「なあ、このキャットフード不味い」
「なあ、このキャットフード不味い」
黒猫のタローが言った。
「もらえるだけいいでしょう?文句言わないの猫のくせに」
アタシが答える。
「もうちょっと良いキャットフードにしてくれないか?
不味すぎるんだよな」
「知らないわよそんなの
売り場で味見できるわけじゃないんだし」
「人間が食ってたら変な目で見られるぜ?」
「だーかーらー 無理だって言ってるでしょうが!」
ああめんどくさい猫。
子猫の頃は可愛かったのに。
最近は文句ばっかり。
「なあ、トイレの砂
安いやつに変えただろ」
「あるだけいいでしょう?なんで文句言うの??」
「なんか変なニオイするんだよ」
「へ?気のせいよ」
「嗅いでみろよクサイから」
「・・・やだ」
ああもうめんどくさい猫。
なんでこんなに口を開けば文句ばかりなの?
こんなことなら拾ってあげなきゃ良かったかな。
「なあ、なんかあっただろ?」
「・・・なにもないよ」
「いや、顔に『悲しいことがありました』って書いてあるぞ」
勘のいいやつだ。
確かにアタシ落ち込んでる。
「うるさいなー、なにもないってば」
「嘘つくの下手クソだな」
「う・る・さ・い!!!」
ああもうすげーめんどくさい猫。
だいたい普通は飼い主が話しかけるものでしょ?
猫はそれに対して『にゃあ』と鳴く。それが普通。
アタシが飼ってるのってホントに猫なのかなぁ。
背中にチャックついてたりして・・・。