表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひまわり☆彡スピリッツ  作者: はりねずむ
第一章 タイラント
30/91

天骸百合 その1

5月12日


「頼んますよ、百合さん。鈴蘭さんは用事があるって言うし、他の部員も何故か

捕まらねぇし・・・。他に頼めるのはアンタだけなんだ。」

「・・・部長はどうなの?あの人が来れば、漏れなく会長も付いてくるわ。」


 私が提案すると、風嵐君は急に黙りこくってしまった。彼がそうなってしまった

理由はよく分かっている。彼は部長が苦手なのだ。


「・・・・・・いや、あの人に借りは作りたくねぇんだよ。ってか、それはアンタが

一番分かってるんじゃないのか?」

「・・・もちろん、分かっているわ。ただの意地悪よ。ごめんなさい。でも、

現実問題、あの人の力があれば、たいていの問題が片付くのも事実だわ。」


 私が正論を言うと、彼はまた黙った。ぐぅの音も出ないといった様子だ。ただ、

これ以上の問答は時間の無駄だろう。彼は自分の意見を絶対に曲げない。


「・・・はぁ、分かったわ。・・・私も手伝ってあげる。それから、これはあくまで

私の独断だけど、部長にも応援を要請するわ。風嵐君には全く関係の無い話だけど。」

「おお、流石は百合さん!アンタならそう言ってくれると信じてたぜ!感謝するよ。

それと、なんか変な気ィ遣わせちまったみたいで、すまねぇな・・・。それじゃあ、

よろしく頼むぜ!」


 彼は先ほどまでとは打って変わった明るい声で礼を言って電話を切った。


「・・・大貫君のお友達が行方不明・・・。何やらきな臭い感じがするわ。

本当に、あの人たちには退屈しないわね。何か憑いてるんじゃないかしら?」


 まぁ、彼の電話は願ってもないものだった。どうせ、やることもなくて暇なのだ。

散歩にでも行こうかと考えていたが、どうにも年寄り臭い気がしてならなかった。

ただでさえ可笑しなイメージが一人歩きしてるのに、休日に一人でウロウロしてたら

もっと訳が分からなくなる。

 孤高の姫君、氷の女王、鉄仮面・・・。数え出したらキリがない。確かにあまり

友達作りには積極的ではなかったし、笑ったり怒ったり、感情の起伏も乏しいのかも

知れない。でも、だからって、そんなあだ名付けなくても・・・。鉄仮面って、

ちょっと酷くないかしら・・・。

 やめよう、考えてたら泣きたくなってきた。私は着替えを済ませ、電話と財布を

持って家を出た。


「百合、何処かに出掛けるのかね?祈祷は・・・午前中に済ませていたか。」


 御神木の周辺を竹箒で掃いていた父が声を掛けてきた。


「ちょっと友達に頼まれ事を・・・。いつ帰るかは分かりませんが、なるべく遅く

ならないうちに帰るようにしますので。」

「ふむ、そうか。気を付けて、行ってくるんだぞ。」


 父はそう言うとそのまま境内の掃除に戻った。私は軽く頭を下げ、参道を通って

鳥居を潜り街へと繰り出した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