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一日目

ロクに文章力などがないのに連載を書くので、足りない部分が多々ありますでしょうが勉強のためにがんばります。間違いなどは指摘してもらえると非常に勉強になり助かりますので、バンバンダメだしのほうをよろしくお願いいたします。

 私は森の中、横たわった状態で目を覚ました。私は起き上がり、体を調べる。服は着ているが持ち物はなにも持っていない。体に特に怪我などの異常は見当たらない。体を調べ終わった次は、周りを見渡す。私のいる周りは10メートルほどひらけていて、そこから先は深い森になっている。そして私の後ろには、30メートルはあろうかという崖があった。そして足元には白を中心にした黄や赤などの花の花束が、乱雑に3つほど落ちている。空を見上げると太陽がちょうど一番高いところに見えていた。


私「12時くらいなのかな?」


 私はそう呟く。だが今はそんなことをしている場合ではないとすぐに気づき、私はどうしてこんなところにいるのかを考える。すると拍子抜けするくらい早く、私はここにいる理由がわかった。


私「そうだ、私は・・・・・・飛び降りたんだ。この崖の上から・・・・・・・・・」


 そう、私は自殺を図ったのだ。自ら死を選び、飛び降りた。そこまでは分かった。だけど飛び降りた理由が思い出せない。思い出そうとしても頭の中にもやのようなものがかかり、うまく思い出せない。年齢や誕生日、数式や自分の好きなものなどは思い出せるのに、家族のことや友人関係、学校へ通っていたことは覚えているが学校での生活などは思い出せない。


私「だけどどうして?飛び降りたはずなのに・・・・・・」


 私は飛び降りたときのことは覚えていた。崖の上から飛び降り、落ちる途中に意識が無くなるまでのことは。そう、飛び降りたことは確実なのだ。なのにどうして私は今、『自分の足』で立ち、『自分の目』で景色を見て、『自分の耳』で音を聞き、『自分の鼻』で匂いを嗅ぎ、『自分の肌』で刺激を感じることができるのだ。分からない。もしかして私は今、幽霊にでもなっているのか?そんな非科学的なものに。自分では現実的な人間だと思う。だけどそんな私でもそう考えるしか今の状況を説明できなかった。


私「本当に私は幽霊になっちゃったの・・・・・・?」


 そう呟くが答えなんて分からない。分かる訳がない。自分でもどうなっているのか分からないのだから。とりあえずずっとここにいても意味がないため、私は適当に森を探索することにした。探索していれば気も少しは紛れ、いずれ心も落ち着くだろう。そう思い私は森の中へと歩き出した。特になにも考えず・・・・・・


 歩き出してどれくらい経っただろうか?暑い。おそらく今は夏だろう。木々が日差しを遮ってくれるため大分暑さはマシといえど、それでも暑いものは暑い。そう思いながら森を歩いていると、少しだけ開けた場所に出た。その場所で空を見上げると、最も高い位置にあった太陽は15度ほど沈み、目を覚ましたときよりもほんのりと暗くなっている気がした。それでもまだ十分に周りは見える。そう思いながら周りを見渡していると、少し離れたところに塔かなにかの屋根が見えた。赤い色で、周りに似つかわしくいためかなり目立っている。太陽が沈む方向を見るに、恐らく北のほうだろう。よく見ると雑草が生い茂っているが、確かにその建物の方へと続く細い道がある。私はその道を辿り、その建物へ行くことにした。道は歩きにくいがそう離れていなかったため、私はすぐにその建物へたどり着くことができた。


私「これは・・・・・・学校・・・なのかな?」


 建物がある周りは少しだけひらけ、その周りには雑草が生い茂り木々が乱立する中、私が目にしたものはまず赤い色(普通の赤より少し黒っぽく、厳密には違うのだろうが)の屋根だった。木製の一階建ての学校であろう建物で、玄関が見える。恐らく私が見ている方が正面なのだろう。そして、私から見て左側には10メートル以上、15メートル未満ほどの校舎と繋がった小さな塔がある。塔の上部には小さな鐘が吊るされており、始業などを知らせるために使ったのだろう。そして塔の下部には、外と直に行き来できるように正面に開き戸が付いている。先ほど見えたのはきっとこの塔の屋根だろう。全体をザックリ見た感想は、古めかしく、ボロボロで今はもう人は出入りしていないのだろうと私は思った。


