第6話 「神社の主」
「おかえりなさいませ。ルイン様〜・・・・とアッシュ様」
「ご無沙汰してますマリネさん。」
「なんか態度が違うような気がするのは俺だけか?」
「何をおっしゃるんですかアッシュ様、私はNPCですので徹底的なマニュアル対応で分け隔てなく対応しております♪」
「そっか、なら俺の気のせいだな」
「・・・単純」
「(苦笑)それでマリネさん、クエストの報告をしに来たので確認をお願いします」
「承りました〜 えーと・・内容はジャイアントワスプの針の納品ですね」
「はい、これがそのアイテムです」
「確かに受け取りました〜。 おめでとうございます、これでお二人のプレイヤーランクが2に上がりましたので生産システムが解放されました」
「生産っつーとあれか、採掘やら魚釣りやらで材料集めて自分でアイテムを作る的な」
「その通りでございます。改めて説明させて頂きますと・・」
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≪生産システム≫
フィールド全域で採取した素材を元にアイテムを作り出すシステム。
プレイヤーは全ての生産スキルが使用可能で、熟練度が上がるにつれ生産出来るアイテムの種類と成功率が増えていく。
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「生産スキルにも様々な種類がありまして一番ポピュラーなのが・・」
「おーけーストップだ。マリネさん」
「はい〜?どうなさいましたかアッシュ様」
「丁寧な説明は有り難いが、俺達は生産やらないから」
「でもでも、新規の方には説明するのが冒険者ギルド職員としてのお仕事でして〜」
「生産する暇があったら、レベル上げてボスハントしてレア集めした方がよっぽど楽なんだわ」
「生産が好きって人も多いけど僕達のプレイスタイルじゃないね」
「それにメインジョブで生産職も存在するんだろ?」
「はい〜適性テストで判断された場合そちらの職業をお勧めされているプレイヤー様もいらっしゃると思います」
「だったら、そいつらと仲良くなって委託した方が早いな」
「”餅は餅屋”にだね」
「分かりました〜。では説明は省かせて頂きます。 ルイン様もアッシュ様もプレイヤーレベルが10を超えていらっしゃいますね〜。
パッシブスキルの取得が可能になっていますが神社にはもう行かれましたか?」
「ううん、取得方法も聞こうと思ってたのだけど、神社に行けばいいのかな?」
「はい〜。町の最北端にありますのでそちらでお祈りをして天啓をお受けになってください」
「ありがとうマリネさん。向かってみるよ」
「はい〜 後ですねー。プレイヤーレベル10からダンジョンが解放されています。こちらはパーティーを組んでの攻略をお勧めしておりますので、
メンバーを募集されたい時は冒険者ギルド隣の酒場を覗いてみてくださいね」
「分かったよ。それじゃまた」
「まったな〜マリネさん」
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「どうするよルイン? ダンジョンと聞いて燃えない男はいないだろ」
「その前に神社へ行って天啓を受けてこよう。ダンジョンに行くにもスキル無しの状態じゃメンバー集まらないだろうし」
「町の最北端とか言ってたか」
「居住区を抜けた先にあるみたい」
「おーけー」
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僕達は中央広場に戻り北の居住区に足を運ぶ。
居住区とはこの世界の住人(NPC)達の居住区域だ。 前世紀のRPGとは違いNPCも高度な知能(AI)を持ち現実世界の僕達と遜色ない生活を送っている。
始まりの町≪サンライズ≫を始め国内に存在する大都市には冒険者用の居住スペースも分譲されているが、駆け出しの冒険者にはまだまだ先の話だ。
マリネから案内があった神社はプレイヤーの潜在能力を引き出す施設だ。
その国エリアの宗教観により他にも寺院や教会、モスクなどにローカライズされているらしい。
他のゲームで例えるなら”スキル屋”が近いだろうか?
