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ナイトメア・シェルフ  作者: 茜ひいろ
安心して寝るために
9/22

第3話

「少年。」

「……はい……………?」

宮本さんに呼ばれた。

「名前、なんて言うん?」

「え……。」

「大丈夫。安心してええ。俺は決して、怪しい者やない。」

白衣姿なのにか。

………まあイマイチ信じられないが、宮本さんは悪い人ではなさそうだ。

俺は決めた。

「………翳です。苑條翳。」

「かげる……。おう。いい名前やな。ご両親いいセンスしとるやないか。これからよろしゅうな、翳。」

「は?え…………“これから”って、どういうことスか?てゆーかまず、なんで俺はここに連行されたんスか?」

そう言うと宮本さんは真剣な眼差しで俺を見つめてきた。

「翳。これから言うことは、夢のようなことであって夢やない。全部、現実に起こっていることなんや。笑わずに、聞いてくれ。」

「…………はい………。」

宮本さんは重々しく口を開いた。

「まず、俺は研究者やっちゅーことを教えとく。まあ“研究者”ってゆうてもそんな大層なモンやない。とある科学者の片腕って感じやな。ただ、その研究内容が他と比べもんにならん。これは自負しとる。実際に成功しとる実験もあることやしな。」

なるほど。それで白衣なわけか。

「その研究内容は、“夢”や。」

「夢ー……?」

「そうや。

《夢は人間の心理と切っても切れない縁仲にある。それはなぜか。》

始めはそれを追求しとるだけやった。でも、だんだん研究の方向性が変わっていった。

原因は、先生………俺を片腕として使ってくれていた先生の、娘さんにある。」

「娘さんに?」

宮本さんは、近くにあったペットボトルの中の飲料水を飲んだ。

「ああ。ほら、さっきからそこにおるやろ?俺と翳の話に着いて行けんでボケーっとしとるやつが。」

眼差しの先には例の少女がいた。宮本さんの言う通り、こちらを向いてはいるがぼけっとしていた。

「この子が、その、……科学者の娘さんなんですか?」

宮本さんが頷く。

「え…じゃあ、原因ってなんなんですか?こんな幼い子が、何かしたとか?」

「幼い…………ねえ…………………。」

妙に長い間。

「別に、何かしたっていうわけやない。ハッキリ言うと、アリアは何もしとらん。あ……彼女の名前はアリアや。悪ぃ。紹介忘れとった。」

実は知っていたというのは、場の空気を読んで言わない。

「翳。」

いきなり名前を呼ばれた。

「はい?」

「ちょっくら昔話に付き合ってもらってもええか?」

「はい。」

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