私「こんなところにこんな建物があったんだ。でもこんなに木があったら教室にあんまり光が入らなさそうだな。まぁ昔はどうだったのか知らないけど」


 今はなんとか光が校舎を照らし出しているが、もう少し陽が沈めばこの辺りはすぐに暗闇に包まれるだろうと私は思った。だが今の光景に私は神秘的なものを感じ、私はこの建物に興味を持たずにはいられなかった。そのため私は建物の中を探索することにした。


私「鍵は・・・あ、開いてる」


 幸運なことに玄関の引き戸には鍵は掛かっておらず、ガラガラと扉を開け難なく校舎内へ入ることができた。中は見かけよりもボロボロではなく、埃やくもの巣が辺りにあるだけで、ちゃんと掃除をして少し手を加えればまだ十分に使えそうだった。あくまで自分の感想だが。


私「うわぁ・・・さすがに埃臭いなぁ・・・・・・まぁ当たり前か」


 そう呟きながら校舎内に入るとまずは下駄箱があった。玄関にはまだ光が届き、視野の確保ができる。下駄箱は、3つが縦に並び、あまり多くの靴を入れられそうにないと思った。下駄箱を通り過ぎるとすぐに横一直線の廊下があった。しかし廊下には玄関ほどの光が届かず、目を凝らさなければ細部まで見通せなかった。しかし部屋の割り振りなどを調べるには問題なさそうだ。玄関の正面には校長室があり、私からみて左側(西側)を向くと、左手側に教室、右手側には職員室があった。そしてその奥には開き戸がある。恐らく塔へ行くための扉だろう。今度は逆に東側を向くと、右手側に教室、左手側には物置と思われる部屋があった。東側は行き止まりになっており、私はまず東側を調べることにした。


私「まずは教室から」


 教室の前後には引き戸があり、鍵は掛かっていなかった。私は手前側の扉をガラリと開けて教室に入る。さほど広くはない教室の右側(西側)には黒板があり、その目の前のには教卓がある。そしてその教卓の前には9つの木でできた机と椅子がセットで縦に3つ、横に3つと均等に並べられていた。さらにその奥には生徒が使うワッフルのくぼみのように並べられた四角い箱状のロッカーがあった。よくあるような教室の作りだ。教室には思ったよりも光が差し込み、見通しやすかった。それ以外には特に目星いものはなく、私は次の部屋へ行くことにした。


私「次はここにしよう」


 次に私が調べたのが、先ほどまでいた東側の教室の目の前にある物置と思われる部屋だ。


私「よし、入るぞ・・・って、あれ?鍵がついてる」


 物置と思われる部屋には大き目の引き戸が二枚あり、その二枚の引き戸を繋げるように南京錠が掛けられてあり、中へ入ることはできなさそうだった。


私「これじゃ中に入れないなぁ。まぁいいか。次行こう」


 少し残念な気持ちを胸に、私は次の部屋へと向かう。


私「次の部屋はここ!」


 次にやってきた部屋は、西側の教室だ。この教室にも鍵は掛かっておらず、普通に中へ入ることができた。しかし教室の作りは当然東側と同じでこれまた目星いものはなかった。私は西側の教室を後にし、次は職員室へと向かう。職員室にも鍵は掛かっておらず、私は職員室へと入る。


私「うわっ、廊下からでも分かってたけど暗い」


 職員室の中は暗闇でほとんど見えない。辛うじて先生方の使う机と、教頭先生の使う机が辛うじて見える程度だ。職員室の探索は諦めよう。


私「この調子だと校長室もろくに見えないだろうな・・・・・・」


 そう思いつつ、私は職員室を後にし、校長室へと向かう。校長室にも鍵は掛かっていなかったが、職員室と同じでほとんど中は見えなかった。机と棚があるくらいしか分からない。私は校長室の探索も諦め、次は塔へ向かう。塔への開き戸にも鍵は掛かっておらず、中へ入れた。が、塔の上部へ上るたの木でできた梯子は途中で折れ、梯子の折れた下の部分は床に転がっている。到底上部に上ることはできなさそうだった。下部にある外へと繋がる開き戸はドアノブが取れてしまい、開けることができなかった。塔にはそれ以上なにもなかった。私はガックリと肩を落としながら、とりあえず西側の教室へ戻った。


私「特になにもなかったなぁ・・・・・・これからどうしよう・・・・・・」


 西側の教室へ戻った私は、そう呟きながら南西側にある机の椅子に座っていた。ふと気付くと陽の光が茜色に変わっている。後小一時間もすれば陽は完全に沈むのだろう。そのせいで教室はじわりじわりと闇に包まれていく。今日はこれ以上出歩くのは止めておこう。


