赤傘終夜
ユーザー名の由来です
雨降る駅の人達は電車を待っている。
時刻は18時30分。
ホームには屋根があり傘を差す人は誰一人いない。
たった一人を除いては。
その一人は僕。
赤い傘を差している。
しかし誰もこちらに目を向けない。
理由は分かりきっている。
"僕の姿は見えないから"
僕はこのホームに飛び込み、死んだ。
僕がもし生きていたとしたら16歳。
でも僕の時は止まったままで明日は来ない。
僕の体はあの日から成長も退化もしない。
あの日、僕が差していた傘も同様。
僕はこれから先も14歳のままこのホームに居続ける。
そして何度もあの日と同じようにホームに飛び込む。
まるで自分の罪を償うように。
罪を味わうように。
僕はスッと白線の内側に立ち、後ろ向きに倒れ込んだ。
電車入ってきて僕の体を轢き、赤い絵の具が吹き出す。
赤い傘がより一層赤みを帯びて宙を舞う。
でも誰にも見えない。
皆、僕の心にも体にも叫びにも気付かず僕を轢いた電車に乗り込んでいく。
これでいいのだ。
寂しい独りよがりな僕には相応しい。
弱さに負けた僕の罪にピッタリだ。
電車は走り出す。
夜に向かって。
そして終わりに向かって。