表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナイトメア・シェルフ  作者: 茜ひいろ
副業・退治屋
19/22

第7話

一気に闇が晴れた。

さっきまで前方3m程しか見ることができなかったのが嘘のようだ。

「あっかる…………さすが提灯お化けだな。」

ケケケなんていう笑い方が少し愛らしい。

「視界は広がった。さ、行くわよ。早くしないと夜が明けちゃう。」

「そうだな。」

俺たちはまた走り始めた。

さっきとは違う、明るい道を。



「はぁ……はぁ………かげ………る…………………!待って!」

「ん?」

声に気付いて振り向くと、そこには肩を上下させているアリアがいた。

「もう、ダメかも…………………」

「ー…………。」

俺はアリアに近寄ると、しっかりとアリアの片手を握った。

「疲れたんならおぶってやるよ。」

「!?なっ………何を言う!そ、そんなの別にッ………………。」

「何勘違いしてんだよ。俺は、封印役のお前に倒れてもらいたくないだけ。」


バチンッ


アリアにビンタされた。

「そんなことだろうとは思ってたわよ!!」

「ハイハイ……。」

ぶたれた頬をさする。絶対赤くなっているなぁと思った。

「じゃあ引き続き探すわよ!もう時間はそう無いんだから!」

「そうだな。」

「………………………。」

アリアの顔が、蒼白になった。

「……?どうしたよ?」

「………………聞こえない?」

「え?」

「何か………脅すような言葉……………………ねっとりと、まとわりつくような言葉ー…………………………。」

アリアにそう言われた俺は、耳をすました。

言われてみれば、確かに聞こえる。

本当に耳をすまさないと聞こえないような、でも微かに聞こえはする“声”。


「サア、逝クガヨイ。」


そんな声が聞こえた。

気が立ちすぎたせいで聞こえた、ただの気のせいかもしれない。

でもそんなことを考えるよりも先に、その声のする方へと身体が動いていた。

「翳?!」

アリアが呼んでいる。

でもそれに返事をする余裕は、俺には無かった。


甲冑を身にまとった怪物(恐らくメアーだろう)が、少年に大剣を振るうところを見た時。


俺の中の《ケモノ》が、疼いたのが分かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