私「もう暗いし寝ようかな・・・・・・ていうかこの体でも眠気はあるんだ」


 こんな体になっても眠気はある。不思議だ。今思えば普通ならお腹が空きそうな時間で、あれだけ歩いたのに今の私には満腹感も空腹感もない。それにずっと歩き続けたが、特に疲労感はない。そういえば暑いはずなのに、汗が出ない。森の中はまだ涼しいとはいえ、この暑さの中だと汗は出るはずなのに。よく分からない体だ。やはり幽霊にでもなってしまったのか?とりあえずもう寝よう。こんなこと考えていても仕方がない。そう思った矢先、ガタッ、と後ろの引き戸の辺りから物音がした。


私「ッ!?」

 

 と、驚き私は椅子から立ち上がり、物音のする方へ振り返った。するとそこには私と同い年くらいの男の子が後ろの戸の手前に立っていた。


男の子「え?え、えーっと、どうしてこんなとこに?」


 男の子はそう尋ねてくる。


私「え、えーと、たまたま森を探索してたら見つけたからかな?」


 嘘をつくのはあまり好きではないため、私はそう答える。これなら嘘には恐らくならないだろう。


男の子「そ、そうか・・・・・・」


 そう男の子が言った後、二人の間に沈黙が流れる。次になんの話を切り出せばいいのか分からない。私がそうすればいいのか迷っていると、先に男の子の口が開いた。


春樹「じゃあここで会ったのもなにかの縁だろうし、とりあえず自己紹介を・・・俺の名前は『春樹』だ。よろしく」


 少し照れながら質素な自己紹介をする。彼の手には懐中電灯が握られている。他に持ち物は持っていなさそうだ。彼の見た感じの印象は大人しそうで、なんだか優しそうな雰囲気だった。相手が自己紹介をしたのだから、私も自己紹介をしないと失礼だと思いこちらも自己紹介をする。


夏美「私の名前は『夏美』。よろしく」


 私も質素な自己紹介をする。自己紹介を終え、私はこの際いろいろ彼に質問してみようと思った。彼のことが気になるし(決して好きとかそんなものではない)、私が暇だったからだ。陽はまだ出ているしもう少し話をしても大丈夫だろう。


夏美「春樹君の年はいくつなの?」


春樹「俺は今17だ」


夏美「そうなんだ!じゃあ同い年だね」


春樹「そうなのか。じゃあ次は俺からの質問。夏美はどうしてこんなとこにいるんだ?」


 そんな質問に私はギクッとした。自殺をするために飛び降りて、気づけば森の中で倒れていたなんて言えるわけない。言ったら頭のおかしい奴だと思われるだろうし、絶対面倒なことになってしまう。少し省略して嘘にならない程度に伝えよう。


夏美「(気づけば森の中にいて)暇でどうしようもないし(帰る場所も分からないから)森を適当に探索してたの。そしたらここを見つけて、中に入ってしばらくしたら春樹君が来たの」


 私はそう言った。うん、これなら別に嘘じゃ・・・ないよね・・・?


春樹「そうなのか。暇だから来るってことは、この辺りの人か。ということは俺が泊まりに来てる村に住んでるのか?まぁ確かにこの辺りはド田舎ですることがないからな。」


 彼がそう言う。そんなに田舎なのかと、私は思った。ん?彼は泊まりに来てるって言っていたな。村に住んでる訳ではないのか?そう疑問に思い聞いてみることにした。


夏美「泊まりに来てるってことは住んでる訳じゃないんだよね?観光にでも来たの?」


春樹「いや、俺のじいちゃんとばあちゃんの家があってな。夏休みもあと10日ほどだし、久しぶりに泊まりに来たんだ。まぁそうは言っても今日着いたばっかなんだけどな」


 彼は『夏休み』と言っているから、季節は夏で間違いないようだ。


夏美「そうなんだ。じゃあここに来たのは?」


春樹「ん?ああ、夏美と同じで暇だったんだ。この辺りにはゲーセンもデパートも観光名所もないからな。遊びなんて山に行って虫を採るか、川に行って泳ぐくらいしかないんだ」


夏美「へー、そうなんだ」


 そんな話をしていると陽はいつまにかほとんど沈み、教室は真っ暗といってもいいほどに暗くなっていた。


春樹「もうこんなに暗いしそろそろ帰るか。夏美もそろそろ帰るだろ?途中まででも送ってくよ」


 彼はそんな言葉を掛けてくれる。私にはどこにも帰る場所は無いが、一応着いて行くことにした。ここで帰らないと言ったら、変に怪しまれるかもしれない。怪しまれ、気まずい雰囲気になるのは嫌だ。とりあえず着いて行き、別れた後にまた学校に戻ろう。


