幼馴染み。
鬱展開
無情進行注意。
猫刃 新。16歳
身長150cm位
比較的小さい部類に入るが、僕には大きな存在だ!コレまでも…コレからも変わらない。
新との出会いは確か、僕が4歳だったと思う。
小学校卒業までは多分仲の良い友達だった。
後数日で中学生になる時に父が死んだ。
脳溢血だったそうだ。
父の同僚の話では事務仕事の最中に物音がしたので近付くと床でくの字に横たわる父が居たそうです。
慌てて119したが、病院に行く途中の救急車の中で心肺停止して夕方…何時もより早く帰宅した。
帰宅した父は愛用の紺色の浴衣を着け眠るように仏間で横になっていた。
僕は父が死んだとは思えなかった。
「父さん、起きなよ。」
つい僕が漏らした言葉に母は泣き、何時から居たか分からない親戚の婆ちゃんは僕の背中を擦っていた。
冷たいと思うかも知れないが、その時僕は涙一つ出ていなかった。
父の死を理解して実感出来なかったのだ。
通夜、初七日を入れたら中学一年のスタートは同級生とは遅くなった。
その事でクラスに上手く溶け込めなかったが、どうでも良かった。
家に帰れば酒に溺れる母が居るからだ。
ほんの一ヶ月前はよく笑顔を見せてくれた母は今では見る影も無かった。
酒が切れると母は僕を殴りつけた、とても…とても悲しかった。
学校がある日は給食を食べれるが、家に居ると口に出来たのは水だけだった。
お金は光熱費以外は酒に変わった。
その度に僕は笑い方を忘れて自分と世界を遮断していった。
四十九日が過ぎ、僕が完全に崩壊した日。
酒を買うだけの機械の生活に終演した。
助けてくれたのは猫刃のおじさん…新の父さんだった。
母はアルコール依存症の施設に入院が決まった。
最初は暴れていた母が、職員に拘束具を着せられて運ばれてる姿を見て視界が曇っていたが…新にハンカチで拭かれるまで僕が泣いてる事に気付かなかった。
「新から話を聞かなければ気付かなかった…済まない。」
おじさんは、それでも母を嫌わないでくれないか?と言っていた。
「今日は家に遊ぼう♪ご飯とお風呂が呼んでるよ~」
今日は新特製のロールキャベツだよ~♪
僕はどう反応したら良いか分からないが、心が温かくなった気がした。
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猫刃家の人達には感謝してる。
しかし世間は…いや僕の環境は冷たかった。
日本の人口の6000万人はアルコール接種していて230万人がアルコール依存症だ!つまり26人に一人は依存症患者なんだ。
でもそれで困るのは僕や関係者なんだ!
なのに、クラス内の扱いは腫れ物を扱うようにするのはまだいいが、アル中とバカにする奴もいた。
教師も事無かれ主義を通した。
中学時代は新だけが全てだった。
学校も新と僕は必ず同じ班に成るように設定してくれていた。
僕と母が一緒に暮らせるようになったのは2年の春からだった。
母が退院した時はすっかり痩せたのを見て頑張ったんだなと思い。
「母さんお酒買って来ようか?」
「気持ちだけで良いよ。真には苦労かけたね」
母が言うには、アル中患者は体内から1年以上かけてアルコールを抜いても、再度接種したら99%再発するらしい。
「お前もこれから先呑む機会があると思うけど気を付けてなよ」
そう母は笑って言った。
毎晩適度に呑んでいても男は10年、女は6年でアル中だよ♪
それに酒飲みの女は気を付けろよ!と付け加えていた。
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中学生最後の夏に理科教師の坂口に理科準備室につれこまれた。
「お前みたいな人間はろくな死に方をしない!」
僕の襟首を掴み馬面を近付けて言う坂口に大人気ないと思った。
まぁそんな現場をたまたま通りかかった関先生(理科教師)と新に目撃された
。
関先生は僕と新を帰らせて、坂口と話しをしたらしい。
後日、坂口が「お前に謝れば会議に出さないと言うから来てやった」
と、謝罪とは取れない最低発言を残し去っていった。
そんなことがあった10月母が死去した。
肝硬変だった。
母の時は死に目に会えたから実感は早かった。
病院の金と葬式の費用という借金だけが残った。
最初は猫刃家から家に来るように言われたが、おじさんに頼んで家と土地を売りアパートを借りて残りを貯金した。