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《序章》始まりの始まりの終わり

 「時間を掛けてでも取り戻す。」

 あれは、確か二年前だったか。

 思いを決めたのも、その位だったか。

 


 でもこれも、いや、これが現実だ。

 そもそもの話だが、よくよく考えると馬鹿な話だった。

 当時の俺は狂っていた。

 自分の血で建物に落書きをしたり、自分の血を飲むことだって好きだった。

 おかげで何回も病院にはこばれた。

 その度に夜中に抜け出していた。

 でも自分の中のなにかが、『死にたい』と時々叫ぶことがたまにある。

 でもそれが俺にとって平凡な生活だった。

 その頃の俺のボロ家は、あったものの近所のゴミ捨て場(汚い所)にいるのが一番落ち着く場所だった。

 家にいると、うるさい人たちがくるからだ。

 だがそんな時に俺にとっての平凡をある男が壊した。

 スーツを着て白髪が目立つかみをいじりながら

 「死にたくはないか?」と言った。

 なにを言ってるんだこの男は。

 ちょっとした警戒心を抱いたが死ねるならなんでもいい。

 「これを飲め。そうすれば楽になる。」

 俺の顔をじっと見つめ俺の足元に何かを投げどこかへ消えていった。

 俺はそれをすぐには飲まず、最後の晩餐とばかりにコンビニでありったけの食べ物を買った。

 2、3日まともに食べていなかったから食べるのにはそう時間はかからなかった。

 俺は一人暮らしの寂しい家に帰りながら飛び出している腹を撫でた。

 家についたらまず先に遺書を書いた。

 遺書には、両親、姉、妹、唯一のお馴染みに対して書いた。

 決意はすでに決まっていた。

 あの男から渡された『何か』を口にいれ、あらかじめ用意していた水と一緒に飲み込んだ。

 効果はすぐ眠気として現れた。


 気が付けばベッドで寝ていた。

 死んでない、なぜだ。

 当時の俺は、すぐには体の異変には気が付かなかった。

 金は昨日で、使いきってしまった。

 もう俺にはなのも残っていない。

 行きたい場所もない。

 会いたい人もいない。

 本当の帰る場所も、待っていてくれる人も。

 


 気が付いたら夜になっていた。

 家にいても仕方ない。

 いつもの場所へ向かおう。

 その男が誰だかすぐわかった。

 玄関の古く重い扉を開けた先に男はやっときたかと言わんばかりの顔色で座りながらこちらを睨んでいた。

 なぜだか無性に腹が立ってきた。

 でもそれだけだ。

 怒っていていても何も変わらない。

 俺は、男の前を素通りすると、知らぬ間に立って肩を掴んできた。

 せっかく殴られずにすんだのに、とまた怒りが沸いてきた。

 睨み付けると男は笑って口を開け

 「無視とは、ひどいなぁ。心外だよぉ、塵崎 華湊斗(ちりざき かなと)君?」

 「なぜ俺の名前を知っている?。」

 背中の温度が低くなっているのが直感的に感じた。

 怖いのか俺は…

 男は更なる怪しげな笑みを浮かべ喋り出した。

 「知りたい?知りたいよねぇ?」

 こいつに構っていてもなんの得にもならな───

 「なるよ?得に、というかもうなってるよ。華湊斗君。」

 なにを言ってる。

 男は続ける。

 「華湊斗君さ、薬飲んだよね。」

 今度は無性に殺気が沸いてきた。

 俺は男に向けて拳を構える。

 「いいねぇ、じゃあその拳で僕を殴りなよ。おもいっきりさぁ。」

 期待に応えるようにおもいっきり殴った。

 男は10メートル以上吹き飛んだ。

 思わず自分の力に驚いた。

 男はかなり吹き飛んだとゆうのに傷一つなかった。

 「今君は自分の力と僕の体に驚いたでしょ?おっ、やっと話を聞いてくれる顔になったねぇ。」

 男は真剣な顔になって

 「一回しか言わないから良く聞いてねぇ。」

 男の説明は、こうだ。

 俺が、昨日飲んだ薬は何個かの、能力と副作用がある。

 一つは身体能力の強化、常人の何十倍の力になり体の撃たれ強さも上がる。

 もう一つはアイテム精製。

 個人で作れるものの得意不得意が、ある。

 もう一つは一人一人ちがう個人の特殊能力。

 例えば炎を出したり氷を出したりできる。

 そしてこの力の名はインクリッド。

 これが男の説明だ。

 ついでに俺の説明も、俺の名前は塵崎 華湊斗(ちりざき かなと)

 今は13歳。

 学校は行っていない。

 別に勉強が嫌いな訳ではないが行きたくないのには理由がある。

 まぁ、そんなところだ。

 さすがに男が退屈そうな目で見てくる。

 「一つ質問がある。」

 男はまるで俺からの質問を待っていたかのように笑う。

 「なぜ俺に薬を飲ませた?」

 「自分自身で君に飲ませようと思ったのさぁ。」

 「じゃ、なぜ俺を選んだ?」

 「君の感情が面白かったからだよぉ。インクリッドの力はねぇ、選ばれた者しか力を使えなんだよぉ。君は生きてるけど、99パーセントの人間は体に合わなくて死ぬんだよぉ。」

 俺はまだ口を休めずに質問を問う。

 「俺にこれからなにをするつもりだ?」

 男は疲れきった顔で

 「はぁぁあ、来ればわかる。」

 男はそう言い残し

 「───行くよ。」

 そして俺の意識は、そこで途絶えた。

 


 それから二年後の春。

 俺はアリナス戦科学校に入学するための学校タルハルム準備学校に入学した。


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