第6話
最初の方は少年サイドです。
気づいたら、柱に縛られていた。
視界が曖昧で、はっきりしない。
僕は、何をしているんだ。
さっきまで花畑で遊んでただけなのに。
腕が、痛いー……。
夢なのに。
なんで?夢の中なのに、痛みを感じるよ。
苦しいよ。
動けないよ。
助けて、誰か、助けて。
「オ前ニ助ケナド、来ルワケガナイダロウ。」
僕の目の前にいるのは、誰?
「安心シロ。オ前ノ身体ハ私ガ受ケ継グ。オ前ハ静カニ、私ニ殺サレレバヨイノダ。」
“殺される”?
僕は死ぬの………?
「サァ、逝クガヨイ。」
ヒュッと風を切る音がした。
目の前にいる“誰か”が、持っていた大剣を振り上げる音。
でもその時。
ガキン
そんな音がした。
誰?
視界が霞んで見えないよ。
「そりゃねえぜ~メアーさんよぉ。」
視覚があまり働いていない中、そんな声だけが聞こえた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
いつまでも続く薄暗い闇の中。アリアの手を引いて、ずっと走っていた。
「見つかんねえな………」
「ええ。どこに隠れているのかしら。」
「オイ。」
「なによ。」
「俺たちのその《チカラ》とやらを使って、どうにかできねえのか。」
「私は封印しかできないし、あんたはトロルでしょ。」
「ダメか……………。」
「………待って。」
アリアが足を止めた。
「どうした。なんか策でもあんのか?」
「一つだけ、ある。……ようは、この薄暗さを無くせればいいのよね?」
「ああ。簡単に言うとそうだな。」
「ちょっと離れてて。」
アリアの言う通りに、俺は少し離れた。
「シェルフ・アウト!」
アリアがそう言うと同時に、アリアの下に五芒星が現れた。その五芒星の中から、だんだんと姿を表したのは。
「提灯お化け……?」
「そうなの?」
「あ、アリアは知らないのか。日本の妖怪だから。」
アリアが頷く。
「前に封印した時、ピカピカ光ってたのを思い出して。思ったら、私は封印したのを出し入れできるのよね。」
「え?出しちゃっていいのかよ。せっかく捕まえたんだろ?逃げたりしたらどうするんだよ!」
「大丈夫よ。この子は持ち手さえつかんどけば逃げないから。もし逃げた場合でも、雑魚だから大したコトないわ。」
「そ……そうか………………。」
「さあ、照らしてくれる?」
アリアの言葉に答えたのかどうかは知らないが、提灯お化けはケタケタと笑いながら光った。
「わっ………」
すっかり闇に慣れていた視界に突然多量の光が差して、眼が少し痛くなった。