夏美「うん、分かった。一緒に帰ろう」


春樹「よし、じゃあ行こう」


 彼はそう言い、手に持っていた懐中電灯をつける。懐中電灯の向く先は白く照らし出され、細部までよく見える。これなら視界に困らない。私たちは教室を出て玄関へ向かう。そして玄関から外へ出る頃には陽は完全に沈み、変わりに月が空高く上っている。月は真っ白で神秘的な光を放っており、綺麗だ。森の中は静寂に包まれ、私が見ることのできる光は懐中電灯の光と木々の間から見える月明かりだけだった。そんな少しだけロマンチックな中を、恋人でもなんでもない私たちは並んで歩く。なんだろう、赤の他人とはいえこうして同い年の男の子と並んで歩いていると少し照れ臭い。気を紛らわせるためになにか話をしよう。そう思い、私は彼に話しかける。


夏美「そういえば春樹君はあの学校のことを知ってたの?」


春樹「ああ、じいちゃんとばあちゃんから話は聞いていたから存在は知ってた。行ったのは今日始めてだけどな」


夏美「そうなんだ。もしかして春樹君のおじいさんとおばあさんはあの学校の生徒だったのかな?」


春樹「そこまでは知らないな・・・今夜にでも聞いてみるか」


 そんな話をしていると少し開けた場所にでた。まだ陽が出ているときに学校の塔の屋根を見つけた場所だ。ここからどうやって帰るのだろうと思っていると、彼は迷わず南の方へと歩いていく。離されまいと私は少し急ぎ足で追いかけ、また横に並ぶ。よく見ると彼が向かっている南の方には、学校へと続く道と同じように、雑草が生い茂る細い道があった。私たちはその道を辿り、村を目指す。


春樹「一本道だから迷うこともないし割とすぐに学校に行けるんだが、道が道だから行く気になれなかったんだよな」


夏美「確かに雑草がいっぱいだから歩きにくいね。それに暗いし」


春樹「でも道そのものはまだ綺麗だからそれだけは救いだな。ていうかなんで夏美は懐中電灯も無しであの時間にあの場所にいたんだ?」


 私はまたギクッとする。


夏美「い、いやぁ、すぐ帰ると思ったんだけど思ったより時間が掛かっちゃってね」


 私は彼に、ここで初めて嘘をついた。自分でも嘘をついたと認める。行く場所も帰る場所もないなんて言えない。なるべく嘘は言いたくはなかったが、辻褄を合わせるためには嘘をつくしかない。この際仕方がないだろう。


春樹「そうなのか、まぁいいか。おっと、出口が見えてきたな」


 彼がそう言うので正面を見ると、少し先で森が途切れている。あそこがこの森の出口なのだろう。そうこうしているうちに私たちは森を抜けた。森を抜け、私の目の前に広がっていたのは広大な田園だった。夜なのであまり遠くまでは見えないが、それでも分かる広さの田園だった。田園のあちこちには民家があり、明かりがぽつぽつと灯っている。そしてこの村を守るかのように山々が四方八方を囲んでいた。暗いためよく見えないといえど、この村の長閑のどかさは十分に分かる。私たちはそんな風景の中にある、目の前のヘビのように細い道を南に向かって進み、この辺りの主要な道路にたどり着いた。この道路は東から西へと伸びており、どちらへ進んでもいずれは国道に辿り着くようだ。


