表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/8

《一章》下 身体測定とシークレット

 「ではこれから、身体測定をします。」

 その言葉に俺は反射的に唾を飲み込んだ。

 ここでやっと、自分の力を知れる、測れる、そう思った。

 俺は、あの男に気を失わされたあと、暗き森(ダークフォレスト)に連れてこられずっと修行をしていた。

 つらいとは感じなかった。というか、楽しくさえ感じた。

 自分の強くなるスピードに、力量に。

 「では皆さん、クリッドスーツに着替えて下さい。」

 ナミエ先生が言ったクリッドスーツとはインクリッドの力を吸収する働きを持っている。

 ついでに、デックアットの説明も少し。

 デックアットではクリッドスーツを着てスーツに付いている胸元のコアを破壊するか、再起不能にすることで勝敗が決まる。

 もちろん、白旗を上げることもできる。

 「ほらっ、華湊斗。早く着替えろよ!」

 また、不動が背中を叩いてくる。手加減しろよな。

 クリッドスーツはインクリッドの力で精製する。

 作ったと同時に体に身に付けるため、着るぶんには楽だ。

 だけど、体にすごい密着するからそこら辺が嫌なんだよな。

 「では皆さん、校庭へ行くのでついてきて下さい。」

 ナミエ先生が、手を掲げ案内する。

 


 校庭はとても広く地面に様々な色の線が引かれている。

 ナミエ先生は、全員いるか確認してから、最後尾まで聞こえるように口を大きく開いた。

 「では、一回目は力を使用せずに、二回目は力を使って行います。これは、全種同じです。」

 ナミエ先生は指を指し、説明を再開する。

 「ここの赤の線から向こうの赤の線まで、百メートル走です。ではこちらから番号順に。」

 平均的に10秒台とスポーツ選手なみだ。

 これも、インクリッドの身体能力の強化の力でもある。

 前の走者が走り終わり、俺の番になった。

 基準の位置で両手を地面につけて爆音銃の音を待つ。

 バッッ、待っていたその音、右足を力ずくで蹴りだし無意識に走る。

 赤のラインを跨ぎ結果を見ると、8.56秒と一位と、ランキングインした。

 走り終わりベンチに座ろうと思ったその時だった。

 風のように走る少女が表情を変えないで結果を見て小さく何かを呟いた。

 俺は、結果を塗り替えられたがまぁ、いいか。

 次は、インクリッドを使って走る。

 その時に断トツ一位になればいい。

 ストレッチをしながら自分の番を待っていると現一位の先程の女子がやって来て

 「ぎゅぅぅ。」と抱き締められた。

 恥ずかしがるよりも敵意識を持っていたため、その行動には驚きを隠せないでいた。

 なんだこいつ、俺をためしてんのか?

 乗ってや(殺)ろうじゃねぇか。

 抱き返しながら

 「好きだ。付き合おう。」

 と言った。よし、これでこいつは困惑して頭の中がパニックになるはずだ。

 俺を試したこと後悔させて──

 「私も好き。」

 「ふぁ?」

 まともに「は?」とも言えないほどのカウンター攻撃を食らった。

 「華湊斗、私が走り終わった後、私のこと好意的に見てた。だから勇気を振り絞って抱き締めた。」

 「じゃあいつから俺のこと好きになったんだ?」

 よし、これでさすがに

 「私が足元につまずいた時に助けてくれた時から。えっと…今から大体一週間位前に。」

 そんなことあったっけ?

 あ、待てよ?これマジの告白なのか?だとしたら流れ的に…。

 俺が考え込んでいると叶廻がやってきて肩が砕けそうな力でにぎってきた。

 「ねぇ華湊斗?これどうゆうこと?説明し──「じゃ、お互い好きなんだからいいよ。」

 ボキッ、と肩から骨が逝った音がした。

 そして付き合うことになりました。

 


