始めていた。

 電竜と不動だ。

 「精製、電気軽光銃(ライトガン)!」

 電竜が、遠距離型の雷属性武器をづくり出す。

 「精製、土石人形(ソーイルゴーレム)‼」

 今度は不動が土で出来たゴーレムを作り出した。

 不動がゴーレムを盾にすると次は剣を作り出し余裕の表情をしている。

 電竜の放つ弾はゴーレムの脚をねらっている。

 遠距離から射撃する電竜に不動がどんどん近づいていく。

 土に電気で攻撃しても効果があるわけもなく電竜が押されている。押されているはずの電竜がなぜか笑う…?。

 「おい電竜、勝敗が見えてきたな?」

 余裕を(*^^*)に対し電竜は一段落ついたかのようにリラックスしている。

 「あぁ、そうだな。」

 不動は前へ歩き続ける。そして電竜はその場に座る。それも勝ち誇った顔で。

 その行動に納得のいかない不動は足を早める。

 そして電竜は不動の足元に人差し指を向け

 「勝敗はついたな。俺の勝ちだ。」

 不動は足元を見ると先程まで電竜が射っていた銃弾だった。

 「ゴーレムには効かないが人間なら感電させることができる。」

 すると電竜は銃のスイッチを押し感電した不動の負けと決着がついた。

 試合が終わると不動は納得のいかない試合に文句を言ってきた。

 ま、ドンマイ。

 次の試合は叶廻対楼夏だ。

 楼夏の能力は凄く気になる。なんせ人の家を見つけられるのだ。

 試合が始まると叶廻は瞬時に2、3メートルほどの巨大な大剣を作りだし、楼夏へ重たい足を進める。

 対する楼夏は、

 「精製、破壊剣(ソードブレイカー)……。」

 楼夏は刃がないく、代わりに凹凸の形状をしたものがついている。

 「はぁぁぁ!」

 力の入った声で大剣を振るう。

 楼夏は、華麗な身のこなしで避け、剣の凹凸に叶廻の刃を挟みへし折った。

 あまりに決着がつくのが、はやすぎたためか、時が止まったかのように叶廻は動かない。

 呆然とした叶廻が敗けを認めこの試合は、終わった。

 そして次は、俺の番だ。

 


 相手は俺のスピードを越え、そして……ってまぁ力を抜く訳にはいかない。 

 最初から、全力で行く。

 「では、両者とも戦場(フィールド)に入って。ホイッスルと同時に開始です。」

 はいっ!と、たった二人なのにとても力強く大きい声が響く。凛々菜も気合いがはいっているようだ。

 こう戦場(フィールド)に入るととても広く感じる。広さは縦横20メートル程だ。その数倍も感じる。

 だが戦場(フィールド)から出てしまうと反則になってしまうので余り余裕は持てない。

 ナミエ先生が笛を口に付け、そして俺は思いっきり息を吸う。

 ピィィィッ‼

 笛の音が鳴る。先程、肺がパンパンになるほど吸い込んだ息を逆流させる。

 「精製、神滅憑(しんめつひょう)。」

 神滅憑(しんめつひょう)は、白く眩しく美しい日本刀に似た(つるぎ)

 俺の自慢の剣でもある。

 「精製、白舞(しらまい)。」

 あちらも剣のようだ。剣同士ならやりやすい。

 互いに慎重に近づき見つめ合う。俺と凛々菜はすでにいつでも殺れる間合いにいる。

 凛々菜は息づかいが荒くなってきた。集中力が失いつつあるみたいだ。

 たぶんあと少しで後ろに下がる、そこを狙う。

 一向に動こうとはしない。まるで俺が動くのを待っているかのように。

 はぁ…それなら乗ってやろう。どっちにしろ俺から先制攻撃をしかけよう。

 (つか)を強く握りしめ集中力を高める。

 瞬間、コンマ数秒もかからず凛々菜の(しのぎ)を叩きつけ俺の神滅憑が凛々菜の首に触れた。

 凛々菜はハッと今起こったことを理解した様子を分かりやすくみせる。

 それから笑って敗けの白旗を上げた。

 


 昼休み

 「ねぇねぇさっきの試合ってど───っもうなによ!。」

 「華湊斗くん。今度さ───。」

 「それ、関係ないじゃない!」

 はぁ………頭痛い。もうなんでこんなことに……。

 「羨ましいぞ華湊斗!女子に囲まれるなんて!」

 「そうだぞ!」

 まぁでも、悪い気はしない。てか嬉しい所もあるはある。

 痛い痛い痛い!。

 バッと手を掴んできたのは叶廻だった。骨折しそうな勢いで引っ張られる。

 連行(連れてこられた)場所は、食堂だった。

 「もう、なななにやってんのよバカ‼」

 不自然に右手を後ろに回しながら呂律(ろれつ)が回らない口を動かす。

 噛みすぎだろ。

 「う、うるさい!」

 あ、口に出てた。

 叶廻は余りにも小さな声で

 「……もう、なに女子に囲まれてニヤニヤしてるのよ………。」

 「え、なんだ?」

 「なんでもない!」

 「お、おう」

 圧倒的気迫で退けぞってしまった。

 ぐぅぅぅぅ、俺の腹の虫が鳴く。

 「なんか、買うか。」

 連れてこられた意味は分からないがせっかく食堂に来たんだ。

 さすがは学食と言った所か、長蛇の列が出来ている。困ったぁ。長すぎる。

 グイッ、裾を引っ張られた。

 「どうした?」

 ずっと後ろにに回していた右手を勢いよく前にだすとそこには風呂敷に包まれている弁当があった。

 驚きの行為に固まっていると

 「これ、華湊斗にあげる。作り過ぎたから。なんか言ったら骨折るわよ。」

 いやいや、そしておいおい、弁当作り過ぎたからってなんだよ。

 まぁ…一応

 「ありがと──。」

 え、なんか睨まれた。

 とりあえず食べよう。

 風呂敷を開けると可愛らしい弁当箱が出てきた。さすが女子だな。真っピンク。

 「おお、美味しそうだな。」

 ご飯はもちろん、卵焼き、ミニトマト、ウインナー、唐揚げ、ポテトサラダなど彩り豊かな弁当だ。

 それに盛り付けも風を作っている。

 「これ、全部叶廻が作ったのか?」

 「あ、当たり前じゃない。これくらい誰でも作れるわよ。」

 「いやいやそんなことないよ。このくらい作れるのって結構凄いぞ。」

 「そ、そう?まぁ、私の手に掛かればこんなものよ。」

 叶廻を褒め称えいよいよ、一番大事な味を見る。

 まずは卵焼きから。試行錯誤して作られたようなきれいな形の卵焼きだ。

 「うん!美味しいぞ、これ。」

 叶廻は華湊斗に気付かれないように小さくガッツポーズをした。

 


 昼休憩が終わるとすぐ帰りのホームルームが始まった。

 おっと危ない、ぼーっとしてた。短時間の間にいろいろあったからかな。

 「───です。そして明日は身体測定の結果発表です。よかった人はもっと上を目指し、悪かった人はそれを糧にして頑張って下さい。では起立、さようなら。」

 その一言でなにかから解放されたような気分がするのはなぜだろう。

 ま、いいか、帰るか。

 凛々菜をスルーし校門に着いたら自転車を精製して早く休むために全速力でペダルをこいだ。

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