春樹「俺はこっち(東側)だけど、夏美は?」


 私はこれ以上一緒には行けないと思い、ここで分かれることにした。


夏美「私は向こう(西側)だから、ここまでだね」


春樹「そうか、じゃあな。気を付けて帰れよ」


 彼は私に気遣い、そんな言葉を掛けてくれる。私はなんだか名残惜しくなり思わず春樹君を呼び止めてしまう。


春樹「なんだ?」


夏美「あ、えーっと・・・・・・」


 呼び止めたのはいいものの、何を言えばいいか分からない。どうしよう。そ、そうだ、せっかくだから明日また会えるか聞いてみよう。この後ずっと一人はさすがに寂しいから。


夏美「よかったら明日もまた会えるかな?暇だから誰かと喋りたいと思ってね。春樹君も暇みたいだし・・・どうかな?」


春樹「別にいいぞ。じゃあ12時頃、この場所に集合でいいか?」


夏美「うん、いいよ」


春樹「それじゃ今度こそじゃあな。あ、そうだ。この懐中電灯持ってけよ。別にここからなら俺は大丈夫だから。じゃ」


 そう言って彼は懐中電灯と予備の電池をくれた。そしてすぐに私に背を向け、帰るために歩き出す。


夏美「あ、うん。ありがとう。バイバイ!」


 私が別れの挨拶をしている間にも、彼はスタスタと道を歩いていく。私が分かれの挨拶をし終わると、彼は振り向かないまま軽く手を上げ返事をしてくれた。私は彼の姿が闇に紛れ、ほとんど見えなくなるまでその場で突っ立っていた。あれ?なんだかこれだとデートに誘ったみたいだ。違う違う、私は単に話をしようって言っただけだ。決してデートに誘った訳ではない。だけど断られなかったことは素直に嬉しい。それは否定しない。誰でも人を遊びなどに誘って、断られなければ嬉しいはず。それと同じだ。とりあえずここにいても意味が無い。探索をするにしても、明日すればいい。私の存在が消えてなければの話だが。


夏美「学校に戻ろう。眠い」


 私はそう呟きながら、学校へ戻るために今来た道を戻る。夜ということもあり、森の中は心地よい涼しさだった。懐中電灯で足元を照らしつつ、転ばないように進む。するといつの間にか学校に到着した。先ほど通った道であるためなのか、体感的には早く着いた気がする。とりあえず西側の教室に戻ろう。私はそう思い、玄関を通り西側の教室に戻ってきた。


夏美「寝るための場所を作ろう。机をくっつければ大丈夫でしょ」


 そう考え私は教室にあった9つの机を引っ付け、埃を払い、簡易的なベッドにする。動かすときに壊れないか確かめたが、思っていたより綺麗な状態だったのでこれなら大丈夫だろう。ベッドを作ると、わたしはとりあえずベッドの上に乗り、横たわった。そしてもう一度記憶を思い出そうと集中する。だが昼のときと同じように、思い出そうとすれば頭の中に靄がかかり、なにも思い出せない。これ以上思い出そうとしても無駄だと思い、私は目を覚ましたときから今までのことを振り返ることにした。


 お昼頃に目を覚ました私は、地面に横たわっていた。なぜこんなところにいるのかはすぐに思い出せた。崖を飛び降り自殺を図ったのだ。だけど理由は思い出せない。年齢、誕生日、好きなもの、一般常識などは思い出せる。だが家族構成、友人関係、学校生活は思い出せない。どうしようもない私は気を紛らわせるために森の中を探索することにした。すると見つけたのがこの学校だ。私は学校を探索したが特になにもなく、教室で肩を落としていると私は自分の体が普通ではないことに気が付いた。お腹は空かない、汗は出ない、疲れは感じないという不思議な体になっていた。このとき本当に私は幽霊になってしまったのだと思った。私はそんなこと考えても仕方ない、とりあえず寝ようと思っていたとき、彼、『春樹君』と出会った。彼は私と同じ17歳で、すぐ近くの村に住む祖父母の家に夏休みを利用して遊びに来ているそうだ。そんな彼は私を途中まででも送っていくと言い、断れば怪しまれるかもしれないため送ってもらうことにした。村と学校は細い道で繋がっていて、道に迷うことはなさそうだった。私と彼は主要な道路に辿り着くと、そこで別れることになった。別れるときに私は彼に明日も会う約束を取り付け、そのあと彼は私に懐中電灯を譲ってくれた後、別れた。そして私は学校に戻り今こうしている。


 振り返れば振り返るほど、私に起きていることは現実離れしていた。夢・・・とは思えない。矛盾するようだが、夢にしては現実味がある。そもそも本当に私は死んだのか?ただ単に森で遊んでいて、事故が起き、頭と体がおかしくなったのではないのか?そんなことも考える。考えれば考えるほど疑問が増え、埒が明かない。一旦落ち着こう。とりあえず、私の身になにが起きているのか考えるのは保留にしよう。これ以上考えてもきっと無駄だろうし、そもそも答えがあるとも思えない。もう寝よう。寝るためにこうしてベッドをこしらえたのだ。他にすることもないのなら後は寝るしかない。私はなにも考えず、ただ寝ようとする。するといつからかは分からないが、少しずつ意識が遠のいていく。そしていつしか私は、眠りに就いていた・・・・・・・・・・・・


 



 






 


 

最後まで読んでくださった方はありがとうございます。まだまだ勉強不足なので、手探りで勉強しながら書いております。途中でおかしい場面も出てくるでしょうが、その際は指摘してもらえると助かります。とりあえずは自分で納得のできる(他の方が見て面白いかどうかは別として)ものにしたい思っています。お付き合いいただければ幸いです。

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