11日目:戦線終了の合図は、鐘の音
ラスト戦争。
一気に4000文字行きます。
覚悟してください。
大剣が思い切り、床を突き破る。
僕らは一気に全員で、廊下に飛び出した。
廊下の床は穴だらけで、動き回った形跡として下の階に合った血の海は更にその下の階に向かって流れていっている。あの後、他の階もうろつきまわって、下の階の廊下にも穴が開いたということだ。
「行くぜ!」
誰よりも先に羽賀がそう言って、手裏剣やクナイを一気に数多く投げた。
それらは、鎧の体に突き刺さった。
「なるほど・・・・・・。確かに、鎧ではないようだ」
そう言って神道は鎧を睨んだ。
「でも効いてないぜ!」
僕はそう言って、橋田を見る。
「そりゃ、厚みもあるから効かないだろうよ」
と。
言ったのは、橋田だった。
「橋田・・・・・・?」
「気にするな。橋田にこの前聞いてみたことによると」
と神道が言って、橋田を見る。
「殺人モードなるものがあるらしい。その状態になると、極度的に性格が変わる。認識方の多重人格に近いものだ」
「はは・・・・・・。だから血の海も大丈夫だったのか・・・・・・」
ていうか、そんな設定がこんな最終決戦で出てくるとは・・・・・・。
でも良く考えると、戦線中で始めて戦うんじゃないだろうか?よく生きてこれたものだ。
「厚みがある分ダメージが少ない!だから、出来るだけ貫通力のある攻撃で戦え!」
神道はそう言って銃を構えた。そして引き金を引く。
「・・・・・・」
鎧は、俊敏に移動してその弾丸を避ける。やはり、移動スピードが高いのは、防御力が少ないからだろう。
そして鎧は教室から出てきて、同じように廊下に立ち、橋田に向かって大剣を突き立てようと走る。
「舐めんなよ」
橋田はそう言って、銃を構えた。
大剣は橋田の体を的確に狙っている。鎧は体を屈めて突き進んでいる。
スピードはかなり速い。
大剣は橋田の眼前まで到着した。
「・・・・・・!!」
鎧は驚いた。
間違いなく。
橋田は直前まで動いていなかった体を一瞬で半身にして、大剣を避けたのだ。
「私の目ならこのくらい、余裕だ」
そう言って、
「食らえ」
橋田は構えていた銃を鎧の頭に引っ付けて、撃った。
「・・・・・・!」
鎧が叫び声を上げて、倒れる。
しかしそれと同時に、鎧は持っていた大剣を横に向かって振った。
「しまった!」
視覚からの予想外の攻撃に橋田は対応できず、固まった。
「橋田!」
羽賀が走りこみ、橋田を抱きかかえて、飛ぶ。
しかし。
大剣はその羽賀の左目を捉えた。
「ああああああああああああああああああああああああ!!」
羽賀は叫び、悶える。
「羽賀!」
橋田はその羽賀の体をゆする。
「!」
起き上がった鎧は追撃するように、羽賀の体を狙うように大剣を上に振り上げた。
「く・・・・・・!」
黙って橋田は、羽賀をかばうように上に覆いかぶさる。
鎧は大剣を振り下ろした。
「バカが!」
神道は叫びながら、鎧の頭部を銃で殴り飛ばした。
振り下ろした大剣の標準がずれ、2人の横の床を壊す。
「お前の相手はこの俺だ。そいつらは知らん」
神道はそう言って、鎧を睨む。
鎧は振り返り、視線を神道に向けた。
「・・・・・・」
鎧は大剣をそのまま、引っ張り上げて神道側に振り下ろす。
「そうこなくっちゃな!」
神道はそう言って、後ろに下がる。
しかし。
その衝撃で廊下にひびが入る。
「!」
羽賀と橋田の体が落下する。
「羽賀!橋田!」
僕は叫んで、2人の元へ走る。鎧が僕を狙ってきたが、そんな場合ではない。
