《一章》上 友と出会い
タルハルムに入学し今日は入学式と言ったところだ。
今日は初登校とあってか入学する生徒の大半が校門を朝早くから通っている。
もちろん、俺もだ。
俺が、校門をくぐったのは、7時50分位だ。
まぁ、気合いではなく何かあったらの保険のためだが。
そうそうに自分の教室を見つけ、あらかじめ渡されていた紙で机と今日の動きを確認する。
「そこかっ…、あったあった♪。」
自分の席を見つけて座る。
なぜだかこれからの新生活を考えると楽しくなってきた。
席の順番の紙を裏返し、改めて今日の行動予定を確認する。
《入学式 当日の予定表》
8時30分までに登校
8時40分ホームルーム
9時00分入学式
10時00分入学式終わり
10時30分から担当の先生の指示に従うように
とかいてある。
現在時刻は、8時だ。
カバンの整理が終わると同時に近くの同級生が近寄ってきた。
「なぁ、お前名前は?俺は雷原 電竜。」
はじめに声を掛けてきたのはヤンチャそうな男だ。
男にしては髪が長く肩につきそうな長さで金髪が目立つ少年だ。
「俺は土ヶ山 不動ってんだ。よろしくな。友よ!」
坊主で細身の少年だ。
バシッ、と肩を叩かれ俺は苦笑を浮かべる。
そして俺も名前だけの自己紹介をする。
「俺は、塵崎 華湊斗。これからよろしく。」
ギィィィィッ、っと椅子を思いっきり後ろに引き、同級生の女子が歩きながらこちらへ向かって歩いてくる。
「ねぇ、華湊斗?華湊斗なの?」
声で誰だかすぐにわかった。
俺が幼い頃、一緒にあそんでいた幼なじみの姫吹雪 叶廻だ。
以前会ったのは、俺があの男と会った一週間前に叶廻が俺のボロ家に来た時だ。
あまりに突然のことに俺は震え情けない声で質問に応答した。
「……う、ん。」
それは一瞬だった。
何があったかはすぐには理解できなかった。
パァーン、と頬をビンタされた。
「えっ………」
近くの同級生達は、なにがあったと驚きの顔を隠せないでいる。
「もぅ馬鹿っ、馬鹿馬鹿馬鹿っばかーーっ。今までどこで何してたの?私ずっと心配してたんだよ。それに華湊斗の部屋に遺書、あったし……」
最後は涙が出て声が滲んでいた。
「ごめん…」
俺は言葉が出なかった。
というか、それが正解だと思った。
叶廻は俺の背中に手をまわし抱き締めながら
「心配……したんだ…から…」
途中途中に鼻水をすすりながら言った。
俺は周りの目の気恥ずかしさに、叶廻の肩を押し出しポケットティッシュを渡した。
ありがとう、そう小声で言って数枚使い終わったあと返して
「優しさは、やっぱ変わんないね。」
笑って見つめてきた叶廻に俺も笑って返した。
改めて見ると、かわいいな。
ショートヘアで青毛、背は俺より低く165センチメートルと言ったところか。
パチパチパチパチッ、なぜか拍手が起き両者とも恥ずかしくなり自分の席に戻った。
それからほどなくしてホームルームが始まった。
「はい、皆さん。入学おめでとうございます。私は今日からあなた達の担任のナミエレル カネエルです。少し長いので気軽にナミエ先生と読んでください。」
長身な女性、髪は鮮やかな赤毛で透き通るような声をしている。
ナミエ先生はそのまま話を続け、ホームルームが終わった。
廊下に出席番号順に列び入学式の式場へ向かった。
「うゎ、広っ」
新入生が、口々に言っている。
指示された場所で待っていると校長と思わしき老いた女性が、ステージに登る。
「皆さん。入学おめでとうございます。新入生も知ってのとうり、この学校はアリナス戦科学校に入学するためだけの学舎です。そのため、一学年しかおらず先輩、後輩もいません。楽しい学年生活にするためにも皆さんしっかり勉強の励んでくださいね。」
そう言ってステージを、降りる。
そのあとは各先生方の挨拶や部活動紹介などがおこなわれた。
入学式が終わり教室に戻るとナミエ先生が休憩時間だとつげたので雷原達としゃべっていた。
途中、叶廻も参加してきたので、部活動は何に所属するか話をすることにした。
部活動は弓道部、剣道部、柔道部、陸上部、バレーボール部、バスケットボール部、デックアット部と文化部ない。
デックアットとはインクリッドを使う戦闘型スポーツと、新しいスポーツとして世界中から注目されている。
アリナス戦科学校での主な授業はデックアットを使った最新の学園である。
「やっぱここは、デックアットで決まりだろ!」
不動が騒がしい声で提案する。
勿論、最初からそのつもりだ。
ほかの二人も異論ないようだ。
すると顔馴染みのない見た目は小学生にすら見える女子が話掛けてきた。
「話す人いないから、その…えっと…混ざって、いい…?」
「うん、勿論。」
本人的には、かなり勇気を出したのかかなり疲れきった顔をしている。
「私、火国 楼夏っ、よろしくお願いいたしますっ。」
それから全員で名前だけの自己紹介をした。
そして部活動の話に戻り全員デックアット部に所属することに決めた。
キンコンカンコーン
鐘がなると騒がしかった教室が一段と静まり返りナミエ先生が教室に戻ってきた。
「ではこれから、身体測定をします。」