第2話
さっきまで大阪弁で明るく話していた宮本さん。
英語で話すとあら不思議。
まるで本場の外国人!!!
いや、本当にそうなのだ。
そういえばさっき、『久しぶりに日本人と話した』って言ってたな。それぐらい、宮本さんの周囲の環境が日本離れしているのかな。さっきの少女も………確かAria…アリアとか言ってたか。そいつも日本語しゃべれねえっつってたしな。
………待て。少女で思い出した。
なんで俺はここに連行された?
「あの……宮本さん。」
「Why?……あ、日本語でよかったんやな。なんや?」
「起きたら夢の中に出てきた女の子そっくりなこの少女が部屋にいて、なんやかんやで少女にここへと連行されてきたんですが、それは一体なぜですか?」
「ん?ああ!それは………っていうか、なんで連れてきてんねんアリア。俺はそんなこと、これっぽっちも頼んでへんがな!」
「だから日本語通じませんって。ていうか今ので、この子の名前わかっちゃいましたよ。」
「♡%♪¥☆♤★〒*♯?」
早すぎてなんて言ってんのかわからんので、一応記号で表記しておいた。
「☆♤%¥€○●◇□△◎♧☂♯♪」
アリアさんの返答も早すぎてわからん。
俺が微妙な顔をしていると、宮本さんが俺のことをじっと見つめてきた。
「…………?」
宮本さんが俺に近づいてくる。
「え…………?」
ガシッ。
ついに、腕を掴まれた。
「宮本さんすいません。俺にそんな趣味は無いです。」
「いや、そういうんじゃないで。」
「じゃあどういう意味っスか。これ確実になんか企んでますよね。でも生憎、俺にそんな趣味は無いんで。宮本さんにそういうのがあったとしても、俺はすぐさま逃げるんで。こう見えても逃げ足は早い方なんで。」
「安心しぃ。生憎、俺もそんな趣味は持ち合わせとらん。」
生憎の使い方間違ってるだろ
なんて、さすがに言うわけにもいかないわけで。
「安心しました。……じゃあなんなんすか、一体。」
「正直に答えるんや。
自分、夢の中で怪物に襲われたか?」
「え…………。まあ、はい。」
「その怪物に、最終的に殺されたか?」
「あ…………まあ…。」
あの夢の、あの瞬間。
夢にしては珍しく、目覚めた今でもはっきりと覚えている。
思い出しただけで吐き気がしそうだ。
「そうか。わかった。」
宮本さんはそう言うと、俺の腕を掴んでいた手を放してくれた。
でも、その後の宮本さんの表情は、まさに真剣そのものだった。