僕は身を捩って、鎧の攻撃を避ける。そして、2人が落下した廊下の穴に到達した。
膝立ちの姿勢で穴を覗き込む。
2人は下の階の廊下に倒れていた。
「大丈夫か!」
「私は大丈夫!でも羽賀が・・・・・・」
羽賀は目を押さえて、息を荒くしている。
「くっそ・・・・・・」
「如月!」
今度は神道が僕の名前を叫んだ。
鎧が大剣を構えて、横薙ぎに振ってくる。
「ヤバイ!」
僕は膝立ちの姿勢から無理やり、前に向かって穴を飛び越える。
大剣はブォン!という、大きな音で空を切った。
「他人の心配をしている場合ではないわ。自分が大事よ!」
無花果はそう言って、僕の横に立った。
「でも、羽賀が――」
「俺は大丈夫だ!」
下から羽賀が叫んだ。
「それより、今からそっちに武器を持っていく!何とか鎧を怯ませてくれ!」
「羽賀・・・・・・」
明らかに無理しているのが分かる。目の部分からは血が止め処なく流れている。
「分かったわ」
それでも無花果はそう言って、鎧を睨む。
「聴こえたでしょう?神道君」
「ああ。3人で何とかするぞ」
神道は銃を構えて、頭部を撃つ。
「・・・・・・」
鎧はそれら全てを腕でガードする。
「チッ!」
神道は舌打ちして、銃をおろして、突っ込んだ。
僕と無花果もナイフを構えて、鎧に突っ込む。
「・・・・・・」
鎧は黙って、体を1回転させる。
大剣はその動きに誘導されて、同じように回転する。
所謂、回転斬りだ。
そして、その大剣は僕らの体全てを捉えた。
「!」
体が思い切り投げ出され、壁や床にそれぞれ体を打ちつけた。
切れてはいないものの、その大剣によって受けたダメージと壁との衝突で、かなり痛い。
「くっそ・・・・・・」
僕はすぐに立ち上がってもう一度突っ込む。
ナイフを構えて、鎧の懐に潜り込む。
「・・・・・・」
鎧は大剣を持つ手に力を込める。
「油断禁物だぜ!」
僕はそう言って鎧の腕を刺した。
「・・・・・・!」
やはり端になればなるほど、薄くなっているようだ。鎧を貫通し、手ごたえを感じる。
「追撃だ!」
「貴様に言われんでも」
「分かってるわ」
神道は2挺の銃を頭部に向かって乱射する。
無花果もナイフを持って、柄の部分で頭部を叩く。
「・・・・・・!!!」
鎧はうめき声を上げて、廊下に突っ伏す。
「今のうちに行くぞ!」
神道はそう言って、廊下を走り、階段の方向へ向かった。僕らもその後ろをついて走った。
「何とかなったのか・・・・・・」
羽賀は目を押さえたままそう言った。
「死んではいないな」
僕はそう言って神道に確かめる。
「あの程度で死ぬことは無いだろう」
「それより・・・・・・」
無花果は羽賀と橋田が持ってきたものを見ていった。
「武器とはソレのこと?」
「ああ。使えるものは使うべきだ」
「・・・・・・そう」
無花果はそう言って、黙った。
「・・・・・・神道、どうにか使える?」
橋田が尋ねる。
「・・・・・・・・・・・・ああ。何とかできそうだ」
そう言って神道は僕らに作戦を話した。
「・・・・・・で、誰がその役目やるんだ」
羽賀はそう言って神道を見た。
「・・・・・・如月。お前だ」
「僕が・・・・・・」
「ま、妥当だわな」
そう言って羽賀は立ち上がる。
「任せたぞ、如月」
神道も立ち上がった。
「ファイト、如月」
橋田も。
そして、
「約束が果たせるといいわね、如月君」
と言って、無花果も立ち上がった。
「約束って?」
橋田が話しに割って入ってきた。
「如月君にプロポーズされたのよ。この戦線が終わったら結婚するらしいわ」
「・・・・・・はぁ?」
羽賀はそう言って笑った。