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神社の鳥居を潜り階段を登るとそこは、下界の喧噪を忘れさせてくれる静寂さと神秘さがあった。
「僕、神社なんて現実世界では正月に一度来るくらいだよ」
「俺は結構頻繁に行くぜ」
「え? アッシュが?」
「何だその”ちょっとイメージと違うんですけど〜”的含みは」
「だって、アッシュと神社なんて対極の位置にありそうだし」
「別に信心がどうこうじゃねえぞ」
「じゃあ何で?」
「俺の地元の神社の巫女さんがめっちゃ好みなんだわ」
「・・・はぁ」
「何だよ、その生暖かい視線は」
「アッシュって現実世界ではかなりモテるのに、付き合ってるとこ見た事ないね」
「まあ、大学入りたての頃は女子に飲みに行こうとか誘われたけどな」
「でもどうせ断ったんでしょ?」
「ああ、自分から誘ってくる女なんぞに碌な奴いねーし、もし付き合う事になったらネトゲやる時間減るじゃんかよ」
「交際経験ないのにその考えは何処から来るのやら」
「勿論、仮想世界での経験だぜ! それに俺、昔付き合ってた頃あるし」
「え!マジで!」
「ああ、まあすぐフられちまったがな。 だから彼女いない歴=年齢のルイン君と一緒にしないでくださーい」」
「ぐぐっ・・」
「それよか、これだけでかい町なのに人が全然いないな」
「皆まだレベル10に到達してないのかな?」
「このゲーム結構レベリングがシビアだからな。ソロだと結構きついぜ」
「それを二人分稼いだアッシュは流石だね」
「レベル低いうちはmobが非アクティブだからな。一匹相手なら俺の餌だし」
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「お前さん達、ここは境内じゃ。騒ぎたいなら他所へ行ってたもれ」
ふと何処からか声をかけられた。
「ん?今のはお前じゃないよな」
「うん、神社の関係者かな」
「何処に居るんだ」
「ここじゃ」
「・・・?」
「お前さん達の後ろじゃ」
後ろを振り向くがそこに姿はない。
「お主達よ、わざとやっておるじゃろ。 下じゃ、下」
「下って・・・あ!」
「こ、これは」
そこには巫女装束を纏った黒髪の女の子(?)がこちらを見上げていた。
「え、、君?」
「そうじゃ、わっちじゃ」
「・・・。」
「えーと、君はここの神社のとこの娘さんかな?」
「何を言うかの、わっちがここの管理人じゃ」
「・・・。」
「えええ!」
「お主様よ、人を見た目で判断するなと親から躾られなかったのかえ?」
「ああ、すみません。遂ビックリしてしまって」
「まら、わっちは寛大だから不問としてやるのじゃ」
「・・・。」
「で、こっちの奴は何故にさっきから固まっておるのじゃ?」
「じゃ・・」
「ん? なんじゃ?」
「じゃロリ きたあああ」
硬直していたアッシュが急に叫びだす。
「な、なんじゃ。 いきなり叫びだしおって。 それに”じゃ・・ろり?”とはなんのことじゃ?」
「どうしたのアッシュ、随分興奮してるようだけど」
「これが興奮せずにいられるかルイン、じゃロリだぞ、じゃロリ」
「えっと、この子の事?」
「そうだ! ツンデレが言動と態度のギャップならば、じゃロリは容姿からは想像出来ない話し方とのギャップ。 ズバリ俺の大好物だ」
「あ。。そうなんだ」
「で、じゃロリの巫女さん、、巫女様」
「なんじゃ?」
「お名前を伺っても宜しいでしょうか(キメ顔)」
「わっちか? わっちの名はムツキじゃ」
「ムツキちゃんか、俺はアッシュ。こいつはルインて言うんだ。宜しくな」
「むぅぅ。わっちをちゃん付けするでない。この辺りでは皆ムツキ様と呼んでおる」
「おお、容姿に合わないこの偉そうな態度。 くぅ〜製作者は分かってるぜ!」
「どうもこいつと話てもちっとも分からん。おい、ルインとやら今日は何用じゃ?」
「僕達は天啓を受けに来ました」
「ほぅ、天啓とな。 お前さん達レベルが10になったのかえ」
「はい。冒険者ギルドの方にこちらに来るようにと伺いましたので」
「ふむ。 ならば、あないする故わっちについて参れ」
「はい」「おう」
ムツキちゃ・・ムツキ様の案内の元、神社の本殿に昇殿することとなった。
ツンデレが好きです。 でもじゃロリの方がもっと好きです。




