姫君(仮)
有りがちな設定に、お馴染みなキャラクター。
「真 ワタシが肉嫁じゃあダメか?」
六畳一間、バス・トイレ別、ベランダ有り。
高校入学と同時に手に入れた僕だけの城。
城と言っても、木造アパートの一室にすぎないのだが抑圧された生活から解放出来たのは嬉しい。
一人暮らしを初めて『責任』を思い知らされるが『自由』を得た代償としては安いのかもしれない。
なんせ夜遅く迄、ネトゲ三昧でも文句一つ言われないって最高だ!
ネトゲを初めてから1週間過ぎた頃、変化は現れた。
『しるびぃ』HNとの出会い。
お互いに顔も分からないから色々話した…学校や仕事から始まって気付けばゲームそっちのけでただ駄弁る日も少なく無かった。
『しるびぃ』との会話が日常に成ったある日。
僕にとっての事件が起きた。
しるびぃ : しばらく休養するから今日で最後です。
シン : 何で?時間とか曜日を合わせれば良いんじゃないか?
しるびぃ : 生憎上手くいかなくてね。仕事なんだよ。
シン : もう会えないって事?
しるびぃ : さぁ?仕事次第だけどね。直ぐに会えるかもしれないし…ね♪
シン : 分かった。なら、またね!
しるびぃ : あぁ、またな!シン。
僕はそれ以来サイトにあまり顔を出さなくなった。
ただ、たまに『しるびぃ』が来てないかとか、新着メールの確認位だけのサイトになっていた。
そして3週間が過ぎようとしたある日たまたま点けていたTVで何処かのお姫様が日本に留学に来るとか言っていた。
まぁ僕みたいな一般ピーポーには上流階級とは無縁だから詳しく知る必要も無い。
仮に同じ歳の高校生だとしても、私立とかの名門に行くだろうから接点は無いな…
そんな報道があったことすら忘れかけたある日。
「しっかし、今日はやたらヘリが飛ぶよな…」真剣五月蝿い。
あまりに低空を飛ぶヘリが多いためTVの音声が聞き取り辛い。
しかも割とアパート近くの映像がTVから映し出されていた。
初めは事件と思ったがTVの内容は花火大会の中継みたいなお祭りムードだった。
ピンポーン!ピポピポピポピポピポピンポーン♪
「ダーッ!五月蝿い!」
イラついたから乱暴にドアを開ける。
バーーーン!
「ふみゅう~」
ドアの向こうで、頭を抑えて尻餅をついている金髪少女が頻りに痛みを訴えていたが、謝らないからな!
「譲刃様、お嬢様が失礼致しました。」
金髪少女の後ろから、銀髪ショートのメイドが現れた。
今日は何なんだ?
見た目新聞の勧誘じゃ無さそうだが、宗教の勧誘…かな?
「あの…宗教とか別に興味無いですから…」
「私達は、譲刃樣に改宗や勧誘に来た訳じゃ無いですから♪」
銀髪メイドは清々しいほどの笑顔を見せた。
この笑顔に騙されちゃ駄目だと直感した。
しかし女性に対しては温室育ちな僕では絶対に抵抗など不可能だった。
家族意外でまともに会話が出来るのは、幼馴染みの猫刃 新だけだ。文句あるか?
なんとか復活したのか金髪少女はメイドの前に立っていた。
「ワタシはシンシアシス。特別にシアと呼ばせてやるぞ!喜べ。」
腕組みをして偉そうに言い切る金髪…シアだった。
「申し遅れました。私シルヴィアです。譲刃 真樣宜しくお願い致します。」
メイドは腰を折り深々と頭を下げた。
「えっと…何なんだか分からないですが引っ越しされるって話しですか?」
アパートにメイドやお嬢様ってのが結び付かないが、コスプレ姉妹で脳内にインプットしておこう。
二人共タイプは違えど万人が美人と思えるのだが…コスプレのまま外に出るのって僕的に無いな~と思った。
「ご理解頂いているみたいで話が早いですね。では早速…」
言うが早いか靴を脱ぎ、部屋の中に入り込むメイド。
「お嬢様、日本では履き物は脱いで上がるのが礼儀ですよ♪」
「ちょ…ま…」
僕の制止も関係無く金髪少女も部屋に上がり込んだ。
「譲刃様、クローゼットの先に部屋が無いのですがこれだけですか?」
メイドが素頓狂な声をあげていた。
狭くて悪かったな!喧嘩売ってるのか?