「お前らは一体この戦線中に何をしているんだ」
神道もあきれるように笑った。
「おめでとう、2人とも!」
橋田もそう言って笑顔を浮かべた。
無花果も思わず、笑った。
戦争中とは思えないほどの、団欒というべき空間だった。
今までで一度もなかったことが、こんなサイゴのタイミングだとは・・・・・・。
と、僕も笑ってしまった。
これから人が4人も斬られる事が、分かっているのに。
鎧が起き上がりこちらに近づいてくる。
「じゃ、任せたぜ」
「俺の判断ミスではないことを証明しろよ」
「では、お達者で」
「貴方に掛かってるわよ」
4人はそう言って、笑った。
そして4つの影は。
鎧に向かって飛び込んだ。
「・・・・・・」
鎧は黙って大剣を構え、1回転した。
先ほどと同じ、回転切りだ。
しかし、先ほどとは違った。
4人の体は上半身と下半身に分かれて落下した。
「くっそ・・・・・・!!」
悲しみや痛みを感じている場合ではない。
彼らは木戸の言ったように、他人のために死んだのだ。
だから、僕らはその意思を汲んでやらなくてはならない。
「うおおおおおおおおおおお!!」
僕は飛び出して、あのバズーカを撃った。
ガソリンを入れて、火力は十分だ。
熱エネルギーの風圧が勢いよく発射された。
熱はロッカーや4人の死体を燃やし、鎧は熱を浴び続ける。
廊下も溶け始め、煙が上がる。
「・・・・・・やったか?」
煙の中には影は見えず、煙が晴れた先にも何も居なかった。
・・・・・・落ちたのか?
廊下の穴から、下の階を見下ろした。
・・・・・・居ない・・・・・・?
と、思った瞬間、殺気を感じた。
「!?」
後ろに鎧は居た。
鎧の鋼のような色はもはや見られず、若干赤黒くなっている。
大剣を引きずってこちらにやってくる。
そうか・・・・・・。1回落ちて、もう一度昇ってきたのか。
「・・・・・・死ね」
初めて鎧の口から発された言葉だった。
そして、鎧は自分の大剣に力を込めた。
「・・・・・・!」
しかし鎧は上がらなかった。
「・・・・・・残念だったな」
「作戦通りだ」
「掛かったね」
「後はよろしく、如月君」
4人はそう言って、大剣の上に立っていた。
作戦はこうだった。
穴に近い、ぎりぎりのところで奴に一斉に仕掛けて、油断したところを誰かがバズーカで撃つ。
そして死なずに落ちて、昇ってきたところで、止めを刺す。
で、どうやって奴に仕掛けるか・・・・・・。
そこで俺達は羽賀の持ってきた『武器』を使った。
その武器とは、死体だった。
「これを一気に投げる。そしてコイツを殺した時に、油断したアイツを撃つ」
「・・・・・・で、誰がその役目やるんだ」
羽賀が言った――。
「取った・・・・・・。作戦勝ちだったな」
僕はそう言ってナイフを構えた。
「・・・・・・」
「さっきの言葉、そのまま返すぜ」
僕はナイフを持って走りこみ、飛び上がった。
「死ねえええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!」
鎧の顔面にナイフが思い切り突き刺さった。
鎧の体はそのまま後ろに倒れた。
同時に、天井から光が漏れてきた。
太陽の光は、その死体を照らした。
「・・・・・・やったのか?」
羽賀が聞いた。
それと同時だった。
キーン、コーン、カーン、コーン・・・・・・、キーン、コーン、カーン、コーン。
【授業終了です。卒業生は速やかに校門に集合してください】
戦線で初めて、チャイムが鳴った。
戦線終了。
御疲れ様でした。
そろそろ最終回直前ですよ。