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ナイトメア・シェルフ  作者: 茜ひいろ
安心して寝るために
11/22

第5話

会話文が多い為、少々読みにくくなっていますm(_ _)m

そして昔話はアリアsideから始まります。

私は目覚めた。外は朝だった。

今日見た夢は、本当に、怖かった。


学校の図書室を歩いていたら、いきなり本が襲ってきた。いくら逃げても、本は追いかけてくる。ついに捕まった私は、腕や足を本たちに噛まれた。本には牙があって、私の手足はみるみると紅く染まっていった。

足も腕も、動かない。どうやらその牙には毒があったらしく、視界までぼやけてきた。

怖かった。それが、とても怖かった。

でもそんな時、突然痛みが消えた。私の手足の赤色も、まるで嘘のように消えていった。視界もはっきりした。

でもその代償であるかのように、目の前にはうつ伏せになって倒れた両親の姿があった。


そこで目が覚めた。

本当に、正夢になったらどうしようって思った。


でも起きると、目の前には、夢と同じようにうつ伏せで倒れた両親の姿があった。


「嘘でしょ………?」


思わず呟いてしまった。

ベッドから飛び出して、倒れている両親に駆け寄った。

「嘘でしょ?!ねえ、嘘なんでしょ?!また、そうやって私を驚かそうとしてるんでしょ?!」

何度も呼びかけた。でも、返事はない。

両親の肌は、氷のように冷たかった。


また、正夢になってしまった。


その時を境に、私は夢を恨むと共に寝ることが怖くなった。


■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □

「…………これで終わりや。」

宮本さんがふうっと息を吐くと、白い煙がもくもくと部屋を包んだ。その煙草臭が、妙に鼻を突いた。……まったく、目に染みる匂いだ。

「宮本さん。」

「ん?」

「その娘さんが、アリアなんですか?」

「せや。」

「そう……ですかー……………。」

誰にだって、苦い過去があることだろう。でもこれは、あの年で背負う物としては苦すぎると思う。

それを聞いてしまうと、ついつい目がアリアの方へと行ってしまう。

「気になるんか?アリアが。」

「へっ?あ………まあ……………。」

「ちなみに()うとくけど、今言ったことは全部、10年前に起こったことやで。」

「そうですか……………って、え?!」

「本当や。」

「じっ……10年前ってー……!!アリア…さんは、何歳の時にそうなったんですか?!」

「10や。10歳の時。」

「え?!でっ……でも、アリアさんの外見って小4ぐらいじゃないっすか!!」

もしそれが10年前に起こったことなら、アリアさんは今二十歳(はたち)のはずだ。

「止まってるんや。」

「?」

「アリアの容姿は、あの時夢の中で怪物に襲われてから変わってない。その時から、成長が止まってしまったんや。」

「はっ………?!な……なんでー……?!」

宮本さんはその時、少し苦笑いした。

「アリアは夢ん中で、本の怪物に襲われた。それは、先生……博士が作った薬品のおかげで退治することができた。

でも、夢の中でアリアは既に傷を負っていた。そして毒も回っていた。普通なら即死や。薬品があったから夢の中で助かっただけで、本当やったら死んでる。

そんでそれが正夢ときた。

正夢ならアリアも死んでるはずなのに死んでない。先生と夫人を包んだベールといい、これはどう考えても、アリアがその怪物と融合したとしか思えん。


今は亡き博士の研究資料によれば、《技術が進歩すれば夢の内容を実体化させることも可能》らしい。

俺は、誰かがそれを利用して、夢の中で怪物が実体化するように仕掛けたんやないかと思う。

まあ何が目的かは知らんけどな。」

煙が口から吐き出された。

「これは俺の考えやから、本当なのかはわからん。でも、それがもし本当なら、できるのはこの世界にたった一人しかおらん。」

宮本さんは、目を閉じた。そして何か心に決めたように、ゆっくりと、その目を開いた。

「俺と同じように博士の片腕やった、研究員の笠井(かさい) 龍之介(りゅうのすけ)。そいつしか、できん。」

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