 なんやかんやあって身体測定が終わった。

 「では皆さん、明日も身体測定の最後がまだ残っているのでよく体をほぐしてきてください。では、起立、さようなら。」

 帰りのホームルームが終わり、椅子を動かす音が耳に響く。

 よし、俺も帰るか。

 椅子を机に入れ、歩き出そうと思ったが目の前に立つ少女が微動だにせずに、帰ろうと誘ってきた。

 まぁ、断る理由もないので

 「帰るか。」と声を掛ける。

 んと、名前…

 名札には、無乃 凛々菜(むの りりな)と書いてある。

 「うん、帰る。」

 教室を出るとずっと俺の右腕に寄りかかってきて周りの目が痛く俺のこれからの新生活が心配だ

 


 校門を通ると叶廻が仁王立ちをして俺を睨み付けながら待っていた。

 もちろん、まだ俺の右腕には無乃がくっついている。

 それを見た叶廻は、近寄ってきて俺の手を無理矢理引いて「こっち来なさい!」と誰もいない中庭に連れてこられた。

 なんなんだよ、一体。

 「なんなんだよ、一体。じゃないわよ!」

 あ、声に出てた。

 「どうゆうことなの⁉つっ…付き合って、るの?」

 赤面しながら聞いてくる。ホント、感情豊かだな。

 取り合えず何があったか全部話した。

 「はぁ、情けないわね。」

 「仕方ないだろ?」

 聞かれたことは話したので戻ろうとすると叶廻が

 「じゃっ、じゃあ本当に付き合ってないの?」

 「当たり前だろ。」

 叶廻は、今までにないほどに顔を赤く染めると裾を掴んできた。

 「華湊斗の空想文字(ライン)、教えて?」

 そして空想文字(ライン)の交換をして、(無乃はわすれて)帰った。

 


 昔のボロ家は捨て今は学校の近くのマンションを借りている。

 学校の寮も考えたが評判が悪いのでやめた。

 自室に、帰るとさっさとご飯を作った。

 これからの生活を考えると早寝早起きをしようと思ったためだ。

 今日のご飯は、お米、なめこ汁、豆腐ハンバーグだ。

 出来るだけご飯は自分で作っている。

 金銭問題は、あの男が億という単位でくれたが出来るだけ節約するようにしている。

 でないと、俺自身壊れてしまうかもしれないからだ。

 男との修行生活では、金属製の物体の精製や対人戦、対獣戦などの技術を学んだ。

 だからフライパンや箸だって全部自分の能力で出した物だ。

 だが、デメリットもある。

 それは、精製したものは今の俺では2、30分位でなくなってしまうことだ。

 だからもっと修行すれば長い時間使っていられる、というわけだ。

 ピンポーン、とインターホンが鳴った。

 来客なんて珍しい、そう思いながらカメラ越しに相手を確認すると、楼夏だ。

 あれ、住所なんて教えたっけ…。

 とりあえず用件を聞くため扉を開ける、すると。

 「やっぱりここ…だったんだね…、家。」

 「なんで、おれの家知ってんの?」

 率直の、疑問点を問いかける、すると楼夏は質問におどおどと、答える。

 「匂いで…わかった……。」

 怖っ

 「これ、私の能力のひとつ……」

 一体、どんな能力だよ。

 来た理由を聞くと、複雑な訳があって家に泊めて欲しいということだった。ほかに宛てはないのか聞くとないと、即答された。

 ご飯はまだ済ませてないらしくとりあえず部屋に楼夏を上げた。

 「口に合わないかもしれないがこれを食べてみてくれ。駄目なら新しいのを作るからさ。」

 俺はまだ手をつけてない明日用のご飯(今夜と同じメニュー)を手渡した。

 楼夏は、遠慮がちにいただきますと言って箸を動かす。

 「どうだ?」

 「美味しい……ありがとう。」

 「そう言ってくれて助かるよ。」

 そのあと楼夏はやっぱり帰ると言い出し家まで送ると言ったが駄目だとことわられた。

 


そして翌日、朝早くにご飯と弁当を作り学校へ向かう。

 ご飯を食べ終わったのが遅かったため、学校に着いたらすぐに朝のホームルームが、はじまった。

 「今日の身体測定は、対人の技能を測ります。」

 そう、つまり『実戦』だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